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時価総額とは「株価×発行済み株式数」で算出されるその企業の価値を表す指標です。株式時価総額とも呼ばれます。

時価総額が1兆円を超える企業の株式は超大型株、時価総額が5000億円を超える企業の株式は大型株、時価総額が100億円未満は超小型株といったように時価総額の大きさで企業価値を分類する場合などに使われます。

本記事では時価総額の計算法や株式投資における使い方について解説します。

執筆者

西村剛
西村剛

フェアトレード株式会社 代表取締役。機関投資家出身で統計データを重視したシステムトレードに注力。2011年株-1グランドチャンピオン大会で+200.4%、2012年+160.1%、2013年157.0%を叩き出し三連覇達成。証券アナリスト検定会員。システムトレードを使った定量分析と、これまでファンドマネジャーとして培ったファンダメンタルズ分析を融合した新しい視点で株式市場を分析し、初心者でもわかりやすい言葉を使った解説に定評がある。



システムトレード

1.時価総額とは何か

時価総額とは、その企業の株価を発行済み株数で掛け合わせたものより算出され、その企業の価値を表すひとつの指標と言われています。上場企業の経営者陣は「時価総額経営」といった言葉に代表されるように自社の時価総額を大きくするように努めています。

株初心者の方は

時価総額=企業価値

と考えると分かりやすいでしょう。

2.時価総額の計算方法

時価総額の計算式は以下の数式で表します。

時価総額=株価×発行済み株式数

時価総額とは今発行されている株式を買うと全部でいくらなのか

と考えると分かりやすいかもしれません。
経営者は時価総額を増やす(=企業価値を増やす)ために業績向上に努めています。

3.日本の時価総額ランキング

日本でも最も時価総額が大きい企業はトヨタ自動車(7203)で約25兆円、2番目に大きい企業がソフトバンクグループ(9984)で約16兆円、3番目に大きい企業がキーエンス(6861)で12兆円となっています。(2020年12月11日現在)

時価総額ランキング

時価総額は株価の変動で動きますが時価総額が10兆円を超える企業は6社、時価総額が1兆円を超える企業は134社あります。(2020年12月11日現在)

日本の上場市場別の集計では

・東証1部    約674兆円

・東証2部    約7兆円

・ジャスダック 約10兆円

・マザーズ   約9兆円

となっています。(2020年12月2日現在)

 

4.米国の時価総額ランキング

では、米国の時価総額上位企業の時価総額はどうでしょうか。

米国の時価総額上位トップ5は、

【1位】アップル[AAPL] 約210兆円

【2位】マイクロソフト[MSFT]約165兆円

【3位】アマゾン[AMZN] 約160兆円

【4位】アリババ・グループ[BABA]約70兆円

【5位】フェイスブック[FB]約70兆円

時価総額を日本の上位企業と比較すると、桁が違うことが確認できます。

米国時価総額上位5社の合計は約600兆円もあり、東証1部の時価総額に匹敵する規模となっています。この数字からも、いかに米国株式市場が大きな市場であるかわかるでしょう。

5.時価総額の使い方(株式投資編)

時価総額は、企業の規模の大きさを表す指標であることは理解できたかと思います。

しかし、この時価総額は、単純に企業規模を表す指標としてではなく、投資を行うために、他のテクニカル指標やファンダメンタル指標と同じくらい、重要視されている指標でもあります。

そこで、以下では時価総額を活用した投資手法をご紹介します。

ⅰ.時価総額を使ったPER(株価収益率)計算法

ファンダメンタル指標の代表的な指標であるPERは、時価総額を活用した指標です。

PERの計算式として代表的なのは、

PER=株価÷1株当たり利益】が知られていますが、
PER=時価総額÷純利益(四半期利益)】でも表すことができます。

PER=株価÷1株当たり利益】は、1株と1株あたり利益を比較してPERを算出していますが、

PER=時価総額÷純利益(四半期利益)】は、企業全体の価値から全体の利益を比較してPERを算出しています。

PERは、ファンダメンタル分析を行う上で欠かすことのできない指標であり、そういった意味でも、時価総額は重要な指標と言えるでしょう。

ⅱ.時価総額の大きい企業に投資するメリット

また、時価総額の大小は、企業運営や株価の動きに大きな影響を与えます。時価総額が大きい企業は、会社の信用度に直結しています。

企業は、銀行や投資家から資金を借り入れして事業拡大を行いますが、資金を借り入れる際の利息が企業規模の大きさで変化します。

時価総額が大きい、信用性の高い企業は、低い利率でお金を借りることができます。
低い利率でお金を借りることができれば、効率的に事業を拡大することができるでしょう。

また、時価総額が大きい企業の株価は、安定している傾向が強いです。
なぜなら、時価総額が大きいことで、ちょっとやそっとの資金が入ったところで、時価総額の大きな企業の株価はびくともしないからです。

