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株価チャートを見ていて、「3日連続で上がっているから、そろそろ天井か?」5日連続で下げているから、そろそろ底か?」と判断したことはありませんか? 連続上昇・連続下落は最もシンプルなテクニカル指標の一つですが、その効果が銘柄の規模によって大きく異なることは、意外と知られていません。

本記事では、東証全銘柄11年・約580万件のデータを使い、「連続上昇/連続下落の日数」×「時価総額規模」のクロス分析を実施。連騰1日〜5日以上、超大型(1兆円超)〜超小型(300億円未満)の5規模で、翌日のリターンと勝率を詳細に集計しました。

結論を先にお伝えします。連続上昇後の翌日リターンは、規模を問わずほぼゼロ〜微プラス(追い掛け買いは儲からない)。一方で連続下落後の翌日リターンは、規模を問わずプラス、特に3日以上の連敗後は明確なリバウンドを示します。最大は小型株5日連敗後の+0.194%・勝率52.0%。「連騰で買うな、連敗で買え」というシンプルな原則が、過去11年の実データで裏付けられました。

執筆者

西村剛
西村剛

フェアトレード株式会社 代表取締役。機関投資家出身で統計データを重視したシステムトレードに注力。2011年株-1グランドチャンピオン大会で+200.4%、2012年+160.1%、2013年157.0%を叩き出し三連覇達成。証券アナリスト検定会員。システムトレードを使った定量分析と、これまでファンドマネジャーとして培ったファンダメンタルズ分析を融合した新しい視点で株式市場を分析し、初心者でもわかりやすい言葉を使った解説に定評がある。

システムトレード

1.検証ルール

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検証対象:東証全銘柄(プライム・スタンダード・グロース、上場廃止含む)
検証期間:2015年1月〜2025年12月(約11年間)
サンプル数:合計 約580万件

【規模区分(時価総額・5段階)】

  • 超大型(1兆円超)
  • 大型(3000〜1兆円)
  • 中型(1000〜3000億円)
  • 小型(300〜1000億円)
  • 超小型(〜300億円)

※規模区分は2026年5月時点の最新時価総額で固定(stock_marketcap.txt)

【連騰/連敗の定義】

  • 連騰=前日終値より高い日が連続している
  • 連敗=前日終値より低い日が連続している
  • 横ばい(差がゼロ)の日はカウントリセット
  • 連続日数 1日 / 2日 / 3日 / 4日 / 5日以上 の5段階

【検証指標】連騰/連敗のN日目時点で観測し、翌日終値リターン(当日終値→翌日終値)を集計。

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2.検証結果

(1) 規模×連騰連敗 ヒートマップ(全体観)

規模×連騰連敗 ヒートマップ

※画像はクリックすると拡大してご覧いただけます

ヒートマップで見ると、連敗後(右側)は全規模・全日数でプラス連騰後(左側)も全体的にプラスだが値が小さいのが分かります。連敗の方が連騰よりも翌日のリターンが明確に大きい――これが本検証の核心です。

(2) 連続上昇後の翌日リターン

規模別 連騰後の翌日リターン

※画像はクリックすると拡大してご覧いただけます

規模 \ 連騰日数1日連騰2日連騰3日連騰4日連騰5日以上連騰
超大型(1兆円超)+0.066%+0.099%+0.038%+0.034%+0.052%
大型(3000億〜1兆円)+0.047%+0.086%+0.045%+0.008%+0.025%
中型(1000〜3000億円)+0.037%+0.077%+0.038%+0.020%+0.056%
小型(300〜1000億円)+0.028%+0.077%+0.048%+0.037%+0.065%
超小型(〜300億円)+0.008%+0.067%+0.043%+0.034%+0.078%

連続上昇後の翌日リターンは、規模を問わず+0.0〜+0.1%程度と非常に小さい数値。「3日連騰だから天井」「5日連騰だから売り」という常識ほどには、明確な下落は示しません。

勝率を見ると、超大型・大型は5割前後で安定している一方、超小型は1日連騰後が勝率42.9%と低水準。「連騰の超小型を翌日寄りで買う」と10回中6回は負けるという、追い掛け買いの典型的な落とし穴を示しています。

(3) 連続下落後の翌日リターン

規模別 連敗後の翌日リターン

※画像はクリックすると拡大してご覧いただけます

規模 \ 連敗日数1日連騰2日連騰3日連騰4日連騰5日以上連騰
超大型(1兆円超)+0.042%+0.038%+0.157%+0.118%+0.099%
大型(3000億〜1兆円)+0.055%+0.028%+0.148%+0.135%+0.051%
中型(1000〜3000億円)+0.064%+0.016%+0.171%+0.150%+0.138%
小型(300〜1000億円)+0.067%-0.001%+0.141%+0.133%+0.194%
超小型(〜300億円)+0.050%-0.032%+0.120%+0.082%+0.143%

