1.RSIとは

RSI(アール・エス・アイ)は、株価に過熱感があるかどうかを判断するテクニカル指標です。
この指標は、J.W.ワイルダーというアメリカのテクニカルアナリストによって開発されました。
RSIは、Relative Strength Indexの頭文字を取った株用語です。RSIは日本語では「相対力指数」と言われています。

本記事では株価に過熱感があるかどうかを判断するためのテクニカル指標であるRSIの計算式と過去20年の検証結果でRSIは有効に機能しているのかについて分析します。

    • RSIの計算式 

RSIの計算式は、以下の通りです。

このように指定したn日間で「株価上昇幅の合計」と「株価下落幅の合計」を使用し、株価の動きに着目したテクニカル指標がRSIです。この計算式で求められた値が、70%以上だと「買われ過ぎ」、30%以下だと「売られ過ぎ」と一般的には言われています。なお、75%以上が買われ過ぎ、25%以下が売られ過ぎと言われることもあります。

RSIの数値が低いほど「売られ過ぎ」の状態であり、株価が下落していることを指します。また、RSIの数値が高いほど「買われ過ぎ」の状態であり株価が上昇していることを指します。この傾向を利用して、RSIの数値が低いタイミングで株の買い付けを行い、RSIの数値が高くなったタイミングで株の手仕舞いをするといった投資手法が一般的に使われています。

なお、RSIで用いられる日数は、証券会社や分析ツールによって異なります。一般的に株においてRSIで利用されることが多い日数は「14日」や「9日」です。約1~2週間程度の株価の動きを確認するのに利用されることが多いと言えます。ただし、「36日」や「42日」等の約1ヶ月程度の日数が利用されることもあるようです。

なお、文章だけでは、RSIの有用性が理解しにくいと思いますので、実際のチャートでも確認してみましょう。以下のチャートをご覧下さい。

【参考:株価チャートとRSI(14日)】

 

 

 

 

 

 

出所:システムトレードの達人 達人モード「チャート」画面

上記を確認すると、RSIの数値が30%を割り込んでいるタイミングでは、株価が大きく下落していることが確認できます。そして、その後の株価が反発していることが確認できます。

また、RSIの数値が70%を上回ったタイミングでは、株価が大きく上昇しています。そして、その後の株価が下落に転じていることが確認できます。RSIは、このように買われ過ぎ売られ過ぎが簡単に把握できることから、便利なテクニカル指標として使われています。

このように、RSIは利便性が非常に高いことから、多くの投資家に活用されているテクニカル指標です。RSIの数値が70%以上だと「買われ過ぎ30%以下だと「売られ過ぎという分かりやすさも魅力的と言えるでしょう。

ただし、この「RSI」は本当に利益につながるテクニカル指標なのでしょうか。「RSIが30%以下」は買いのチャンスと言われていますが、それは本当に正しいのでしょうか?世間一般で言われていることが正しいとは限りません。そこで、以下では、20年分の株価データを活用して、RSIが本当に有効なテクニカル指標なのかという点を徹底的に分析していきます。



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執筆者

西村剛
西村剛

フェアトレード株式会社 代表取締役。機関投資家出身で統計データを重視したシステムトレードに注力。2011年株-1グランドチャンピオン大会で+200.4%、2012年+160.1%、2013年157.0%を叩き出し三連覇達成。証券アナリスト検定会員。システムトレードを使った定量分析と、これまでファンドマネジャーとして培ったファンダメンタルズ分析を融合した新しい視点で株式市場を分析し、初心者でもわかりやすい言葉を使った解説に定評がある。


 

 

2.RSIの有効性

RSIが本当に有効なテクニカル指標かどうかについて、過去20年過分の株価データを活用して、分析してみましょう。

今回は、RSI(14日)が30%を下回ったら買い付けを行い、RSI(14日)が50%を上回ったら手仕舞いした場合について分析します。この分析を行うことで、「RSI(14日)が30%」が買い付けのチャンスという世間一般で言われていることが正しいかどうかが分かります。分析内容の詳細は以下の通りです。

