今回は、「NYダウが上がったら買い?下がったら買い?」ということを詳しく分析してみました。
NYダウは、米国の株価指数であり、世界で最も多くの投資家に注目されている指標です。
NYダウが上がるのか、下がるのかを確認して、日本の投資家も自分の投資スタンスを決めています。
そもそも「NYダウ」とはどんな指標なのでしょうか?
目次
1.NYダウとは
NYダウの正式名称は「ダウ工業株30種平均」と言い、米国株式市場に上場している30銘柄で構成された指数です。
このNYダウに組み入れられている30銘柄ですが、誰もが知っている世界的に有名な企業ばかりが選出されています。
iPhoneでおなじみの【アップル】や、日本でも多くの人に親しまれている【コカ・コーラ】、【マクドナルド】、【ナイキ】、【ウォルト・ディズニー】などが含まれています。
時価総額が大きく、投資家からの関心も非常に高く、世界経済への影響度も非常に大きい銘柄ばかりですね。
NYダウに選定されている銘柄の企業業績が悪化すれば、世界の株式市場は悲観的になり、企業業績が良好ならば、世界の株式市場が楽観的になる傾向があります。
とても重要な株価指数と言えるでしょう。
特に、日本株市場は、「NYダウ」の影響を強く受けやすいです。
それは、「NYダウ」の取引時間と関係があります。
米国株式市場が取引されているのは、
・22時30分〜翌朝5時(サマータイム:3月の第2日曜日から11月第1日曜日まで)
・23時30分〜翌朝6時(上記サマータイム以外)
となっています。
日本の株式市場は「9時」から開きますので、NYダウの動向で日本の株式市場は変動します。
NYダウの株価変動の影響を強く受けやすいのが日本株市場なのです。
NYダウと日本株市場には、以下のような傾向が強いと言われています。
NYダウが上昇すれば、日本株市場も上昇する
NYダウが下落すれば、日本株市場も下落する
といった関係です。
これは、株式投資を実践しているあなたならば、感覚的にご存知かもしれません。
この関係は、投資を行う上で重要であり、絶対に把握しておきたい傾向の一つでしょう。
これだけ密接な関係にあるNYダウと日本株市場ならば、このNYダウの動きを活用して、日本株投資に活かすことが出来ないでしょうか。
NYダウが上昇したら、日本株を買い(もしくは売り)
NYダウが下落したら、日本株を買い(もしくは売り)
といった投資を行えば、利益が期待できそうです。
ただし、NYダウが上昇したら、日本株を買えばよいのか、空売りすれば儲かるのか、分かりません。
そこで、今回は、過去の株価のデータ21年分を使って、NYダウと日本株市場の関係について、詳しく分析してみました。
2.NYダウ上昇時、日経225銘柄買い戦略の有効性
今回は、NYダウが前日終値と比較して1%以上上昇したら、日経平均採用銘柄(225銘柄)買い付けを行い、当日の大引けに手仕舞いした場合について分析します。
また、NYダウが前日終値と比較して1%以上下落したら、日経平均採用銘柄(225銘柄)買い付けを行い、当日の大引けに手仕舞いした場合について分析します。
この2つの分析を行うことで、
NYダウが上昇したら、日本株は買いか?売りか?を判断できます。
そして、NYダウが下落したら、日本株は買いか?売りか?を判断できます。
では、さっそく分析していきましょう。
はじめは、NYダウが上昇した場合についてです。
ⅰ.ルール詳細(NYダウが上昇したら日本株を買う場合の検証)~
===========================================
分析対象:日経平均採用銘柄(225銘柄)
分析期間:2000/01/01~2020/12/31
1銘柄当たりの投資金額:20万円
【買い条件】・NYダウが前日終値と比較して1%以上上昇したら、日経平均採用銘柄(225銘柄)買い付け、
【売り条件】・買い付けした当日の、大引けに成行売り
===========================================
上記が、今回の分析条件です。
NYダウが前日終値と比較して1%以上上昇したら、日経平均採用銘柄である225銘柄を寄り付きに成行買いします。
そして、買い付けしたその日の大引けに一律で成行の手仕舞いします。
仮に、勝率が高く、1トレードあたりの平均損益がプラスならば、NYダウが上昇したタイミングは、日本株は買いのチャンスと言えるでしょう。
一方で、勝率が低く、平均損益がマイナスならば、NYダウが上昇したタイミングは、日本株は空売りのチャンスと言えるでしょう。
では、上記の条件で過去の株価データでトレードした場合に、どのような検証結果になるでしょうか。
分析結果は以下をご覧下さい。
ⅱ.検証結果(NYダウが上昇したら日本株を買う場合の検証)
勝率: 45.44 %
勝ち数: 61,223 回
負け数: 73,503 回
引き分け数: 7,287 回
平均損益(円): -314 円 平均損益(率): -0.16 %
平均利益(円): 3,054 円 平均利益(率): 1.53 %
平均損失(円): -3,150 円 平均損失(率): -1.58 %
合計損益(円): -44,529,738 円 合計損益(率): -22,267.94 %
合計利益(円): 186,973,613 円 合計利益(率): 93,501.79 %
合計損失(円): -231,503,351 円 合計損失(率): -115,769.73 %
PF: 0.808
平均保持日数: 0.00 日
上記が、分析結果です。
