日本株

執筆者

西村剛
西村剛

フェアトレード株式会社 代表取締役。機関投資家出身で統計データを重視したシステムトレードに注力。2011年株-1グランドチャンピオン大会で+200.4%、2012年+160.1%、2013年157.0%を叩き出し三連覇達成。証券アナリスト検定会員。システムトレードを使った定量分析と、これまでファンドマネジャーとして培ったファンダメンタルズ分析を融合した新しい視点で株式市場を分析し、初心者でもわかりやすい言葉を使った解説に定評がある。


システムトレード

【株】株価のヨコヨコは買い(売り)時なのか?

出来高減の保ち値(ヨコヨコ)とは

「出来高減の保ち値(ヨコヨコ)」とは、大きな値動きの後に株価がヨコヨコの保ち値となり、同時に出来高が減少している状態です。

次の株価チャートは、EV向けなどに強いリチウムイオン電池セパレーター専業企業【6619】ダブルスコープの、2022年10月の日足チャートとなります。

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ダブルスコープは、2022年9月に韓国で子会社IPO失敗というネガティブニュースを受けて大暴落となり、その後は一部反発となりましたが、「出来高減の保ち値(ヨコヨコ)」の値動きとなりました。

 

出来高減の保ち値(ヨコヨコ)が起こる背景

「出来高減の保ち値(ヨコヨコ)」が起こる背景について考えてみましょう。

そもそも、出来高減の保ち値(ヨコヨコ)は、トレンドが発生していた銘柄で起こりやすい傾向があります。

最初からトレンドが発生していない銘柄の場合は、低水準の出来高で長らく横ばいが続くだけです。

先の【6619】ダブルスコープで起こった出来高減の保ち値(ヨコヨコ)を見てみましょう。

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ダブルスコープの株価は、上昇トレンドの後に、ネガティブニュースで暴落となり、暴落後に反発するなど、出来高減の保ち値(ヨコヨコ)になる前には上昇トレンド→暴落→反発と激しい値動きとなっていました。

これはつまり、多くの価格帯で取引していたトレーダーや投資家がいたということを意味します。

そして、出来高減の保ち値(ヨコヨコ)が起こった価格帯は、ちょうどチャートの真ん中辺りです。

含み損を解消したい投資家、反発や反落からの含み益を利益確定したい投資家など、これまでダブルスコープを取引してきたさまざまな投資家の思惑が、この価格帯での横ばいを引き起こしたと言えます(もちろん、これから新しくエントリーしたい投資家も加わります)。

株価が高くなれば、含み損を解消したい投資家や、反発からの含み益を確定したい投資家、これから新しく空売りしたい投資家が売り圧力を掛けてくるため、高値が限定されてきます。

一方、株価が下がれば、反発期待で買い支えたい投資家や、空売りのショートカバーで利益確定する投資家、これから新しく買いたい投資家からの買いが入ってきます。

ただ、このようなもみ合いは、時間が経過するごとにポジションを既に解消した投資家が増えてくるため、出来高も徐々に減少してくることになります。

これが、出来高減の保ち値(ヨコヨコ)が起こる背景です。

 

出来高減の保ち値(ヨコヨコ)のトレードチャンスを狙う方法

出来高減の保ち値(ヨコヨコ)は、トレンドがなくなり、また出来高が減少していることから取引のしやすさ(流動性)も低下するため、トレーダーにとってはあまり良くない相場状況と言えます。

ただ、出来高減の保ち値(ヨコヨコ)を根気強く見ていることによって、チャンスが生まれるケースも少なくありません。

「出来高減の保ち値(ヨコヨコ)」のトレードチャンスについて押さえておきましょう。

さらに低迷する場合には逆張りの空売りが有効な場合もある

出来高減の保ち値(ヨコヨコ)となった銘柄は、多くの場合、その後に再び大きなトレンドとなることは少ない傾向があります。

既に大きなトレンドが出現していると、それを上回るトレンドを発生させるには、より大きなエネルギーが必要となりますが、そう簡単に大きなトレンドとなるようなニュースが出ることはないためです。

先の【6619】ダブルスコープを見ても、出来高減の保ち値(ヨコヨコ)となった後には、ダラダラと下落して低迷し続けており、元の強かったトレンドには戻っていません。

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ただ、これは逆に言えば、「出来高減の保ち値(ヨコヨコ)となった銘柄は、その後はレンジ下放れして低迷する可能性がある」と考えて、逆張りの空売りチャンスになるかもしれないと捉えることもできます。

