日本株

今回は、「NYダウが上がったら買い?下がったら買い?」ということを詳しく分析してみました。

NYダウは、米国の株価指数であり、世界で最も多くの投資家に注目されている指標です。
NYダウが上がるのか、下がるのかを確認して、日本の投資家も自分の投資スタンスを決めています。

そもそも「NYダウ」とはどんな指標なのでしょうか?

執筆者

西村剛
西村剛

フェアトレード株式会社 代表取締役。機関投資家出身で統計データを重視したシステムトレードに注力。2011年株-1グランドチャンピオン大会で+200.4%、2012年+160.1%、2013年157.0%を叩き出し三連覇達成。証券アナリスト検定会員。システムトレードを使った定量分析と、これまでファンドマネジャーとして培ったファンダメンタルズ分析を融合した新しい視点で株式市場を分析し、初心者でもわかりやすい言葉を使った解説に定評がある。



システムトレード

1.NYダウとは

NYダウの正式名称は「ダウ工業株30種平均」と言い、米国株式市場に上場している30銘柄で構成された指数です。

このNYダウに組み入れられている30銘柄ですが、誰もが知っている世界的に有名な企業ばかりが選出されています。

iPhoneでおなじみの【アップル】や、日本でも多くの人に親しまれている【コカ・コーラ】、【マクドナルド】、【ナイキ】、【ウォルト・ディズニー】などが含まれています。

時価総額が大きく、投資家からの関心も非常に高く、世界経済への影響度も非常に大きい銘柄ばかりですね。

NYダウに選定されている銘柄の企業業績が悪化すれば、世界の株式市場は悲観的になり、企業業績が良好ならば、世界の株式市場が楽観的になる傾向があります。
とても重要な株価指数と言えるでしょう。

特に、日本株市場は、「NYダウ」の影響を強く受けやすいです。
それは、「NYダウ」の取引時間と関係があります。

米国株式市場が取引されているのは、

・22時30分〜翌朝5時(サマータイム:3月の第2日曜日から11月第1日曜日まで)
・23時30分〜翌朝6時(上記サマータイム以外)

となっています。


日本の株式市場は「9時」から開きますので、NYダウの動向で日本の株式市場は変動します。
NYダウの株価変動の影響を強く受けやすいのが日本株市場なのです。

NYダウと日本株市場には、以下のような傾向が強いと言われています。

NYダウが上昇すれば、日本株市場も上昇する
NYダウが下落すれば、日本株市場も下落する

といった関係です。


これは、株式投資を実践しているあなたならば、感覚的にご存知かもしれません。
この関係は、投資を行う上で重要であり、絶対に把握しておきたい傾向の一つでしょう。

これだけ密接な関係にあるNYダウと日本株市場ならば、このNYダウの動きを活用して、日本株投資に活かすことが出来ないでしょうか。

NYダウが上昇したら、日本株を買い(もしくは売り
NYダウが下落したら、日本株を買い(もしくは売り

といった投資を行えば、利益が期待できそうです。

ただし、NYダウが上昇したら、日本株を買えばよいのか、空売りすれば儲かるのか、分かりません。

そこで、今回は、過去の株価のデータ21年分を使って、NYダウと日本株市場の関係について、詳しく分析してみました。

2.NYダウ上昇時、日経225銘柄買い戦略の有効性

今回は、NYダウが前日終値と比較して1%以上上昇したら、日経平均採用銘柄(225銘柄)買い付けを行い、当日の大引けに手仕舞いした場合について分析します。

また、NYダウが前日終値と比較して1%以上下落したら、日経平均採用銘柄(225銘柄)買い付けを行い、当日の大引けに手仕舞いした場合について分析します。

この2つの分析を行うことで、

NYダウが上昇したら、日本株は買いか?売りか?を判断できます。
そして、NYダウが下落したら、日本株は買いか?売りか?を判断できます。

では、さっそく分析していきましょう。
はじめは、NYダウが上昇した場合についてです。

ⅰ.ルール詳細(NYダウが上昇したら日本株を買う場合の検証)~

===========================================

分析対象:日経平均採用銘柄(225銘柄)
分析期間:2000/01/01~2020/12/31
1銘柄当たりの投資金額:20万円

【買い条件】・NYダウが前日終値と比較して1%以上上昇したら、日経平均採用銘柄(225銘柄)買い付け、

【売り条件】・買い付けした当日の、大引けに成行売り

===========================================

上記が、今回の分析条件です。

NYダウが前日終値と比較して1%以上上昇したら、日経平均採用銘柄である225銘柄を寄り付きに成行買いします。
そして、買い付けしたその日の大引けに一律で成行の手仕舞いします。

仮に、勝率が高く、1トレードあたりの平均損益がプラスならば、NYダウが上昇したタイミングは、日本株は買いのチャンスと言えるでしょう。

一方で、勝率が低く、平均損益がマイナスならば、NYダウが上昇したタイミングは、日本株は空売りのチャンスと言えるでしょう。

では、上記の条件で過去の株価データでトレードした場合に、どのような検証結果になるでしょうか。
分析結果は以下をご覧下さい。


ⅱ.検証結果(NY
ダウが上昇したら日本株を買う場合の検証)

 勝率: 45.44
 勝ち数: 61,223 回
 負け数: 73,503 回
 引き分け数: 7,287 回

 平均損益(円): -314 円  平均損益(率): -0.16
 平均利益(円): 3,054 円  平均利益(率): 1.53 %
 平均損失(円): -3,150 円  平均損失(率): -1.58 %