分析結果を確認すると、勝率は45.44%、平均損益は-0.16%です。
勝率は5割を割り込み、平均損益はマイナスです。
以上の結果を見る限り、NYダウ指数が前日比で1%以上上昇しているタイミングで、日本株を買うと損失を被る可能性が高いと言えるでしょう。
言い換えると、NYダウ指数が上昇しているタイミングでは、日本株を空売りすることで、利益が得られる可能性が高いと言えるでしょう。
なぜ、このような結果になったのでしょうか。
単純な発想であれば、NYダウが上昇したのならば、日本株市場も上昇しそうであり、買い(ロング)が有利そうです。
しかし、実際の分析では、空売りが有利でした。
おそらく、これは、寄り付きに高値をとって、その後売られている傾向が強いからでしょう。
NYダウが上昇していることを受けて、日本株市場も寄り付きは上昇するものの、その後引けにかけて、利益確定売り等が出て、大引けに向けて株価が下がりやすい傾向があると言えるでしょう。
以上が、「NYダウが上昇した場合の分析」です。
では、次に、NYダウが下落した場合についてです。分析内容の詳細は以下の通りです。
ⅲ.ルール詳細(NYダウが下落したら日本株を買う場合の検証)~
===========================================
分析対象:日経平均採用銘柄(225銘柄)
分析期間:2000/01/01~2020/12/31
1銘柄当たりの投資金額:20万円
【買い条件】・NYダウが前日終値と比較して1%以上上昇したら、日経平均採用銘柄(225銘柄)買い付け
【売り条件】・買い付けした当日の、大引けに成行売り
===========================================
上記が、今回の分析条件です。
NYダウが前日終値と比較して1%以上下落したら、日経平均採用銘柄である225銘柄を寄り付きに成行買いします。
そして、買い付けしたその日の大引けに一律で成行の手仕舞いします。
仮に、勝率が高く、1トレードあたりの平均損益がプラスならば、NYダウが下落したタイミングは、日本株は買いのチャンスと言えるでしょう。
一方で、勝率が低く、平均損益がマイナスならば、NYダウが下落したタイミングは、日本株は空売りのチャンスと言えるでしょう。
では、上記の条件で過去の株価データでトレードした場合に、どのような検証結果になるでしょうか。
分析結果は以下をご覧下さい。
ⅳ.検証結果(NYダウが下落したら日本株を買う場合の検証)
勝率: 51.83 %
勝ち数: 68,198 回
負け数: 63,377 回
引き分け数: 7,134 回
平均損益(円): 262 円 平均損益(率): 0.13 %
平均利益(円): 3,467 円 平均利益(率): 1.73 %
平均損失(円): -3,158 円 平均損失(率): -1.58 %
合計損益(円): 36,304,138 円 合計損益(率): 18,153.26 %
合計利益(円): 236,467,956 円 合計利益(率): 118,250.62 %
合計損失(円): -200,163,818 円 合計損失(率): -100,097.36 %
PF: 1.181
平均保持日数: 0.00 日
上記が、分析結果です。
分析結果を確認すると、勝率は51.83%、平均損益は0.13%です。勝率は5割を超え、平均損益はプラスです。
以上の結果を見る限り、NYダウ指数が前日比で1%以上下落しているタイミングで、日本株を買うと利益となる可能性が高いと言えるでしょう。
言い換えると、NYダウ指数が上昇しているタイミングでは、日本株を空売りすると損失を被る可能性が高いと言えるでしょう。
なぜ、このような結果になったのでしょうか。
単純な発想であれば、NYダウが下落したのならば、日本株市場も下落しそうであり、空売り(ショート)が有利そうです。
しかし、実際の分析では、買い(ロング)が有利でした。
おそらく、これは、寄り付きに安値をつけて、その後買戻しが入る傾向が強いからでしょう。
NYダウが下落していることを受けて、日本株市場も寄り付きは下落するものの、その後引けにかけて、割安感から買戻しが入り、大引けに向けて株価が上がりやすい傾向があると言えるでしょう。
3.まとめ NYダウの動きと真逆の動きをすべし!!
21年の株価のデータを使って分析した結果、NYダウが上昇したら空売りを仕掛け、NYダウが下落したら買い(ロング)で仕掛けることで、利益を得られる可能性が高いことが分かりました。
今回の分析では、仕掛けた当日の大引けに手仕舞いするので、デイトレードをする場合には、非常に役に立つ情報と言えるでしょう。
多くの投資家は、NYダウが上昇したら、日本株市場は一日中上昇し続けていると思っていますが、実際に過去のデータから分析してみると、寄付きでは上昇するものの、その後は勢いが落ちることが分かりました。
この傾向を知っているのと、知らないで投資するのでは、今後の運用パフォーマンスに大きな差が生じるでしょう。
NYダウと日本株市場は、切っても切れない密接な関係にあり、この関係を利用することで、投資が上手くいくこともあれば、逆に損をすることもあります。
しっかりとNYダウと日本株市場の関係を理解し、それを活用することで、利益を掴むことができます。
ぜひ、今回の分析結果をもとに、あなたのトレードに役立ててみてはいかがでしょうか。
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