日本株

執筆者

西村剛
西村剛

フェアトレード株式会社 代表取締役。機関投資家出身で統計データを重視したシステムトレードに注力。2011年株-1グランドチャンピオン大会で+200.4%、2012年+160.1%、2013年157.0%を叩き出し三連覇達成。証券アナリスト検定会員。システムトレードを使った定量分析と、これまでファンドマネジャーとして培ったファンダメンタルズ分析を融合した新しい視点で株式市場を分析し、初心者でもわかりやすい言葉を使った解説に定評がある。


システムトレード

寄り付きで儲けるとは?

寄り付きとは、株式市場における最初の取引のことです。

日本市場(東京証券取引所)では、市場が始まる朝9時00分が「寄り付き」となり、寄り付きに付けた株価が「始値(はじめね)」となります。

なお、前場が始まる9時00分は「前場寄り」、後場が始まる12時30分は「後場寄り」とも呼ばれますが、単に「寄り付き」と言うと9時00分の前場寄りを指すことが一般的です。

寄り付きの特徴としては、全ての時間帯の中で最も取引量が大きくなり、株価が動きやすい点が挙げられます。

寄り付き直後は取引量が急激に多くなり、株価も大きく動くため、寄り付きから9時30分頃まではデイトレードの「ゴールデンタイム」とも呼ばれます。

寄り付きからのデイトレードで儲けるメリットとしては、米国市場や為替相場、ニュースの影響を受けずに取引できることです。

日本市場は、15時00分に「大引け」となり市場が閉まり、米国市場や為替相場の結果を受けて、翌日の朝9時00分に市場が開きます。

この間に、米国市場が暴落する、為替相場が大きく動く、大きなニュースが出るといったことがあると、寄り付きには大きく値を下げて始まることが少なくありません。

数日間から2週間程度のスイングトレードでは、株を持ち越すことになるため、このような「持ち越しリスク」を受けます。

一方、株を持ち越さず、寄り付きに買いもしくは空売りでエントリーして、その日の内に利益確定するデイトレードなら、持ち越しリスクは発生しません。

 

寄り付きで儲ける3つのトレード手法

寄り付きで儲けるデイトレードの手法はさまざまなものがありますが、基本的には「寄り付きで買う」「寄り付きで空売りする」のどちらかしかありません。

いずれも共通点となるのは、「大きく動くと思われる銘柄にエントリーする」ということです。

デイトレードでは、株価が大きく動けば動くほど、利益のチャンスも多くなります。

寄り付きで儲けるトレード手法としては、次のような方法があります。

  • 前日に急騰した銘柄にエントリーする
  • 前日に暴落した銘柄にエントリーする
  • 新興のIPO銘柄にエントリーする

それぞれについて見ていきましょう。

前日に急騰した銘柄にエントリーする

前日に急騰した銘柄に、寄り付きからエントリーすることは、寄り付きで儲ける基本的な方法の一つです。

前日に急騰したということは、翌日も同様に急騰する可能性が期待できます。

一方、前日に急騰したということは、その銘柄を保有しているトレーダーがそろそろ利益確定したい場合もあるため、暴落するケースもあります。

前日に急騰した銘柄を、寄り付きに買うか空売りするかは、その銘柄の状況によって異なるため一概には言えません。

また、新興銘柄に多い非貸借銘柄は、制度信用取引では空売りができないため、基本的には買い戦略のみとなります。

次のチャートは、2024年4月中旬から5月初めに掛けて急騰した【4264】セキュアの日足チャートです(※同銘柄は非貸借銘柄のため制度信用取引で空売りはできません)。

寄り付き,儲ける

セキュアの株価は、最終的には暴落したものの、急騰した翌日は多くの日で「大陽線」となっていたことが分かります。

また、上図の上ヒゲを付けて暴落した日にしても、寄り付き価格は2,649円、上ヒゲ高値3,105円と、一時+17%以上の上昇率となっていました。

このように前日から急騰している銘柄には、寄り付きから多くのチャンスがあります。

ただ、リスクも大きいため、思惑とは逆の値動きをした際には、早期の損切りが必要となります。

ボラティリティー(価格の幅)が大きい銘柄の場合には、エントリーする玉数を小さくする代わりに、損切りラインを広く取ることもリスク管理として有効です。

 

