1.ストップ高翌日も上がる!?
ストップ高翌日も上がるか?について、2000年1月から2026年10月までの約27年間の傾向を分析したいと思います。
銘柄探しをしていると、株価が大きく上昇しストップ高をつけている銘柄を見かけます。(証券会社のスクリーニング機能でストップ高をつけた銘柄を調べることができます。)
そして、ストップ高をしているだけあって買い注文が殺到しています。ストップ高をしている銘柄は、上方修正の発表や業績拡大が大きく期待できる材料が出ている銘柄が多く、魅力的に映っていることから、買いたくなってしまいます。
ストップ高をつけた銘柄は、強烈に資金が流入していることから、ストップ高をつけた翌日に買うことでも十分に上昇のうまみを得られそうです。
ただ本当にストップ高をつけた銘柄を翌日に買って後追いしたら、利益が出るのでしょうか?
そこで今回は、ストップ高をつけた銘柄を翌日に買うと利益になるのかについて検証していきます。
今回は、ストップ高した銘柄のその後の株価の傾向を調べるために、「全銘柄」「プライム市場(旧東証一部)」「グロース市場(旧マザーズ)」を対象に分析していきます。データは2026年10月2日まで更新しました。
目次
2.ストップ高翌日は買いか(全銘柄の検証結果)
まずは全銘柄を対象にストップ高を付けた銘柄を翌日に成行注文で買った場合の検証を行いました。
ストップ高した銘柄を翌日に買うと利益になるのか、検証する条件は、以下の通りです。
上記が、今回のストップ高の検証条件です。
単純に、ストップ高をした銘柄を、翌日の寄り付きに成行買いします。
そして、含み益が10%出るか、含み損が10%以上となったら、その翌日の寄り付きに手仕舞いします。
なお、翌日もストップ高に張り付いたまま寄り付かなかった銘柄は、実際には買えないため検証から外しています(約27年間で4,948回)。同じように、売る日にストップ安で寄り付かなかった場合は、売れる日まで持ち越しています。ストップ高の判定には、2010年1月の改定前後それぞれの値幅制限を使っています。
仮に、勝率が高く、1トレードあたりの平均損益がプラスならば、ストップ高翌日に買う戦略は統計的に有効な戦略と言えるでしょう。
では、上記条件で検証した場合に、果たしてストップ高した銘柄を翌日に買う戦略は利益になるでしょうか。
ⅰ.ストップ高翌日買い戦略の検証結果(全銘柄)


以上が、ストップ高銘柄を翌日に買う戦略の検証結果です。
検証結果を見てみると、売買回数は51,403回、勝率は39.07%、平均損益は-1.37%です。勝率は4割を割り込み、平均損益も大きなマイナスとなっています。累計損益のグラフも、ほぼ一貫して右肩下がりです。
前回(2025年1月までのデータ)の検証では勝率38.73%、平均損益-1.42%でした。データを2026年10月まで延ばしても、結果はほとんど変わっていません。
以上の結果を見る限り、ストップ高した銘柄を翌日に買う戦略は有効ではないと判断できるでしょう。
3.ストップ高翌日は買いか(プライム市場の検証結果)
次に、プライム市場(2022年4月の市場再編より前は東証一部)に限定し、ストップ高した銘柄を翌日に買った場合を確認してみましょう。
ⅱ.ストップ高翌日買い戦略の検証結果(プライム市場)


以上が、プライム市場(旧東証一部)に限定したストップ高銘柄を翌日に買う戦略の検証結果です。
検証結果を見てみると、勝率は45.45%、平均損益は-0.10%です。
全銘柄を対象とした検証結果「勝率39.07%、平均損益-1.37%」と比較すると、勝率と平均損益ともに高く、約27年間を通してみるとほぼトントン(わずかにマイナス)です。
ただし、累計損益のグラフを見ると、2012年ごろまでは右肩下がりだったのが、2013年以降は右肩上がりに変わっています。2023年以降に限ると、勝率57.55%、平均損益+3.03%とはっきりプラスです。
とはいえ、2023年以降は株式市場全体が大きく上昇した時期で、地合いの追い風を受けた面が大きいと考えられます。2018年〜2022年はマイナスの年が多く、相場環境が変われば成績も崩れやすいでしょう。プライム市場なら翌日に買ってよい、とまでは言えないと判断できるでしょう。
4.ストップ高翌日は買いか(グロース市場の検証結果)
次に、グロース市場(2022年4月の市場再編より前はマザーズ)に限定し、ストップ高した銘柄を翌日に買った場合を確認してみましょう。
ⅲ.ストップ高翌日買い戦略の検証結果(グロース市場)


