執筆者

西村剛
西村剛

フェアトレード株式会社 代表取締役。機関投資家出身で統計データを重視したシステムトレードに注力。2011年株-1グランドチャンピオン大会で+200.4%、2012年+160.1%、2013年157.0%を叩き出し三連覇達成。証券アナリスト検定会員。システムトレードを使った定量分析と、これまでファンドマネジャーとして培ったファンダメンタルズ分析を融合した新しい視点で株式市場を分析し、初心者でもわかりやすい言葉を使った解説に定評がある。


1.ご祝儀相場とは

ご祝儀相場とは、人々の気持ちがポジティブになり、株を買い付けする財布のヒモが緩む相場のことを現します。

投資家の財布のヒモが緩むタイミングとよく挙げられるのは、

・新元号の発表
・新政権の発足
・新年相場の開始

などが挙げられます。

なんとなく、世の中がお祭り的な雰囲気になり、投資家も買い意欲が湧き、株式市場が活況となります。

ご祝儀相場として、一般的に良く知られているのは、「新年相場の開始」ではないでしょうか。

年末年始は、多くの方が長期休暇に入ることから、人々の気持ちが晴れやかになりやすいです。新年はめでたいという気持ちが強くなることから、新たな資金で株を買い付けしようという流れが生まれやすいです。

実際、株式市場のアノマリーとして、
12月末に買い、年初に売ると勝ちやすい というアノマリーが存在します。

12月後半は、機関投資家が休みに入ることから、12月前半は例年持っているポジションを整理する動きが出ます。

また、個人投資家も節税対策で売りを出しやすく、12月前半は比較的株式市場は軟調に推移する傾向があります。

一方で、年初は、それらの投資家が、ポジションの買戻しや新たな銘柄へ資金を入れるために、上がりやすい傾向があると言われています。

これが、新年明けの相場が、ご祝儀相場といわれる理由です。

確かに、文字だけ見ると、理屈が通っていると言えるでしょう。

そして、投資家の中には、この傾向を利用して、「12月末に銘柄を買い付けし、年初に手仕舞いする」という戦略を用いている人も多いです。

では、このご祝儀相場の傾向を利用した戦略は、本当に有効な戦略なのでしょうか?

今回は過去の株価のデータ20年分を使って、「ご祝儀相場は買いか?」について、詳しく分析してみましょう。

2.ご祝儀相場は買いか?

ここでは、「ご祝儀相場は買いか?」について、過去20年過分の株価データを活用して、分析してみましょう。

ご祝儀相場が買いのチャンスかどうかを分析するために、今回は、以下の内容で分析してみました。

ⅰ.ルール詳細(ご祝儀相場は買いか?~日経225銘柄~)

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検証対象:日経平均採用銘柄(225銘柄)
検証期間:2000/01/01~2020/08/31
1銘柄当たりの投資金額:20万円

【買い条件】
「12月27日、28日、29日、30日」のいずれかの株式市場が開いている日に仕掛ける
※開いている日が複数ある場合には、早い日にちで仕掛ける

【売り条件】
年明け第1営業の寄り付きに手仕舞い

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「日経平均株価」採用銘柄を対象に、「買い条件」と「売り条件」でトレードした場合に、どのような成績になるのかを検証しました。

ご祝儀相場の傾向を利用した戦略は、「年末に買い、年始に売る」という戦略でした。

そこで、「買い条件」は、年末である、12月27日、28日、29日、30日のいずれかで仕掛けるように設定しました。

そして、「売り条件」は、年始の第1営業日の寄り付きに手仕舞いする設定にしました。

このように設定することで、ご祝儀相場の傾向を掴むことが出来るでしょう。

仮に、勝率が50%以上で、損益がプラスならば、ご祝儀相場は買いのチャンスと判断できます。

反対に、損益がマイナスであるならば、ご祝儀相場は空売りのチャンス言えるでしょう。

では、上記の条件で過去の株価データでトレードした場合に、どのような分析結果になるでしょうか。分析結果は以下をご覧下さい。

ⅱ.検証結果(ご祝儀相場は買いか?~日経225銘柄~)

 勝率: 62.71 %
 勝ち数: 2,620 回
 負け数: 1,558 回
 引き分け数: 79 回

 平均損益(円): 1,740 円   平均損益(率): 0.87 %
 平均利益(円): 6,057 円   平均利益(率): 3.03 %
 平均損失(円): -5,432 円  平均損失(率): -2.72 %

 合計損益(円): 7,406,745 円   合計損益(率): 3,703.62 %
 合計利益(円): 15,869,840 円   合計利益(率): 7,935.55 %
 合計損失(円): -8,463,095 円    合計損失(率): -4,231.93 %

