目次
単元未満株とは
単元未満株とは、東証で決められている単元株より少ない株数で取引できる株式のことです。
東京証券取引所(東証)では、株式の売買単位を100株に統一しています。
例えば、【7203】トヨタ自動車の株価が1,800円だったとしても、取引できる最低単位は100株となるため、18万円ないと取引することができません。
一方、単元未満株では、100株未満から取引可能となっているため、より少額資金で株式投資に参加することが可能です。
現在、多くの証券会社が個人投資家への参加を促すために単元未満株サービスを実施しており、「ミニ株」や「ワン株」といった名称でサービスを始めています。
単元未満株のメリット
単元未満株のメリットには、以下のような点が挙げられます。
- 少額投資ができる
- 分散投資しやすい
- 初心者が株式投資の練習をしやすい
- 配当金を受け取れる
それぞれについて見ていきましょう。
少額投資ができる
米国株や投資信託は1株から始められる一方で、東証の単元株は100株となっていることは、多くの個人投資家から指摘されている日本株の欠点です。
個人投資家が株式投資を始めようとしても100株からしか始められないため、ある程度の資金が必要となってしまいます。
単元未満株は、最低1株から始められるため、個人投資家が少額投資を始めやすいことが最大のメリットです。
分散投資しやすい
単元未満株は少額投資しやすいということは、分散投資しやすいというメリットにも繋がってきます。
例えば、自動車大手の【7203】トヨタ自動車、商社大手の【8058】三菱商事、通信大手の【9434】ソフトバンクの3銘柄に分散投資したいとなると、単元株では投資資金が約80万円必要となります(※)。
※2023年4月7日終値時点の株価:【7203】トヨタ自動車:1,819.5円、【8058】三菱商事:4,708円、【9434】ソフトバンク:1,498.5円より
単元未満株だと、最低1株から購入可能なため、約8,000円で上記3銘柄に投資可能です。
また、複数銘柄に分散投資したいとしても、各銘柄の株価は異なっているため、同じ銘柄数を購入するとしても、比率が異なってしまいます(上記3銘柄では、三菱商事の株価が高いため、1株ずつ買うと比率が高くなってしまいます)。
そこで、「各1万円ずつ投資する」といった「ドル・コスト平均法」での投資をすることによって、銘柄ごとのリスクを一定化した分散投資も容易となります。
初心者が株式投資の練習をしやすい
単元未満株は、少額から始められるため、投資初心者が株式投資の練習として始める場としての利用価値もあります。
いきなり100株の単元株で始めてしまうと損失リスクも大きくなってしまうため、少額でリスクも限定される単元未満株で練習して、ある程度の経験を積んでから、単元株で株式投資を始めてみることは、失敗による授業料を小さく抑えるためにも有用な方法です。
配当金を受け取れる
株を長期保有していると配当金を受け取れることは、株式投資のメリットの一つです。
単元未満株であっても、配当金を受け取ることは可能となっているため、配当金目的で始めてみるのも悪くありません。
ただ、単元未満株で配当金の権利があるかどうかは証券会社の単元未満株サービスごとに異なるため、事前に配当金を受け取れるかどうかは確認しておくようにしましょう。
単元未満株のデメリット
単元未満株のデメリットには、次のような点が挙げられます。
- リアルタイムで取引ができない場合が多い
- 手数料が割高になる
- 単元未満株を取り扱っている証券会社が少ない
- 取引銘柄が限定される場合がある
それぞれについて見ていきましょう。
リアルタイムで取引ができない場合が多い
証券会社によって異なりますが、単元未満株サービスは、市場が開く9時00分の「寄付」や、市場が閉まる15時00分の「大引け」といった、1日の決まったタイミングでしか売買することができません。
単元未満株では、自分で狙った時間帯や価格で取引できないため、デイトレードやスイングトレードといった短期投資をすることには適さないことには注意が必要です。
