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相場格言「頭と尻尾はくれてやれ。」の意味とは?
「頭と尻尾はくれてやれ。」とは、“底値で買って、天井で売ることは、まず不可能である”ということを意味する相場格言です。
人間心理としては、自分が買った所が底値となって上昇していき、自分が売った所が天井となって下落していくことを望むものです。
しかし、テクニカル分析やファンダメンタル分析などで銘柄分析をいくらしようと、底値で買って、天井で売ることはまずできません。
ここで実際のチャートを見てみましょう。
次のチャートは、2024年1月から5月13日までの日経平均株価の日足チャートです。
2024年の日経平均株価は、大発会の1月4日に32,693.18円を付けてから上昇していき、バブル高値を更新し、3月22日には41,087.75円を付けました。
1月4日の下ヒゲ安値32,693.18円で買い、3月22日の上ヒゲ高値41,087.75円で売ることは、まず不可能であったことが分かるかと思います。
「頭と尻尾はくれてやれ。」を株式投資で実践する
「頭と尻尾はくれてやれ。」を実践するということは、「底値で買う」「天井で売る」をポジティブに諦めることを意味します。
最初から「底値で買う・天井で売るは不可能である」と現実的に受け入れることで、投資戦略の幅が広がる点がメリットです。
相場格言「頭と尻尾はくれてやれ。」を株式投資で実践すると、次のようなことができます。
- 底値を見てから買う
- 天井を見てから売る
- 一定のリスクを引き受ける
それぞれについて見ていきましょう。
底値を見てから買う
「頭と尻尾はくれてやれ。」を受け入れて「底値で買う」ことを諦めれば、下落トレンドで売られている銘柄について、底値を狙って買うのではなく、底値で反発してから安値圏で横ばいになった所で買うといったことが可能になります。
下落トレンド中の銘柄を底値で狙って買おうとすると、さらなる暴落に巻き込まれて「落ちたナイフを掴む」ことになってしまいがちです。
直近の安値を見てから、多少幅を持たせて買いエントリーすることで、そのようなリスクを少しでも軽減することにつながります。
天井を見てから売る
「天井で売ることは不可能である」と受け入れれば、保有銘柄が上昇している場合や空売りする場合には、天井を狙って売るのではなく、ある程度の高値を見てから売れるようになります。
「ここが天井だ!」と思って利益確定した銘柄が、さらに大きな上昇をして悔しい思いをしたという体験がない投資家はいません。
しかし、天井で売ることはまず不可能である以上は、仕方ありません。
ただ、売りの場合は、買いよりもタイミングが早く暴落に転じやすい点には注意が必要です。
一定のリスクを引き受ける
「頭と尻尾はくれてやれ。」を受け入れるということは、「底値では買えない、天井では売れない」ということです。
これはつまり、エントリー後、一時的に多少の含み損が出ることを受け入れなければいけないことを意味します。
含み損は誰にとっても嫌なことであり、できることならば避けたいものです。
しかし、底値で買って天井で売ることが確率的に不可能である以上、一定の含み損を受け入れなければいけないことは仕方ありません。
投資でリターンを得るには、一定のリスクを引き受けなければならず、「頭と尻尾はくれてやれ。」は投資におけるリスク・リターンの法則を言ったものとも言えます。
とはいえ、エントリー後に想定していた方向性とは違う値動きをする場合には、損失が大きくならない内に早めの損切りをする必要が出てくることは言うまでもありません。
「頭と尻尾はくれてやれ。」を守らないとどうなる?