ⅰ.ルール詳細(RSI30以下で買い、50以上で手仕舞いした場合の有効性の検証)~TOPIX500

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検証対象:TOPIX500
検証期間:2000/01/01~2020/07/31
1銘柄当たりの投資金額:20万円

【買い条件】・RSI(14日)が30%以下の銘柄を、翌日に成行買い

【売り条件】・RSI(14日)が50%以上になった翌日に成行売り

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上記が、今回の検証条件です。

RSI(14日)が30%以下の銘柄を買い付けし、RSIが50%以上まで上がったら手仕舞いした場合について検証します。トレードの対象は、「TOPIX500」を対象にしました。

仮に、勝率が高く、1トレードあたりの平均損益がプラスならば、RSIが利益につながる有効なテクニカル指標と判断できるでしょう。また、「RSI(14日)が30%以下」になったら、買いのチャンスと言えるでしょう。

では、上記の条件で過去の株価データでトレードした場合に、どのような検証結果になるでしょうか。分析結果は以下をご覧下さい。

ⅱ.検証結果(RSI30以下で買い、50以上で手仕舞いした場合の有効性の検証)~TOPIX500

 勝率: 65.99 %
 勝ち数: 25,463 回
 負け数: 13,125 回
 引き分け数: 529 回

 平均損益(円): 1,847 円   平均損益(率): 0.92 %
 平均利益(円): 9,931 円   平均利益(率): 4.97 %
 平均損失(円): -13,762 円  平均損失(率): -6.88 %

 合計損益(円): 72,245,212 円   合計損益(率): 36,125.57 %
 合計利益(円): 252,876,660 円   合計利益(率): 126,444.47 %
 合計損失(円): -180,631,448 円  合計損失(率): -90,318.89 %

 PF: 1.400
 平均保持日数: 21.06 日

以上が、検証結果です。

勝率も高く、平均損益も大きなプラスであることから、「RSI30以下で買い、50以上で手仕舞いする」戦略は統計的に有効な戦略と判断できるでしょう。また、損益の推移のグラフを確認すると、一部の期間を除いて、おおむね綺麗な右肩上がりの推移となっています。一時的に損益が減少している時期は「リーマンショック」と「コロナショック」の2箇所のみです。

以上の結果から、株式市場が暴落している時期を除いて、株においてRSIを使った投資は利益につながる可能性が高いと判断できるでしょう。世間一般に言われている株においてRSIの活用方法は正しいと判断できるでしょう。

では、ここからさらに分析を進めてみましょう。TOPIX500に採用されている銘柄には、RSIが効果があることが分かりましたが、TOPIX500銘柄の中でも、RSIの効果が高い銘柄とそうでない銘柄があるでしょう。

仮に、株においてのRSIで勝ちやすい銘柄が分かれば、私たちの今後のトレードに非常に役立つ期待が持てるでしょう。株においてのRSIで勝ちやすい銘柄をリストアップしました。以下をご覧下さい。

[参考]RSIで勝ちやすい銘柄一覧

上の表に表示されている銘柄が、株においてのRSIで勝ちやすい銘柄です。過去20年間の株価データから得られた結果です。

「パーソルホールディングス(2181)」と「ホシザキ(6465)」は、勝率が80%を超えており、RSIの相性が非常に良好な銘柄のようです。また、「ファナック(6954)」や「ダイキン工業(6367)」、「日本電産(6594)」、「トヨタ自動車(7203)」などの超有名企業でも、勝率が約75%と非常に高いです。

ここに表示されている銘柄は、株においてのRSIを活用したトレードが機能しやすい銘柄と言えるでしょう。ぜひ、ご自身がトレードされる際には、参考にして頂ければと思います。

ただし、トレードの対象は、「TOPIX500」に採用されている大型株に限定されていました。もしかすると、中小型株では、異なる傾向が確認できるかもしれません。株においてのRSIがすべての銘柄に有効かを確認するには、中小型株でも分析する必要があるでしょう。