ただ、若者向けに少額投資のスマホ取引に特化した「LINE証券」や「PayPay証券」は、リアルタイムでの取引が可能となっています。
手数料が割高になる
証券会社によって異なるものの、単元未満株サービスは、通常の単元株での取引と比べると手数料が割高になっていることには注意が必要です。
つまり、十分に投資資金や経験があって本格的に投資を始めたい場合には、単元未満株で株を始めるメリットはないと言えます。
単元未満株は、あくまで投資初心者や投資資金が少ない個人投資家向けのサービスと認識しておくようにしましょう。
単元未満株を取り扱っている証券会社が少ない
単元未満株は、全ての証券会社が実施しているサービスではない点には注意が必要です。
2023年4月現在、単元未満株を取り扱っている主要証券会社とサービス名は次のようになっています。
証券会社 | 単元未満株サービス |
LINE証券 | いちかぶ |
PayPay証券 | ミニ株 |
大和コネクト証券 | ひな株 |
マネックス証券 | ワン株 |
SBI証券 | S株 |
auカブコム証券 | プチ株 |
楽天証券 | かぶミニ |
取引銘柄が限定される場合がある
証券会社に口座を開けば、東京証券取引所に上場している全ての銘柄を取引することが可能ですが、単元未満株では取引できる銘柄が限られている場合があります。
単元未満株でリアルタイム取引ができる「LINE証券」と「PayPay証券」で見ても、取引銘柄は次のようになっており、東証の全ての銘柄を取引できるようにはなっていません。
証券取引所 | 単元未満株の取引銘柄数(2023年4月時点) |
LINE証券 | |
PayPay証券 |
とはいえ、単元未満株サービスでは東証を代表する大型銘柄はほぼ網羅されているため、よほど玄人好みの新興株などを取引したいといった要望がない限りは、デメリットにはなりません。
単元未満株サービスの比較一覧表
単元未満株サービスを提供している主要ネット証券会社を見てみましょう。
証券会社 | 単元未満株サービス | 手数料 | 銘柄数 | リアルタイム取引 |
いちかぶ | スプレッド0.35%~1.00% | 1,500銘柄以上 | ○ | |
ミニ株 | スプレッド0.50%~0.70% | 163銘柄 | ○ | |
ひな株 | スプレッド0.50% | 約400銘柄 | ○ | |
ワン株 | 買付:無料、売却:0.55%(52円) | 東証全銘柄 | × | |
S株 | 買付:無料、売却:0.55%(55円) | 東証全銘柄 | × | |
プチ株 | 0.55%(52円) | 東証全銘柄 | × | |
かぶミニ | 買付:無料、売却:11円、スプレッド0.22% | 約100銘柄 | ○ |
スマホ取引に強いLINE証券、PayPay証券、大和コネクト証券は、リアルタイム取引に対応していますが、取扱銘柄数が少なくなっています。
一方、主要ネット証券のマネックス証券、SBI証券、auカブコム証券は、東証全銘柄を対象にしていますが、リアルタイム取引ができない点には注意が必要です。
なお、楽天証券は、これまで単元未満株サービスを実施していませんでしたが、2023年4月17日から「かぶミニ」としてサービス開始予定となっています。
まとめ
今回は、単元未満株のメリットとデメリットについて解説してきました。
単元未満株のメリットは、投資経験や投資資金が少ない投資初心者が、少額・分散投資を簡単に始められることに尽きます。
一方、単元未満株のデメリットとしては、手数料が通常の単元株取引よりも高く設定されており、リアルタイム取引ができる証券会社では扱っていない銘柄があり、全銘柄を取り扱っている証券会社ではリアルタイム取引ができないことに注意が必要です。
単元未満株は、あくまで投資資金が少ない投資初心者向けのサービスとなっているため、十分に投資資金や経験があって本格的に投資を始めたい投資家にはデメリットしかないと言えます。
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