前日に暴落した銘柄にエントリーする

前日に暴落した銘柄に寄り付きからエントリーすることも、寄り付きで儲けるトレード手法の一つです。

前日に暴落していると注目度も上がり、大反発する可能性も高くなるため、寄り付きから買うことで大きな利益になることがあります。

次のチャートは、2024年に大きく上がっている【1514】住石ホールディングスの日足チャートです。

寄り付き,儲ける

住石ホールディングスは、2024年3月中旬までは急騰していましたが、3月8日以降はストップ安連発の大暴落となりました。

逃げられずのストップ安を連発したため、天井圏で買い保有していたら悲劇以外の何物でもありません。

ただ、冷静にチャートを見てみると、暴落後には上ヒゲや陽線も出ており、日足チャートで見てもチャンスが多かったことが分かります。

暴落銘柄にエントリーして寄り付きで儲ける際の注意点としては、損切りや資金管理を徹底することはもちろん、十分に暴落するまで待つことが重要です。

中途半端な下げとなっている銘柄に寄り付きからエントリーしてしまうと、さらなる暴落に巻き込まれてしまい、「落ちたナイフを掴む」ことになってしまいがちです。

 

新興のIPO銘柄にエントリーする

新興のIPO銘柄(新規上場銘柄)のデイトレードは、難しい一方で、上手くいけば大きな利益を得られる手法の一つです。

東証グロース市場、東証スタンダード市場に新規上場する新興IPO銘柄は、上場直後は非常に大きな値動きをする傾向があります。

次のチャートは、2024年3月25日に東証グロース市場にIPOした【142A】ジンジブの日足チャートです。

寄り付き,儲ける

上場から最初の2日間は、大きな出来高を伴って、大きな動きとなっていることが分かります。

ただ、IPO銘柄の多くは、上場直後の数日間は大きく動くものの、中長期的には暴落となる「IPOゴール」の形となる銘柄が大半です。

また、IPO銘柄は世界中のデイトレーダーが注目しているため、複雑な動きをしやすく、単に寄り付きからエントリーするだけで儲けを出せるほど簡単ではない点にも注意が必要です。

IPO銘柄で儲けを出したい場合には、「IPO初値から○○%暴落している」といった条件を付けてエントリーをより厳格化するなど工夫するようにしましょう。

 

寄り付きで儲けるための前日の準備

寄り付きで儲けるための前日の準備について押さえておきましょう。

前日に大きく動いた銘柄をチェックしておく

寄り付きからエントリーする銘柄を探す上では、前日に大きく動いた銘柄をチェックしておくことが欠かせません。

「値上がりランキング」「値下がりランキング」から急騰・暴落銘柄を直接探す、「売買代金ランキング」から急騰・暴落銘柄を探すといった方法があります。

ただ、ランキングでは、あくまで前日の値動きしかチェックできないため、チャートや出来高でここまでの流れを確認して、「明日の寄り付きから注目されそうか?」と考えて選定するようにしましょう。

 

前日の米国市場や為替相場の動向を押さえておく

日本市場は、前日の米国市場や為替相場の動向を強く受けます。

日経平均株価やTOPIXといった全体相場の動向は、個別銘柄にも影響を与えます。

“CME225”こと「世界の株価と日経平均先物」などのサイトで、寄り付き直後の全体相場の動向をあらかじめ推測しておくようにしましょう。

 

寄り付き直後に大きく動きそうなニュースがないかチェックしておく

決算発表など、寄り付き直後に大きく動きそうな材料が出た銘柄がないかどうかをチェックしておくことも重要です。

ただ、決算発表は、必ずしも内容通りに動くとは限らず、良決算だったとしても「良材料出尽くし」で暴落することもあれば、悪決算だったとしても「ネガティブ材料出尽くし」で急騰することもあります。

ニュース材料をチェックしておくことは大事ですが、株価に反映されるニュースはそれほど多くない点には留意しておくようにしましょう。

 

まとめ

この記事では、寄り付きで儲けるデイトレード手法について解説してきました。

寄り付きで儲けるための銘柄選びとしては、前日に急騰もしくは暴落した銘柄にエントリーすることが基本となります。

とはいえ、単に前日に急騰・暴落した銘柄を選ぶのではなく、チャートや出来高の推移を見て「今日の寄り付きからも注目されそうか?」を考えて選定することが重要です。

また、急騰・暴落銘柄のような利益を出しやすい銘柄を、寄り付きからデイトレードする手法はリスクも大きいため、資金管理や損切りの徹底が欠かせないことにも注意しておきましょう。

 

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