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機関投資家の手法が相場の流れを左右する
株式投資はテクニカルとファンダメンタルズの両面から相場の裏を紐解くことが重要ですが、それらの根本的な流れを作りだしている「巨大な存在」についてはきちんと把握できているでしょうか。
ベテラントレーダー達の間では「機関投資家」の名で知られており、日本経済、あるいは世界の株価において強い影響を与え続けているのです。
実際のところあまり重要視していない初心者も少なくありませんが、結論として株式投資に勝ちたいのであれば、最初に押さえておくべき基本ともいえるでしょう。
本記事では機関投資家の手法やリスク等を解説していくため、ぜひ参考にしてください。
機関投資家とは
ここではまず、機関投資家の基本知識と様々な種類を解説します。
いずれも巨額の資産を保有する勢力であるため、きちんと把握しておきましょう。
別名大口(おおぐち)の名を持つ勢力
機関投資家とは、数兆円単位の資金を動かす投資家(ほとんどの場合団体や企業)を指しており、大口投資家とも呼ばれています。
詳細な種類については後述しますが、それぞれの規模を考慮すれば、たとえ成功者である億トレーダーでもまともに立ち向かうのは得策ではありません。
機関投資家の種類
機関投資家と1口にいっても様々な企業や団体が存在しており、当然投資スタイルと運営目的も異なってきます。
- 年金基金
機関投資家でまず押さえておきたいのが、GPIFでお馴染みの年金基金です。
国民からの預かり資産は優に100兆円を超えており、運用開始から現在に至るまで長らく最大勢力の座を独占してきました。
一方、そもそもの目的が商業的な利益ではなく年金供給の拡充であることから、投資手法としては守りを徹底しているイメージです。
- 信託銀行
信託銀行は金銭や株価、不動産といった様々な資産を預かって管理する金融機関です。
たとえば、贈与税の非課税枠が増える等のメリットがあるため、実際に利用している方も多いでしょう。
もちろん運用資金は膨大な規模ですが、GPIFと同じく比較的保守的な投資スタイルとなっています。
- ヘッジファンド
ヘッジファンドは投資の世界に身を投じていれば1度は名を聞く存在であり、同時に特に注意するべき機関投資家ともいえるでしょう。
その理由としては、「利益が欲しい」というストレートな意図を持った資産家からの預かり資金という点が挙げられます。
すなわち、ヘッジファンドの運用目的自体が商業的な利益であることから、先ほど触れた団体よりも攻めを意識しており、尚且つ短期的な売買を繰り返す傾向なのです。
参考までに、そういった投機的なスタイルから別名「投機筋」と呼ばれるケースもあります。
本記事では以上3種類に絞って解説しましたが、その他にも保険会社や投資顧問会社も含まれるため、取引を行う際は事前に押さえておくのがおすすめです。
機関投資家の手法とは
次は機関投資家が用いている具体的な手法を見ていきましょう。
相場の流れを掴むためにも、ぜひ参考にしてください。
時価総額が高い銘柄に絞る
株式投資は売りと買いがマッチングしない限り約定されない原則があり、当然機関投資家においても適用されます。
すなわち、あまりに時価総額の低い銘柄では自身の注文によって株価が上昇し過ぎて、結果的に「売却できなくなる」リスクがあるのです。
したがって、基本的には300億円以上の銘柄を狙うケースが多く、参入するとしても大暴騰を引き起こさないようにジワジワと買い増していくスタイルとなっています。
また、もう一点押さえておきたいのが、発行済み株式数の5%以上を保有した場合に提出する義務のある「大量保有報告書」の存在です。
内閣総理大臣が受理した後、金融庁によって全ての投資家に開示されるため、機関投資家にとっては手の内がバレてしまうことになるでしょう。
時価総額の高い銘柄に絞るもう1つの理由でもあることから、初心者は最初に把握しておくべきといえます。
独自のポートフォリオを作成
初心者の中には1つの銘柄に資金を集中させてしまうケースもありますが、ベテランはもちろん機関投資家はそういったリスキーな手法は用いません。
たとえば、国内外債券、株式の保有率をそれぞれ25%ずつに分散する等のリスクヘッジを行っており、ある特定の期間にポートフォリオを組み直しています。
