日本株

執筆者

西村剛
西村剛

フェアトレード株式会社 代表取締役。機関投資家出身で統計データを重視したシステムトレードに注力。2011年株-1グランドチャンピオン大会で+200.4%、2012年+160.1%、2013年157.0%を叩き出し三連覇達成。証券アナリスト検定会員。システムトレードを使った定量分析と、これまでファンドマネジャーとして培ったファンダメンタルズ分析を融合した新しい視点で株式市場を分析し、初心者でもわかりやすい言葉を使った解説に定評がある。


システムトレード

株式投資のバイブル

四季報は発刊から80年の歴史を持つ株式投資のバイブルともいえる存在で、銘柄の分析はもちろんのこと、毎週木曜の業績更新はそれ自体が株価の反応材料になっているほどです。
四季報で確認できる情報は大まかに以下の通りとなっており、数ある情報ソースの中でも有用性は未だトップクラス。

・企業の情報
・資産やROE等の財政情報
・株主やチャート等の株式に関する情報

実際のところ個別銘柄の情報だけで見れば標準的な内容ともいえますが、四季報の最大の魅力は上場企業全ての情報を掲載しており、長年の実績から培った相場予測や調査に基づいた記者の見解を収集できるポイントでしょう。
加えて、多くの投資家が参考にしている情報を知ることは、相場全体の流れをキャッチすることにも繋がりますので、効率的な見方を身につけることは初心者にとっての必修スキルであるともいえます。

四季報の効率的な見方

株式投資において大変重要なものであることは分かりましたが、約2000ページに及ぶ分厚さや1ページ内に集約されている情報量の多さは初心者の方にとって難しい印象が強いですよね。
実際の銘柄情報は以下のように記載されています。

toyota_kabu.jpg

出典:低位株の攻略法

とにかく文字数が多く、慣れないうちは株主や業績等の【】で括られた部分しか読めそうにありませんよね。
ですがまずはそこだけ分かれば問題ありません。
ここからは参考画像を基に、分析に必要な情報だけを優先度順にピックアップして解説したいと思います。

まずは分析したい銘柄を探す

基本動作として最初に銘柄を探す必要がありますが、これは右上に記載されている企業名を見れば一目瞭然ですね。
証券コードと共に大きく表示されているのがそれにあたります。

この欄にはその他にも【特色】や【連結事業】に関する情報が載っていますので、併せて確認しておきましょう。
決算月や設立・上場年月日も参考にするといいですね。

業績を確認する

次に見るべきは左下の【業績】です。
この欄で最低限確認するべきなのは以下の2つ。

・売上高
企業が製品やサービスを販売することで得られた売上の合計値
・営業利益
売上から原価や人件費等の経費を差し引いた企業の利益額

上から時系列順に並んでいますので、過去の推移を検証すれば成長度合いを計ることができます。
加えて簡単に計算して以下の情報も明確にしておきましょう。

・売上高成長率(別名:売上高伸び率)=当期売上高-前期売上高÷前期売上高
前期の売上に対しする当期の売上がどの程度伸びているかを示している。

・売上高営業利益率=営業利益÷売上高
売上高に対する営業利益の割合で、シンプルに業績の良し悪しが判断できる重要な数値です。

これらの数字が高いほど業績が好調であると判断できるので、すぐに計算できるように癖をつけておくと良いですね。
業績が確認できたら次の項目に移りましょう。

【株式】【財務】【キャッシュフロー】の欄を見る

次は【株式】から始まる欄を見ていきましょう。
場所が分からない方は、【業績】の経常利益の上を見ればすぐに分かります。
この欄で確認するべき情報は以下の通り。

・時価総額
企業の価値が分かる代表的なデータで、必ず確認するべき項目
・自己資本比率
企業が保有している純粋な資産÷借入等を含めた総資産で出した数値で、この比率が高いほど良好

最低限この二つを抑えておけば問題ありませんが、有利子負債とキャッシュフローについても確認すれば分析精度が向上します。
ちなみにトヨタ自動車のキャッシュフローは投資CFがマイナスであることに対して、営業CFはプラスで上回っています。
したがって設備投資等のコストを営業で得たキャッシュで回収し、プラスに転じていると判断できるわけです。

【株主】欄も欠かさずに確認

ここでは株主の比率を見るようにしましょう。
オーナーや役員が上位にいるかというポイントも大切ですが、<外国>という列で外国人投資家の持ち株比率も併せて確認することができます。
例に挙げたトヨタのような大企業は外国人投資家から好まれる傾向があり、社会情勢や為替の影響が強く反映されます。
自身が検討している銘柄がどのような比率で構成されているかは値動きに関わる重要項目です。

【資本移動」で増資動向等を見る

左上の資本移動欄では、株価への影響度が強い増資等の動きを探ることができます。
以下は分析に役立つ代表的な用語です。

・公(公募)
株式を新規発行して不特定多数に対して募集をかけることを示しており、発行株式が増える分、株価が大きく下がることも珍しくありません。
・株(株式配当)
現金に代わって株式で配当することです。
・交換(株式交換)
M&Aの手法であり、全ての発行済株式を他社に移すことで、親と子の関係を作ります。
・分(株式分割)
公募のように新規で発行するのではなく、元々あった1株を2,3株に増やすことを指しています。
こちらも株価下落の代表的要因です。

四季報オンラインもおすすめ

これまでは紙媒体が主流だった四季報も、現在はオンラインで閲覧することが可能です。
特におすすめなのはスクリーニングという機能で、条件を設定することで好みの銘柄をすぐに見つけることができます。

一方、四季報オンラインの月額費用には注意が必要。
初心者向けのスタンダードプランは月額1,100円とリーズナブルですが、株価は20分遅れで表示され、スクリーニングの項目にも制限があります。
これらの制限をフリーにしたい場合は上級者向けのプレミアムプランに変更する必要がありますが、こちらは月額5,500円と少々高額となっていますので、自身の用途やトレード頻度に合わせて検討した方が良いでしょう。

まとめ

今回は初心者の方に向けて、四季報で確認するべきポイントを優先度順に解説してきました。
四季報は株式投資のバイブルといっても過言ではなく、相場で有利に立ち回るためには内容を読み解ける能力が必要不可欠です。
一方、先ほど解説したオンライン版の月額費用は最低でも年間13,000円程度が発生するので、少々敷居が高く感じる方もいるかもしれません。
そういった場合は年間8,000円で紙面版を定期購読できますので、少しでもコストを抑えたい方におすすめです。
四季報は初心者にとって少々難解な情報ソースかもしれませんが、本記事をご参考に是非見方を習得していきましょう。

<追伸>
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