 

トレンドが再発生する場合には順張りエントリーが有効

現在進行形で、出来高減の保ち値(ヨコヨコ)となっている銘柄は、トレードチャンスがないため、トレーダーにとっては利益の出しにくい銘柄となりますが、監視銘柄に入れておく価値はあります

それは、出来高減の保ち値(ヨコヨコ)になっているということは、次のトレンドに向けたエネルギーを貯めている時期になっているケースがあるためです。

出来高減の保ち値(ヨコヨコ)になると、レンジ相場の中で売りが解消されてきます。

売りが解消されることによって、上昇の抵抗となる将来の売り圧力が低下するため、再び上昇トレンド入りする可能性があります。

次の株価チャートは、新興銘柄の【7692】アースインフィニティの2022~2023年の日足チャートです。

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上昇トレンド後にいったん下落となり、高値圏で出来高減の保ち値(ヨコヨコ)となっていたことが分かります。

アースインフィニティは、約4ヶ月の出来高減の保ち値(ヨコヨコ)の後に、再び上昇トレンドとなり、3倍以上もの急騰となりました。

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以前の上昇トレンドを超える出来高となり、トレーダーにとっても絶好の銘柄となったことが分かります。

 

出来高減の保ち値(ヨコヨコ)銘柄を監視する際のポイント

出来高減の保ち値(ヨコヨコ)となっている銘柄を監視する際のポイントとしては、次のような点をチェックしておくようにしましょう。

  • 過去にどんな材料でブレイクしたのか
  • 過去のトレンドの大きさはどの程度か

それぞれについて見ていきましょう。

過去にどんな材料でブレイクしたのか

出来高減の保ち値(ヨコヨコ)になる前には、過去にどのような材料でブレイクしたのかをチェックしておくことが重要です。

例として、2020年に新型コロナワクチン開発で注目されたバイオベンチャー【4563】アンジェスは、2020年末に出来高減の保ち値(ヨコヨコ)となりましたが、その後は売られ続けています。

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アンジェスが、出来高減の保ち値(ヨコヨコ)となる前に急騰した理由は、新型コロナワクチン開発が期待されたためですが、2020年11月にファイザーとモデルナがワクチン開発に成功したことで暴落となりました。

つまり、アンジェスが2020年以上の上昇トレンドとなるためには、新型コロナワクチン開発以上のインパクトが必要となりましたが、これは現実的ではないことは明らかでしょう。

 

過去のトレンドの大きさはどの程度か

出来高減の保ち値(ヨコヨコ)の後に、再び大きなトレンドが発生するためには、過去のトレンドを超える材料が必要となります。

それはつまり、過去のトレンドが大きければ大きいほど、再びトレンドが出現することは難しくなるということです。

例えば、過去のトレンドで2倍になった銘柄が、出来高減の保ち値(ヨコヨコ)の後に再びトレンドが発生して、4倍以上になるといったことは可能性としてあり得ると考えられます。

しかし、過去のトレンドで10倍になった銘柄が、出来高減の保ち値(ヨコヨコ)の後に、さらに20倍以上になるといった値動きをするケースはほとんどありません。

過去のトレンドが大きければ大きいほど、出来高減の保ち値(ヨコヨコ)の後は厳しい展開になりやすいと認識しておくようにしましょう。

 

まとめ

この記事では、出来高減の保ち値(ヨコヨコ)について解説した上で、出来高減の保ち値(ヨコヨコ)のトレード戦略についても紹介してきました。

出来高減の保ち値(ヨコヨコ)とは、大きな値動きの後に株価がヨコヨコの保ち値となり、同時に出来高が減少している状態のことです。

出来高減の保ち値(ヨコヨコ)は、既にトレンドが発生した銘柄で起こりやすく、場合によっては次のトレンドに向けたエネルギーを貯める期間となり、その後にさらに大きなトレンドが発生するケースもあります。

ただ、出来高減の保ち値(ヨコヨコ)の後には長期低迷が続く銘柄の方が多いため、「過去にどんな材料でブレイクしたのか」「過去のトレンドの大きさはどの程度か」を考慮して、現実的にトレンドが再発生するかどうかを考えることが重要です。

 

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