配分比率の変動要因とは
ここでは念のため、ポートフォリオの比率が変わる要因についても触れておきたいと思います。
まず大前提として、株式に比べれば債券は利益率が低い反面、比較にならないほど安全性の高い投資商品です。
したがって、マクロ視点から世界経済を分析した際、「景気が悪い」と判断すれば低リスクな債券の比率を増やし、逆に「景気が良ければ」株式にウェイトを傾けるケースが多くなっています。
一方、以上の投資戦略はあくまでも大枠に過ぎず、セクターや地域別とさらにマイクロ規模にまで視点を狭めて、詳細な株式銘柄を選定しているのです。
手作業によるエントリーは基本的に行わない
実質的にはブラックボックスともいえる機関投資家の取引風景ですが、現在はプログラムによる自動売買が主流とされています。
具体的には、先ほどのファンダメンタルズ分析で得た情報をテクニカルの領域に落とし込み、あらかじめアルゴリズムを設定しておく形です。
そして「損切り」や「エントリー」、「利確」等の取引が極めて緻密な精度で行われる上に、サーバースペックに関しても個人投資家レベルでは到底太刀打ちできる水準ではないといえるでしょう。
また、突発的なヘッドラインニュースがリリースされた際は、ほぼ同時といっても過言ではない速度で大量の注文を入れるため、そもそもまともに立ち向かって勝てる相手ではないのです。
大口投資による影響とリスク
ここでは、機関投資家による大量の注文が与える影響と個人投資家にとってのリスクを確認していきましょう。
行うべき対策についても解説するため、ぜひ参考にしてください。
相場のトレンドを作りだす
株式相場は売買バランスによって変動する性質上、機関投資家による大量の注文はトレンドという大きな流れを形成します。
したがって、万が一流れに逆らうようなポジションを持ってしまうと多大な損失を抱えるリスクがあり、信用取引の場合は口座資金の大半を失う可能性もあるでしょう。
取引の際に実施するべき対策としては、とにかく巨大な勢力の意志に逆らわず、トレンドに対して順張りとなる注文を心掛けることです。
初心者は、個人投資家=海を漂うプランクトン、機関投資家=それらを飲み込むクジラとイメージしてください。
ふるい落としにかかる
株式相場における「ふるい落とし」とは、上昇トレンドの最中に発生するごく短期的な急落を指しています。
参照:髭ヅラ株ブログ
上図は典型的な例ですが、初心者は背景をあまり考察せず、「本格的な下落トレンド」と勘違いしてポジションを決済するケースが少なくありません。
しかし個人投資家のそういった短絡的な動きこそ機関投資家の狙いであり、以下のような流れを目論んでふるい落としを行っています。
- ①機関投資家:ポジションの一部を売って初動の下落を誘発→個人投資家:下落トレンドと勘違いで損切りor利確
- ②機関:さらにチャートを下げていく→個人:空売りが増加する
- ③機関:本格的な買いをぶつける→個人:空売りの決済&ドテンの買い注文が殺到
- ④機関:より大きな利益を獲得
参考までに、最も焼かれやすい(ふるい落としで損失を被る)のは②の終焉付近、若しくは③の初動で空売りを入れる個人投資家です。
下落の終わりを察して早急に損切りできれば軽傷で済みますが、「まだ下がるかもしれない」という機関投資家の思惑とは真逆の考えに基づいてポジションを保有し続けると、最悪の場合ロスカットが執行されるでしょう。
したがって、まず下落要因をきちんと精査して、トレンド転換かふるい落としかどうかの見極めを行い、中途半端な位置ではなく十分に下がり切ったところからリスクリワードの良好なポジションを持つようにしてください。
まとめ
本記事では機関投資家の投資手法と個人投資家が把握するべき影響やリスクについて解説していきました。
株式相場は売買バランスによって変動する性質上、当然大量の資金を投じている勢力に圧倒的な優位性があります。
したがって、まずは機関投資家の動向に逆らわない、という前提を身につけて、その次のステップとして今回触れてきた手法を考察するようにしましょう。
もし少しずつ慣れて値動きの背景が掴めれば、効果的な順張りだけでなく一瞬の下落を狙った逆張りを行うことも可能であるため、初心者はぜひ参考にしてください。
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