連続下落後はかなり様相が変わります。3日連敗後から明確にリターンが上振れし、特に中型3日連敗+0.171%・小型5日連敗+0.194%・超大型3日連敗+0.157%と、いずれも翌日終値リターンが+0.1〜+0.2%超を記録。

勝率も連敗3日以上から明確に上昇。3日連敗以降は全規模で勝率50〜52%程度と、連騰後よりも明らかに高い数値を示します。連敗が長いほどリバウンドが強くなる――これは典型的な「平均回帰」効果の表れです。

(4) 連騰/連敗 勝率比較(規模別)

連騰後 勝率

規模 \ 連騰日数1日連騰2日連騰3日連騰4日連騰5日以上連騰
超大型(1兆円超)49.8%50.3%49.1%48.9%50.0%
大型(3000億〜1兆円)49.2%49.4%48.8%48.7%49.0%
中型(1000〜3000億円)48.2%49.0%48.3%48.0%49.2%
小型(300〜1000億円)46.8%47.8%47.6%47.3%48.8%
超小型(〜300億円)42.9%44.1%44.3%44.8%46.7%

連敗後 勝率

規模 \ 連敗日数1日連騰2日連騰3日連騰4日連騰5日以上連騰
超大型(1兆円超)50.0%51.1%51.9%52.3%51.7%
大型(3000億〜1兆円)50.0%50.6%51.0%51.9%50.7%
中型(1000〜3000億円)49.8%50.1%51.5%51.4%51.5%
小型(300〜1000億円)49.4%49.1%50.3%50.8%52.0%
超小型(〜300億円)47.0%47.2%48.6%48.6%49.4%

勝率の比較で、規模ごとの傾向の違いが鮮明です。超大型・大型では連騰でも連敗でも勝率はほぼ50%前後で安定。一方超小型は連騰後の勝率が42〜47%と低く、連敗後も47〜49%と、全体に勝率が低い傾向。「超小型は連騰でも連敗でも、翌日下げる確率が高い銘柄群」と言えます。

3.なぜ「連敗後はリバウンド」「連騰後はフラット」なのか

連続上昇と連続下落で、翌日リターンの傾向が違うのには明確な理由があります。

(1) 連敗銘柄は「売り需給の出尽くし」が発生する

連続下落の継続中は、ロスカット・追証発生・狼狽売り・損切りなど、強制的な売り圧力が継続的にかかります。3日〜5日と連敗が続くと、こうした強制売りが出尽くす。需給的に売る人がいなくなったところで、押し目買い・バリュー買いが入って自然と反発します。

(2) 連騰銘柄は「買い需給がまだ残っている」

連続上昇中は、トレンドフォロー・モメンタム戦略の機関投資家・順張り個人投資家が継続的に買いを入れる局面。連騰3日や5日では、まだ買い需給は出尽くしていないケースが多く、翌日も小幅プラスを維持することが多いのです。「天井形成」には、もっと激しい急騰(出来高急増 × 陽引け)や、業績悪材料などの外部要因が必要になります。

(3) 平均回帰(mean reversion)の数学的性質

株価リターンには「極端な動きの後は平均値に戻る」という平均回帰の性質があります。連敗5日は明確に「下げ過ぎ」のサインなので翌日プラスに戻りやすい。一方、連騰5日は「上げ過ぎ」とまでは言えず、平均回帰の力学が弱い――この非対称性が結果に表れています。

(4) 規模による違い:超小型は構造的に弱い

超小型(300億円未満)は、機関投資家マネーが入りにくく個人投資家中心の需給。連騰中も翌日に個人の利確売りが優勢になり、連敗中も買い需要が薄い。「時価総額別パフォーマンス」記事で示した「大型株効果」と整合的な傾向です。

(5) 連続下落リバウンド記事との整合性

本サイト別記事「連続下落リバウンド」でも、7日以上の連続下落後に+1.19%のリバウンドが観測されました。本検証はそれを規模別に深掘りしたもので、規模を問わず連敗リバウンドが効くことを確認しています。

(6) 連続上昇N日後との整合性

連続上昇N日後の翌日リターン」では、5日以上連続上昇銘柄を翌日始値で買うとマイナスというデータでした。本検証では「翌日終値」リターン基準で集計しているため、若干プラス寄りに見えますが、翌日デイトレ(翌始→翌終)ではマイナスになることが整合的に確認されています。