「頭と尻尾はくれてやれ。」を守らないと、次のようなリスクが生じてきます。
- 日常生活に支障をきたす
- いきなり大きなリスクを取ってしまう
それぞれについて見ていきましょう。
日常生活に支障をきたす
「頭と尻尾はくれてやれ。」を守れないということは、「株式投資では、底値で買えて、天井で売れる」と期待し過ぎている状態です。
正確には、「(自分なら)底値で買えて、天井で売れる」と思い込みたい心理状態とも言えます。
もちろん、そんなことができたら世界一のお金持ちになれてしまい、そんなことができる人はいないのですが、株式投資の経験が浅い内には期待してしまうものです。
しかし、そのような期待感は、すぐに株式市場の現実によって打ちのめされてしまいます。
期待感が大きければ大きいほど、失望は大きくなり、そのネガティブなエネルギーは、日常生活にも侵食してくる場合が少なくありません。
期待して始めた株式投資が、いつしか含み損のことを考えるだけで嫌な気持ちになってしまうといったものです。
最悪の場合には、含み損を正当化するために、含み損を出ている銘柄を信用買いで買い増しする「ナンピン」をしてしまい、さらなる暴落に巻き込まれて全てを失ってしまうことにもなりかねません。
一方、「頭と尻尾はくれてやれ。」を受け入れて、「底値で買って、天井で売るのは不可能である」とポジティブに諦めていたらどうでしょうか?
「買ってから数%程度の損失が出るのは仕方ない。長く持ってみよう」と受け入れている状況です。
もちろん、最終的に損切りになる場合もありますが、期待していないことから、失望感もそこまで大きくなく、日常生活を楽しむ上では支障もほとんどありません。
いきなり大きなリスクを取ってしまう
「頭と尻尾はくれてやれ。」を信じられないということは、「底値で買えて、天井で売れる」と信じている状態です。
株式投資に対する期待感が余りにも大きく、損する可能性については考えていないため、最初からとんでもなく大きなリスクを取ってエントリーしてしまうことにもつながってしまいます。
成功することもありますが、全体的な予後は、決して良いとは言えないでしょう。
「頭と尻尾はくれてやれ。」を具体的に実践する方法
「頭と尻尾はくれてやれ。」を具体的に実践する方法としては、次のようなものがあります。
- 分割売買を心掛ける
- エントリーはじっくり待つ
- 利食いは早くする
それぞれについて見ていきましょう。
分割売買を心掛ける
「頭と尻尾はくれてやれ。」を実践すると、リスク管理の手法に目が向かうようになります。
スイングトレードやデイトレードのような短期トレードの場合には、小さい玉でエントリーしてから、徐々に玉を大きくしていく「分割売買」が有効です。
「頭と尻尾はくれてやれ。」を受け入れるということは、「底値で買って、天井で売るは不可能である」とポジティブに諦めるものであり、「だったら、少しでもリスクを小さくしよう」となるわけです。
エントリーはじっくり待つ
株価の底値や天井を知ることができない以上、エントリーするタイミングが来るまでじっくりと待つことが重要です。
- 下落トレンド中の銘柄を買ったら、さらなる暴落に巻き込まれてしまった。
- 急騰銘柄を空売りしたら、さらなる急騰に巻き込まれて踏み上げられてしまった。
上記のようなリスクを少しでも減らすためには、天井や底値を確認してから入ることが有効です。
例えば、「政府クラウド」が期待されて2024年3月に掛けて急騰した【3778】さくらインターネットは、1月末でも天井のように見えました。
しかし、ここで下手に空売りしていたら、その後には3倍以上にまで急騰していました。
利食いは早くする
「頭と尻尾はくれてやれ。」は、エントリーはもちろん、利食いにおいてもより重要な意味を持ってきます。
天井で利益確定して利益を最大化したくない投資家・トレーダーは存在しません。
しかし、どこが天井なのかが誰にも分からない以上は、ある程度の利益が出たら早めに利食いするようにするのも一つの手です。
もしくは、玉の半分を利益確定して、残りの玉を保有するといった柔軟性を持つことも有効です。
トレードにおいて、利食いは最も難しいものであり、正解はありません。
まとめ
この記事では、相場格言「頭と尻尾はくれてやれ」について解説してきました。
「頭と尻尾はくれてやれ」とは、「底値で買って、天井で売ることは、まず不可能である」という相場格言です。
ただ、「底値で買って、天井で売ることは、まず不可能である」とポジティブに諦めることで、底値や天井を見てから、エントリーや利食いをするなど投資戦略が広がることにもつながります。
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