以上が、グロース市場(旧マザーズ)に限定したストップ高銘柄を翌日に買う戦略の検証結果です。
検証結果を見てみると、勝率は39.64%、平均損益は-0.77%です。
勝率は4割を切り、平均損益もマイナスです。プライム市場と違い、2023年以降に限っても勝率39.12%、平均損益-0.90%と改善していません。グロース市場の銘柄もストップ高の翌日に買う戦略は有効ではないと判断できるでしょう。
5.年別に見たストップ高翌日買いの成績
最後に、相場の年ごとに成績がどう変わったかを確認してみましょう。

全銘柄で1回あたりの平均損益がプラスになったのは、2000年〜2025年の26年間のうち、わずか5年(2003年・2009年・2016年・2017年・2025年)です。グロース市場も7年しかありません。
プライム市場は9年プラスで、そのうち4年が2020年以降に集中しています。直近の成績は次のとおりです。
| 年 | 全銘柄 | プライム(旧東証一部) | グロース(旧マザーズ) |
|---|---|---|---|
| 2020年 | 41.8%/-0.57% | 48.4%/+1.31% | 42.3%/-0.22% |
| 2021年 | 35.2%/-2.68% | 45.4%/-0.10% | 35.3%/-2.84% |
| 2022年 | 38.3%/-1.87% | 47.9%/-0.90% | 38.8%/-1.41% |
| 2023年 | 43.2%/-0.03% | 63.7%/+3.89% | 38.6%/-1.35% |
| 2024年 | 43.6%/+0.00% | 62.7%/+3.62% | 39.3%/-0.73% |
| 2025年 | 43.2%/+0.26% | 53.1%/+2.26% | 42.4%/+0.19% |
| 2026年(10/2まで) | 37.8%/-1.52% | 51.9%/+2.53% | 34.9%/-2.16% |
※各欄は「勝率/1回あたりの平均損益」。年は買った日で区切っています。
2026年に入ってからは、全銘柄・グロース市場とも再び平均損益がマイナスに沈んでいます。「最近はストップ高の翌日も上がる」と感じる場面があっても、年単位で見ると負ける年のほうがずっと多いことが分かります。
6.まとめ ストップ高翌日は買いか?

今回の検証結果を見る限り、ストップ高した銘柄は、翌日以降の株価は下がりやすい傾向が強いと判断できるでしょう。約27年間・51,403回の売買で勝率39.07%、平均損益-1.37%という結果は、前回の検証からほとんど変わっていません。ストップ高銘柄の翌日買い戦略はリスクが高いトレードと言えるため、おすすめできません。システムトレード的な観点から見ると、ストップ高した銘柄の翌日は買わないというのが鉄則と言えそうです。
プライム市場の銘柄に限ると直近数年はプラスの成績が続いていますが、株式市場全体が上昇した時期と重なっており、相場環境が変わったときに通用するかは分かりません。
日々トレードを行っていると、株価がストップ高した銘柄が翌日以降も大きく株価が上昇している銘柄を見かけることがよくあります。しかし、それはストップ高した銘柄の中でもごく一部の銘柄でしかありません。よって、ストップ高銘柄を翌日に買うのは極力避けたほうが良いでしょう。
特に、株式投資初心者の方は、絶対にやめましょう。
なぜなら、ストップ高銘柄の翌日買い戦略は、売り時がとても難しいからです。仮に、翌日に買って一時的に含み益が出ていたとしても、少しタイミングがずれると一瞬にして株価が急落します。そうなってしまったら、よっぽどでない限りは、株価は戻ってきません。
株式投資初心者の方の多くが、このストップ高銘柄を翌日に飛びつき、損失を被って退場します。ストップ高銘柄は翌日に後追いして買うと儲かりそうな気がしますが、それはまやかしです。今回の分析結果を参考に、ストップ高銘柄の後追いはとてもリスクが高いということを、しっかり把握していただけると嬉しいです。
「株システムトレードの教科書」の記事は、機関投資家出身・証券アナリスト検定会員の西村剛が、統計データ・システムトレード・ファンダメンタルズを融合して解説しています。
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