また、多くの投資家が投資しており、毎日売買が活発に行われていうことから、流動性が高い銘柄であることが多いです。

例えば、トヨタ(7203)の時価総額は約25兆円ですが、トヨタ株を1億円分買っても株価は大きく変化しません。

その一方で、時価総額が50億円の企業の株を1億円分買うと、株価は大きく変化します。

このように時価総額が大きい企業の株価は、株価が急落や暴騰するリスクは低く、流動性の高い銘柄であることから、安定志向の方が投資するには最適な銘柄と言えるでしょう。

時価総額の大きい銘柄はこのようなメリットがある一方で、時価総額が大きい企業にも当然デメリットがあります。

ⅲ.時価総額が大きい企業に投資するデメリット

時価総額が大きい企業は、成熟企業である可能性も高いです。企業の業績は、大きくなればなるほど拡大しにくくなります。
投資家が業績を判断する際の重要な材料として、「前年比でどれだけ売上が成長したか」ということを確認します。

例えば、売上が10億円の企業が、売上を前年比で5億円増やせば前年比+50%の売上が成長しています。
しかし、トヨタ(7203)のような大企業ともなると、前年比で売上を前年比で+50%も増やすことは現実的に不可能です。

時価総額が大きくなればなるほど、前年比に対する成長率は鈍化していきます。
成長性という観点からみると、時価総額が大きい企業は投資対象としての魅力は薄れてしまいます。

また、さきほど時価総額が大きい企業の株価は安定しているとお伝えしましたが、それは裏を返せば、大きな株価上昇もそれほど期待できないということです。
安定志向の方が投資するには向いていますが、大きな値上がり益を狙った投資には不向きと言えます。

ⅳ.時価総額の小さい企業に投資するメリット

時価総額の小さい企業に投資するメリットは、なんと言っても成長性の高さと言えるでしょう。

時価総額の小さい企業の多くは、起業してそれほど年数がたっていないベンチャー企業が多いです。
ベンチャー企業は、最先端の技術や業種を取り扱っていることが多く、将来的に業績が大きく拡大する期待が持てる企業です。

売上の成長率も、前年比で二桁成長していることはもちろん、中には前年比で倍の売上をたたき出す企業もあります。

今では大企業となっている「サイバーエージェント(4751)」や、「Zホールディングス(4689)」なども、もともとはベンチャー企業です。

将来、大企業となる期待が持てる銘柄に、時価総額の小さいうちに投資していれば、株価が何十倍、何百倍まで膨らむ可能性を秘めています。

夢のある投資を行うことができるでしょう。

また、時価総額が小さい企業の株価は、値動きが軽いこともメリットと言えます。
なぜなら、時価総額が小さいことで、少しの資金が入ることで株価が大きく上昇するからです。

時価総額の小さい企業が、決算発表等で、前年比で売上が大きく拡大したことなどを発表すれば、たちまち株価が大きく上昇します。
場合によっては、株価が何日もストップ高することもあります。

時価総額小さい分だけ、値動きが軽く、大きな株価上昇が期待できるメリットがあります。

ⅴ.時価総額の小さい企業に投資するメリット

一方時価総額の小さい企業にもデメリットが存在します。

時価総額が小さい企業は、成長性の高いベンチャー企業も多いのですが、中には、業績が悪化し、倒産間近の銘柄も含まれています。
業績が赤字続きであったり、不祥事等で会社業績が急落していたり、決して成長性が高いとは言えない銘柄もあります。

また、現時点ではそういった悪い材料が出ておらず、業績が堅調に推移していても、将来、何かしらの悪い出来ことが起こると、時価総額が小さい会社の場合一気に倒産するリスクもあります。

数年前に、大手ハンバーガーチェーンが期限切れの食肉を使用していた不祥事がありました。
その不祥事によって、同社の業績は落ち込みましたが、現在では、その不祥事を乗り越え業績は持ち直しています。

しかし、これが名もそこまで知られていない時価総額が小さい企業であったならば、つぶれていた可能性が高いでしょう。

時価総額が小さい企業は、成長性が高い一方で、倒産リスクも高いということがデメリットと言えるでしょう。

また、時価総額が小さい企業の株価は値動きが軽いということは、悪く見ると、「株価が急落するリスクが高い」ということでもあります。
何らかの原因で、業績が悪化したり悪いニュースが出ると、株価は一気に下がります。
株価が何日もストップ安することがあったり、場合によっては、そのまま倒産となることもあります。

また、時価総額が小さい企業は、流動性が低いこともデメリットの一つでしょう。
時価総額小さい企業は、投資家にあまり注目されておらず、売買があまり活発に行われていないことが多いです。

そういった銘柄をトレードすると、自分の発注で価格が変化するスリッページが起きやすいです。

時価総額が小さい企業への投資は、リスクをとって大きなリターンを狙いたい方が投資するには向いていますが、安定志向の方には不向きな銘柄と言えます。

6.時価総額のまとめ

「時価総額」は、企業の本質的な価値を表す指標であり、株式投資を行う上では、絶対に知っておきたい指標の一つです。

ファンダメンタル投資には不可欠な「PER」も時価総額を活用して算出しています。

また、時価総額の大きさによって、会社の信用性の高さを図ることができたり、投資する際のリスクやリターンの大きさを見積ることができます。

「時価総額」をただの企業規模の大きさを表す数字として見過ごさず、投資対象の分析を行う際に有効活用することで、私たち投資家にとって非常に心強い武器の一つとなります。

ぜひ、今回の内容を参考に、あなたのトレードに役立ててみてはいかがでしょうか。

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