4.規模別の特徴整理

規模ごとに連騰連敗の効果がどう違うかを深掘りします。

超大型(1兆円超):連騰連敗ともに勝率50%前後で安定

超大型銘柄は、連騰でも連敗でも勝率50%前後で安定。機関投資家マネーが分厚く、需給が極端に偏らないため、連騰連敗のシグナル効果も穏やか。3日連敗後+0.157%・勝率51.9%と、ほどよいリバウンドが期待できます。

大型・中型:3日連敗以降のリバウンドが明確

大型(3000〜1兆円)と中型(1000〜3000億円)では、3〜4日連敗後のリバウンドが最も顕著。中型3日連敗+0.171%・勝率51.5%と、安定した期待値を示します。流動性も十分で、実戦で運用しやすい規模帯です。

小型:5日以上連敗が最強リバウンド

小型(300〜1000億円)では、5日以上連敗後+0.194%・勝率52.0%と、全規模・全日数の中で最強のリバウンド期待値。短期で売られすぎた小型株を狙う逆張り戦略には最適なゾーンです。

超小型:勝率が全体に低く、買い向かいは慎重に

超小型(300億円未満)は、連騰でも連敗でも勝率が45%前後と全規模中で最低。「平均値ではプラス」でも、勝率が低い=「半分以上の銘柄は下げる」分布です。少額分散・厳格な損切ルールが必須となります。

「連騰超小型は買うな、連敗中型・小型はチャンス」

全体的な結論として、追い掛け買いがしたいなら超大型・大型に絞る逆張りリバウンドを狙うなら3日以上連敗の中型・小型を狙う。これが本検証の最大の実戦的教訓です。

5.実践のポイント:規模別の連騰連敗戦略

本検証で見えた規模別の特徴を、実戦の戦略に落とし込みます。

(1) 「3日以上連敗の中型・小型」を翌日寄りで買う

最も再現性が高いリバウンド戦略は「3日以上連続下落 × 中型〜小型(300〜3000億円)」を翌日寄りで購入。中型3日連敗+0.171%、小型5日連敗+0.194%、勝率はいずれも50〜52%。機関投資家にも見向きされる規模帯で、流動性・出来高も十分です。

(2) 「連騰超小型」は新規買い禁止

逆に避けるべきは「連続上昇 × 超小型(300億円未満)」。1日連騰でも勝率42.9%・5日連騰でも46.7%と、追い掛け買いは平均的に負け。SNS・株掲示板で話題の超小型急騰銘柄を翌日寄りで買うのは、典型的な投資の罠です。

(3) ロング・ショート併用:超小型をショートヘッジ

ポートフォリオが大型ロング中心なら、超小型のインバース型ETF(例:日経225インバース、TOPIXインバース等)を組み合わせて、超小型の連騰銘柄をヘッジする手法も有効です。

(4) 連敗銘柄を「下げ止まり」で買う

連敗中の銘柄をいきなり買うのではなく、「3日連敗後の陽線」「ストップ安からの反発」を確認してから買う方が、リスクを抑えられます。本サイト別記事「ストップ安翌日リバウンド」と組み合わせると、より精緻なエントリーが可能です。

(5) バスケット運用で個別リスク分散

1日に「3日以上連敗の中型・小型」は数十〜数百銘柄あります。1〜2銘柄に集中せず10〜30銘柄のバスケットで運用することで、個別リスクを大幅に分散できます。

(6) 業績悪材料による連敗は除外

連敗の中には業績下方修正・不祥事・不適切会計などによる下落が含まれます。これらの銘柄は連敗5日でも10日でも反発しないことが多いため、IR内容の確認・業績ニュースの除外は必須です。

6.注意すべきリスクと落とし穴

「連敗リバウンド戦略」が統計的優位とはいえ、機械的な実行はリスクを伴います。

(1) 平均リターンは絶対値が小さい

最大期待値の小型5日連敗+0.194%でも、絶対値としては小さい数値。手数料・スリッページを考慮すると、低コスト証券・引け成り注文・バスケット運用が前提となります。

(2) 業績悪化による連敗は反発しない

連敗の中には業績下方修正・不祥事・上場廃止懸念などが含まれます。これらの銘柄は連敗が10日・20日と続き、回復しないまま上場廃止になるケースもあります。決算発表後・IRリリース後の銘柄は除外するルールを推奨します。

(3) 全体相場の暴落局面では機能しにくい

本検証は11年間の平均値。リーマンショック・コロナショック・金利急騰局面などの暴落相場では、連敗5日でもリバウンドせず、さらに下げ続けるケースが多くなります。地合いフィルター(日経平均トレンド・VIX指数等)を組み合わせると精度が上がります。