そこで、次に、「東証マザーズ」の銘柄を対象に、RSIの有効性を確認してみましょう。

ⅲ.ルール詳細(RSI30以下で買い、50以上で手仕舞いした場合の有効性の検証)~東証マザーズ~

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検証対象:TOPIX500
検証期間:2000/01/01~2020/07/31
1銘柄当たりの投資金額:20万円

【買い条件】・RSI(14日)が30%以下の銘柄を、翌日に成行買い

【売り条件】・RSI(14日)が50%以上になった翌日に成行売り

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「東証マザーズ」に上場している銘柄を対象に、「買い条件」と「売り条件」でトレードした場合に、どのような成績になるのかを分析しました。

検証結果は、以下の通りです。

ⅳ.検証結果(RSI30以下で買い、50以上で手仕舞いした場合の有効性の検証)~東証マザーズ~

 勝率: 58.39 %
 勝ち数: 9,682 回
 負け数: 6,901 回
 引き分け数: 398 回

 平均損益(円): 597 円    平均損益(率): 0.30 %
 平均利益(円): 18,980 円    平均利益(率): 9.49 %
 平均損失(円): -25,160 円   平均損失(率): -12.58 %

 合計損益(円): 10,142,226 円    合計損益(率): 5,071.74 %
 合計利益(円): 183,769,112 円   合計利益(率): 91,886.84 %
 合計損失(円): -173,626,886 円  合計損失(率): -86,815.09 %

 PF: 1.058
 平均保持日数: 22.64 日

上記を確認すると、勝率は58.39%平均損益は0.30%です。勝率は6割近く、平均損益もプラスとなっています。勝率も高く、平均損益もプラスであることから、「RSI30以下で買い、50以上で手仕舞いする」戦略は「東証マザーズ」に上場している銘柄に対しても有効であると判断できるでしょう。

ただし、「TOPIX500」の結果(勝率: 65.99%、平均損益:0.92%)と比較すると、勝率と平均損益ともに劣っています。この結果から見る限り、株においてのRSIは中小型株よりも大型株でのトレードのほうが、効果が高いと言えるでしょう。

また、損益の推移を確認すると、東証マザーズでは、2006年~2008年の下落相場では、右肩下がりとなっています。TOPIX500を対象とした分析では、暴落相場を除いて、上昇相場でも下落相場でも利益を上げることが出来ていましたが、東証マザーズに上場している銘柄については、下落相場では株においてのRSIが機能しにくいと判断できるでしょう。

東証マザーズでも、RSIは有効であることは確認できましたが、機能しにくい時期があることには注意が必要でしょう。

 

3.まとめ RSIは有効?

20年の株価のデータを使って分析した結果、株においてのRSIは利益につながる有効なテクニカル指標と判断できるでしょう。

また、「TOPIX500」と「東証マザーズ」を対象とした分析から、株においてのRSIは中小型株よりも大型株のトレードに有効であることも分かりました。RSIを活用した投資を行う場合には、なるべく大型株に限定したほうが利益につながると言えるでしょう。

ただし、株においてのRSIにも弱点がありました。それは、「暴落相場」では大きな損失を被るリスクがあるという点です。

「TOPIX500」の分析と「東証マザーズ」の分析ともに、リーマンショックやコロナショックのような暴落相場では、大きく負けていることが確認できます。一方向に株価の下落が続く暴落相場では、「RSI30以下」の売られすぎの判定が出ても、その後も売りが出続け、RSIがさらに低い数値になる傾向が強いようです。

よって、暴落相場ではRSIによる投資戦略は機能しなくなることから、暴落の予兆が出た場合には、この戦略の活用は控えたほうが良いでしょう。

裏を返せば、「暴落相場」以外では、株においてのRSIは非常に有効なテクニカル指標であり、これを活用しない手はないでしょう。視覚的に買い付けするタイミングや手仕舞いのタイミングが判断しやすい株においてのRSIは、私たち投資家にとっては非常に心強い武器となることでしょう。

ぜひ、今回の分析結果をもとに、あなたのトレードに役立ててみてはいかがでしょうか。

<追伸>
コロナショックで相場が大きく動いている最中ですので、今の株価動向が気になる方も多いかと思います。
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