日本株

執筆者

西村剛
西村剛

フェアトレード株式会社 代表取締役。機関投資家出身で統計データを重視したシステムトレードに注力。2011年株-1グランドチャンピオン大会で+200.4%、2012年+160.1%、2013年157.0%を叩き出し三連覇達成。証券アナリスト検定会員。システムトレードを使った定量分析と、これまでファンドマネジャーとして培ったファンダメンタルズ分析を融合した新しい視点で株式市場を分析し、初心者でもわかりやすい言葉を使った解説に定評がある。


システムトレード

海外の売買動向が日本株に重要な理由

日経平均を始め、国内銘柄をメインにトレードしているとつい日本の動向だけにフォーカスしがちになってしまいますよね。
しかし株の方向性を判断する上で、それだけでは不十分といわざるを得ないでしょう。

なぜなら日本市場は国内トレーダーだけでなく、米国、ヨーロッパ、アジア等の諸外国に属する機関投資家や個人トレーダーはもちろん、海外に在住している日本人を含んだ外国人投資家達が圧倒的な影響力を持っているからです。

そして日本株は大きな資金力を持つ外国人投資家にとっても重要な投資先であり、その割合は現在の日本市場に流れる資金の半数以上となっています。
また、東証が扱う銘柄においては6割以上を外国人投資家が保有、売買比率に関しても7割と圧倒的な水準。
このことからも日本市場の値動きはまさに外国人投資家が買えば上がり、売れば下がる状態といえるでしょう。

そこで今回は、海外動向と個別銘柄の外国人投資家持ち株比率を簡単に調べる方法をご紹介しますので、トレードのご参考にして頂ければと思います。

外国人投資家の影響力を見る

まず最初に、外国人投資家の影響力がどれほどのものかをチャートで確認していきたいと思います。
以下は海外の売買動向と日経平均の値動きを比較することのできるサイトとなっており、過去検証において大変有効なツールです。

比率

出典:投資主体別 売買動向 日経平均比較チャート

青の太線が海外の売買動向を示しており、このチャートの通り外国人投資家の動向に追随する形で株価が動いていることが分かりますね。
青線が上昇している期間は買い越しており、下落していれば売り越しという判断が可能です。
また、直近の代表的な事例としては2020年の11月頃にあった以下のプライスアクションも挙げられます。

日経平均

出典:smart chart plus

この11月を起点とした上昇は外国人投資家によるものであり、前月までの売り越し分を買い戻した動きが原因となっています。
もちろんこういった動きはこの月に限ったことではなく、過去のアベノミクス相場では約15兆円という莫大な規模が買い越され、昨今話題となっている東京五輪の開催についても外国人投資家の注目を集めており、大きな影響を与えることが予想されています。

外国人投資家の個別銘柄持ち株比率

先述した全体の売買動向だけではなく、個別銘柄における外国人投資家の比率も分析する際に重要となります。
したがって、自身が保有している銘柄や購入を検討している場合には必ず確認するようにしましょう。
外国人投資家が好む銘柄には以下のような特徴があります。

  • 知名度が高く、国際的に競争力がある
  • 配当や業績が安定している
  • ROEが良好

これらから分かる通り、大企業の銘柄に資金が集まる傾向が強く、自動車業界のトヨタやマツダ、日産は安定して高い比率となっており、直近では工具関連のネット販売を手掛けるモノタロウが50%近い比率。
また、海外比率の高い銘柄には、その他にも以下のような特徴が挙げられます。

短期的な乱高下が起こりやすい

外国人投資家の比率が高い銘柄は、乱高下が起こりやすいという特徴があります。
そして特に値動きに与える影響が大きいのはヘッジファンド等の比較的短期で利益を求める集団です。
社会情勢や業績、シンプルな利食いや節目のエントリーポイントに反応しやすく、ファンダとテクニカルの両方からチャートに揺さぶりを与えてくることが考えられます。

為替が株価に影響してくる

自国通貨で取引する場合が多く、ドルはもちろんユーロや元等の為替が非常に重要です。
特に影響が強いのは円高ドル安の場合。
一般的には円高が有利に働く場合が多い印象ですが、巨額の資金を持っている機関投資家等にとってはその限りではなく、保有資産の中で大きく膨らんでしまう円の割合を整理するために、株式を売る動きが出てきます。

決算期の違いに要注意

海外の決算期は基本的に6月と12月となっており、大口の利確が入りやすい時期となります。
このことを知らないと、下落要因が分からないままに損失を出してしまう可能性もありますので、必ず頭に入れておきたい情報ですね。

外国人投資家の投資スタイル

一般的に日本人は逆張りを好み、外国人投資家は順張りで多額の資金を投入する傾向があります。 資金が大きい分、小さなポジションを飲み込む流れを作り出しますので、その流れに逆らうことは手痛い損失に直結してしまうでしょう。

外国人投資家の動向と持ち株比率を調べる

ここまでご紹介した通り、外国人投資家の動向は市場全体だけではなく個別銘柄においても必須情報といえるでしょう。
そこで次は、それぞれの情報を簡単に調べる方法をご紹介していきたいと思います。

売買動向の調べ方

日経平均等の市場全体の動向を知るには、JPX(日本取引所グループ)が公表している投資部門別売買状況を利用しましょう。

部門別

出典:JPX

そして、海外投資家地域別株券月間売買状況からは以下の通り海外地域別の買い越し、売り越しを調べることが可能です。

情報更新は基本的に原則毎週木曜日で、もちろん東証二部やマザーズに関しても同時に閲覧が可能です。

データ

出典:JPX

もし過去のデータと合わせて推移を出したい場合は、Excelファイルをダウンロードした方が集計しやすくなりますので、用途に合わせて選ぶようにしましょう。

個別銘柄毎の持ち株比率の調べ方

こちらも確認方法は非常に簡単。
保有している銘柄や今後購入を検討している銘柄がある場合は必ず調べるようにしましょう。

主な手段としては以下の3通り

  • 四季報(オンラインも可)
  • 証券会社アプリの四季報欄
  • 上場企業のIR情報

以上の通り、上場企業であれば企業HPのIR情報からも閲覧することが可能ですが、証券アプリや四季報オンラインの方が手早く調べられる利点があります。
以下の例は楽天証券の持ち株比率画面です。

持ち株比率

出典:zai探

もちろんこの情報からは外国人投資家だけではなく、年金機構や機関投資家の比率についても読み解くことができますので、人気度や安定性の指標に利用することもできます。

まとめ

今回は外国人投資家の動向と持ち株比率の簡単な調べ方についてご紹介してきました。

日本株を売買する上では国内の情報にフォーカスすれば十分と思われるかもしれませんが、実質は海外での収益や資本に依存している場合が非常に多く、市場は海外諸国によって動かされているといっても過言ではないでしょう。
確かに日本はアメリカやヨーロッパ、中国等と比べて圧倒的に国土が小さく、リソースも限られた島国となりますので、そういった見方をすれば当然の流れといえるかもしれません。

一方、相場の方向性を作り出している海外の動向を知ることはトレードを有利に運ぶことに繋がります。
大きな流れに逆らわず、利潤を積み重ねていくのは投資の鉄則ともいえますので、情報を取りこぼすことなく、適切な環境認識をするようにしましょう。

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