 PF: 1.875
 平均保持日数: 8.22 日

上記が、分析結果です。

分析結果を見てみると、勝率は62.71%平均損益は0.87%となっています。勝率は6割を超え、平均損益はプラスです。

以上の結果から、ご祝儀相場は買いのチャンスと判断できるでしょう。

なお、一点だけ、ご祝儀相場の注意点があります。

それは、年によって、勝つ年と負ける年で、はっきりと分かれるという点です。

以下に、2000年から2020年までの、各年度の成績をまとめた表を記載します。

以下をご覧下さい。

【年別成績~日経225銘柄~】

上記の表を確認すると、年度によって、負けている年があることが確認できます。20年の中で、ご祝儀相場戦略が勝てた年は14回、負けた年は6回です。

ご祝儀相場戦略は、勝ちやすい傾向はあるものの、どうしても、年末に買い年始に売るという単純な戦略である関係上、年始が下落して始まる相場では負けてしまいます。

このような傾向があることには、事前に注意が必要でしょう。

ただし、それを差し引いても、勝率が高く、平均損益もプラスであるご祝儀相場戦略は、統計的に有効な戦略と言えるでしょう。

以上が、分析結果です。
やはり、ご祝儀相場は買いのチャンスと言えるでしょう。

なお、先ほどの分析では、トレードの対象は、日経平均株価に採用されている大型株でした。

もしかすると、中小型株のご祝儀相場の傾向は異なるかもしれません。

そこで、次に、「東証マザーズ」の銘柄を対象に、ご祝儀相場の傾向を確認してみましょう。

分析条件は、以下の通りです。

ⅰ.ルール詳細(ご祝儀相場は買いか?~東証マザーズ~)

===========================================

検証対象:東証マザーズ銘柄
検証期間:2000/01/01~2020/08/31
1銘柄当たりの投資金額:20万円

【買い条件】
「12月27日、28日、29日、30日」のいずれかの株式市場が開いている日に仕掛ける
※開いている日が複数ある場合には、早い日にちで仕掛ける

【売り条件】
年明け第1営業の寄り付きに手仕舞い

===========================================

「東証マザーズ」上場銘柄を対象に、「買い条件」と「売り条件」でトレードした場合に、どのような成績になるのかを検証しました。

分析結果は、以下の通りです。

ⅱ.検証結果(ご祝儀相場は買いか?~東証マザーズ~)

 勝率: 60.04 %
 勝ち数: 1,920 回
 負け数: 1,278 回
 引き分け数: 156 回

 平均損益(円): 4,616 円    平均損益(率): 2.31 %
 平均利益(円): 13,561 円  平均利益(率): 6.78 %
 平均損失(円): -8,257 円   平均損失(率): -4.13 %

 合計損益(円): 15,483,472 円   合計損益(率): 7,741.88 %
 合計利益(円): 26,036,299 円   合計利益(率): 13,018.61 %
 合計損失(円): -10,552,827 円  合計損失(率): -5,276.73 %

 PF: 2.467
 平均保持日数: 9.01 日

以上が、分析結果です。

分析結果を見てみると、勝率は60.04%平均損益は2.31%です。

「日経平均採用銘柄(225銘柄)」の成績である「勝率:62.71%、平均損益0.87%」と比較すると、勝率はそこまで変化はないものの、平均損益は非常に大きいことが確認できます。

東証マザーズ銘柄にもご祝儀相場の傾向を活用した戦略は、有効であると判断できるでしょう。

そして、日経平均株価採用銘柄のような大型株として、東証マザーズ銘柄の中小型株のほうが利益になりやすいと判断できるでしょう。

3.まとめ ご祝儀相場は買いか?

20年の株価のデータを使って分析した結果、ご祝儀相場は買いのチャンスであると判断できるでしょう。

また、「日経平均株価採用銘柄(225銘柄)」と「東証マザーズ」を対象とした分析から、ご祝儀相場では、大型株よりも中小型株トレードが有効であることも分かりました。

ご祝儀相場の傾向を活用した投資を行う場合には、なるべく中小型株に限定したほうが利益につながると言えるでしょう。

新年は、新たな気持ちで投資を行う人が多いことや、年末に手仕舞いしたポジションを買い戻すことから、

「売り」から入るトレードよりも圧倒的に「買い」から入るトレードが多くなるのでしょう。

これほどはっきりと数字に表れていることから、このご祝儀相場戦略を利用しない手はないでしょう。

ぜひ、今回のご祝儀相場の分析を活用いただき、あなたのレードに役立ててみてはいかがでしょうか。

<追伸>
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