(4) 流動性の問題

超小型の連敗銘柄では、出来高が極端に少なくなり、引け成り注文が約定しないことがあります。最低出来高フィルター(5,000株以上・売買代金1000万円以上等)を加える方が安全です。

(5) 連騰銘柄を「もう天井」と空売りするのは危険

本検証で連騰後リターンは「ほぼゼロ」であり、明確なマイナスではありません。「連騰3日だから空売り」と機械的に行うと、勝率50%前後で期待値はゼロに近い。空売りコスト(信用金利)を考えるとむしろマイナスになる可能性が高いです。

(6) 「規模区分は固定時点」の制約

本検証では時価総額の規模区分を2026年5月時点で固定しています。2015年時点では別の規模帯だった銘柄もありますが、検証目的(「現在の規模で見て」という投資家視点)では妥当な集計手法です。

7.他のアノマリーと組み合わせる戦略

「連騰連敗 × 規模」は他の検証と組み合わせるとさらに精度が上がります。

(1) 終値位置との組み合わせ

終値位置別 翌日リターン」と組み合わせて、「3日連敗 × 陰引け(終値位置0-30%)× 小型」を抽出すれば、最も強烈なリバウンド候補が絞り込めます。

(2) 出来高×終値位置との組み合わせ

出来高×終値位置クロス」と組み合わせて、「3日連敗 × 陰引け × 出来高急増」のトリプル底セットアップを抽出。投げ売りピークでの逆張りエントリーになります。

(3) 連続下落リバウンドとの統合

連続下落リバウンド」では7日以上の連続下落で+1.19%のリバウンド。本記事の規模別データと合わせると、「中型・小型の7日以上連敗」が最も期待値の高いゾーンと推定できます。

(4) ストップ安翌日との組み合わせ

ストップ安翌日リバウンド」(25%以上下落で翌日+2.43%)と組み合わせて、「3日連敗 × ストップ安比例配分 × 中型・小型」はリバウンド期待値最大のセットアップ。

(5) 時価総額別パフォーマンスとの組み合わせ

時価総額別パフォーマンス」では大型株効果を確認。本記事の「超小型は連騰連敗ともに勝率低い」というデータと整合的で、超小型を避けるという原則が複数のデータで裏付けられています。

8.まとめ:連敗で買え、連騰超小型は避けよ

東証全銘柄11年・約580万件のデータ検証から、連続上昇/連続下落の効果は規模によって大きく異なることが判明しました。要点を整理します。

  • 連続上昇後の翌日リターン:全規模で+0.0〜+0.1%程度。「追い掛け買いは儲からない」
  • 連続下落後の翌日リターン:全規模でプラス、3日以上連敗から特に明確(+0.1〜+0.2%)
  • 最強パターン:小型5日連敗+0.194%・勝率52.0%、中型3日連敗+0.171%・勝率51.5%
  • 避けるべきパターン:超小型1日連騰(勝率42.9%)、超小型5日連騰(勝率46.7%)
  • 規模別の傾向:超大型・大型は安定50%前後、中型・小型は連敗リバウンドが効く、超小型は構造的に弱い

この結果は、(1)連敗中の売り需給出尽くし、(2)連騰中は買い需給が継続、(3)平均回帰の数学的性質、(4)規模別の機関マネー流入度の違い、(5)超小型の構造的弱さから説明できます。

実戦で活用する際のポイントは以下の通りです。

  1. 3日以上連敗の中型・小型を翌日寄りで買う(最強リバウンド戦略)
  2. 連騰超小型は新規買い禁止(勝率が低く期待値マイナス)
  3. 連敗銘柄は「下げ止まり陽線」を確認してからエントリー
  4. 10〜30銘柄のバスケット運用で個別リスク分散
  5. 業績悪化・不祥事による連敗は除外
  6. 地合いフィルター(日経平均トレンド・VIX)を組み合わせ精度向上

「連騰で買って連敗で売る」――これは順張り派の典型的なルールですが、データは逆を示しています。連敗3日以上の中型・小型を逆張り買い連騰超小型の追い掛け買いは禁物――この2つの原則を徹底するだけで、過去11年・580万件のデータが裏付けた統計的優位性を享受できます。

本サイトでは「連続下落リバウンド」「連続上昇N日後」「終値位置別 翌日リターン」「時価総額別パフォーマンス」など、関連する逆張り・規模別アノマリー記事を多数公開中。組み合わせて活用することで、より精緻な短期売買戦略を構築できます。

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「株システムトレードの教科書」の記事は、機関投資家出身・証券アナリスト検定会員の西村剛が、統計データ・システムトレード・ファンダメンタルズを融合して解説しています。
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