 合計損益(円): -44,529,738 円  合計損益(率): -22,267.94 %
 合計利益(円): 186,973,613 円  合計利益(率): 93,501.79 %
 合計損失(円): -231,503,351 円  合計損失(率): -115,769.73 %

 PF: 0.808
 平均保持日数: 0.00 日

上記が、分析結果です。

分析結果を確認すると、勝率は45.44平均損益は-0.16です。
勝率は5割を割り込み、平均損益はマイナスです。

以上の結果を見る限り、NYダウ指数が前日比で1%以上上昇しているタイミングで、日本株を買うと損失を被る可能性が高いと言えるでしょう。

言い換えると、NYダウ指数が上昇しているタイミングでは、日本株を空売りすることで、利益が得られる可能性が高いと言えるでしょう。

なぜ、このような結果になったのでしょうか。

単純な発想であれば、NYダウが上昇したのならば、日本株市場も上昇しそうであり、買い(ロング)が有利そうです。
しかし、実際の分析では、空売りが有利でした。

おそらく、これは、寄り付きに高値をとって、その後売られている傾向が強いからでしょう。

NYダウが上昇していることを受けて、日本株市場も寄り付きは上昇するものの、その後引けにかけて、利益確定売り等が出て、大引けに向けて株価が下がりやすい傾向があると言えるでしょう。

以上が、「NYダウが上昇した場合の分析」です。



では、次に、NYダウが下落した場合についてです。分析内容の詳細は以下の通りです。

ⅲ.ルール詳細(NYダウが下落したら日本株を買う場合の検証)~

===========================================

分析対象:日経平均採用銘柄(225銘柄)
分析期間:2000/01/01~2020/12/31
1銘柄当たりの投資金額:20万円

【買い条件】・NYダウが前日終値と比較して1%以上上昇したら、日経平均採用銘柄(225銘柄)買い付け

【売り条件】・買い付けした当日の、大引けに成行売り

===========================================

上記が、今回の分析条件です。
NYダウが前日終値と比較して1%以上下落したら、日経平均採用銘柄である225銘柄を寄り付きに成行買いします。
そして、買い付けしたその日の大引けに一律で成行の手仕舞いします。

仮に、勝率が高く、1トレードあたりの平均損益がプラスならば、NYダウが下落したタイミングは、日本株は買いのチャンスと言えるでしょう。

一方で、勝率が低く、平均損益がマイナスならば、NYダウが下落したタイミングは、日本株は空売りのチャンスと言えるでしょう。

では、上記の条件で過去の株価データでトレードした場合に、どのような検証結果になるでしょうか。
分析結果は以下をご覧下さい。

ⅳ.検証結果(NYダウが下落したら日本株を買う場合の検証)

 勝率: 51.83
 勝ち数: 68,198 回
 負け数: 63,377 回
 引き分け数: 7,134 回

 平均損益(円): 262 円  平均損益(率): 0.13
 平均利益(円): 3,467 円  平均利益(率): 1.73 %
 平均損失(円): -3,158 円  平均損失(率): -1.58 %

 合計損益(円): 36,304,138 円  合計損益(率): 18,153.26 %
 合計利益(円): 236,467,956 円  合計利益(率): 118,250.62 %
 合計損失(円): -200,163,818 円  合計損失(率): -100,097.36 %

 PF: 1.181
 平均保持日数: 0.00 日


上記が、分析結果です。
分析結果を確認すると、勝率は51.83平均損益は0.13です。勝率は5割を超え、平均損益はプラスです。

以上の結果を見る限り、NYダウ指数が前日比で1%以上下落しているタイミングで、日本株を買うと利益となる可能性が高いと言えるでしょう。

言い換えると、NYダウ指数が上昇しているタイミングでは、日本株を空売りすると損失を被る可能性が高いと言えるでしょう。

なぜ、このような結果になったのでしょうか。


単純な発想であれば、NYダウが下落したのならば、日本株市場も下落しそうであり、空売り(ショート)が有利そうです。

しかし、実際の分析では、買い(ロング)が有利でした。
おそらく、これは、寄り付きに安値をつけて、その後買戻しが入る傾向が強いからでしょう。

NYダウが下落していることを受けて、日本株市場も寄り付きは下落するものの、その後引けにかけて、割安感から買戻しが入り、大引けに向けて株価が上がりやすい傾向があると言えるでしょう。

3.まとめ NYダウの動きと真逆の動きをすべし!!

21年の株価のデータを使って分析した結果、NYダウが上昇したら空売りを仕掛け、NYダウが下落したら買い(ロング)で仕掛けることで、利益を得られる可能性が高いことが分かりました。

今回の分析では、仕掛けた当日の大引けに手仕舞いするので、デイトレードをする場合には、非常に役に立つ情報と言えるでしょう。

多くの投資家は、NYダウが上昇したら、日本株市場は一日中上昇し続けていると思っていますが、実際に過去のデータから分析してみると、寄付きでは上昇するものの、その後は勢いが落ちることが分かりました。

この傾向を知っているのと、知らないで投資するのでは、今後の運用パフォーマンスに大きな差が生じるでしょう。

NYダウと日本株市場は、切っても切れない密接な関係にあり、この関係を利用することで、投資が上手くいくこともあれば、逆に損をすることもあります。

しっかりとNYダウと日本株市場の関係を理解し、それを活用することで、利益を掴むことができます。

ぜひ、今回の分析結果をもとに、あなたのトレードに役立ててみてはいかがでしょうか。

<追伸>
【無料】株システムトレードの教科書の記事は「システムトレードの達人」を使って検証しています。
↓↓↓↓↓

今ならシステムトレードの達人(無料版)がこちらよりダウンロードできます。
ぜひ手に入れてください!