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バルチック海運指数とは
株式投資では、多種多様な指標が用いられており、最大限活用すれば多角的な側面から経済動向をチェックできます。一方、その中でも比較的知名度が低いにも関わらず、高い有用性を誇るのが「バルチック海運指数」です。
VIX指数やダウ平均ほどメジャーではありませんが、初心者にもおすすめの指標となるため、本記事で解説する基本や使い方を押さえて、さっそく投資に役立てていきましょう。
外航ばら積み船の運賃
バルチック海運指数は、イギリスの首都ロンドンを拠点にする「バルチック海運取引所」が毎日更新している指標です。算出基準は、鉱物や穀物を運ぶ外航ばら積み船のスポット運賃となっており、運賃の変動に連動して指数も上下します。
一見すると、投資にはあまり関係がないように思われますが、ばら積み船は世界に資源を届ける重要な役割を担っており、世界の血流といっても過言ではありません。すなわち、バルチック海運指数が高い=経済が循環している、という判断が可能であり、市場にもポジティブな影響を与えるのです。
参考までに、1985年1月4日の「1,000」という数値が基準ラインで、2008年の経済成長時には過去最高値となる11,793を叩き出した一方、経済が鈍化した2016年においては、293にまで下がりました。
以上のことから、バルチック海運指数を用いれば「海運業界の運賃」を通して世界経済を見渡せるのです。
バルチック海運指数が変動するメカニズム
バルチック海運指数の有用性については分かりましたが、最大限活用するには「なぜ変動するのか」という根幹的な仕組みを理解しなければなりません。
まず大前提として、ばら積み船の運賃は常に一定というわけではなく、以下のような要因によって、船会社が不定期で変更します。
- 取り扱う物量が増えてきた(輸出筋の活発化)
- 燃料代が上がった(原油価格の高騰など)
もちろん、市場へポジティブな印象を与えるのは前者であり、特に国土が広大な中国の動向が反映されやすい傾向です。一方、運ぶべき資源がなければ、海運会社は仕事自体がなくなるので、受注しやすいように運賃を下げ、結果的にバルチック海運指数も下落することになります。
バルチック海運指数の活用方法
ここからは、バルチック海運指数の活用方法を確認していきましょう。
- 海運会社の銘柄にエントリー
- 原料に関連するセクションを検討
投資判断の精度を高めるためにも、ぜひ参考にしてください。
海運会社の銘柄にエントリー
バルチック海運指が上昇しているということは、ばら積み船の運賃値上がり⇒海運会社の利益向上、という予測が立ちます。したがって、シンプルに海運株を購入するのも効果的な手法であり、いくつかの銘柄を少額でバスケット買いするのもおすすめです。
- 日本郵船(9101)
日本郵船は、1885年から海運業を営む上場企業です。グループ全体の連結売上高は1兆円にも昇り、安定した運営体制を維持し続けています。
- 商船三井(9104)
石炭や鉄鋼石、原油、自動車といった様々な物資を運ぶ商船三井は、世界経済を循環させる主要の一角となっています。ボラティリティの高い値動きにはなりにくいため、配当金をメインに長期保有するのも良いでしょう。
その他にも、日系であれば川崎汽船が挙げられますが、モラーマースクなどの外資企業を狙うのも効果的です。
原料に関連するセクションを検討
ばら積み船は、穀物や鉱石を運搬することから、それらの原料に関連するセクションを検討するのもおすすめといえます。
ただし、末端のプロセスへ向かうほど経済効果が表れるスピードが遅れるため、できれば起点となる商社関連に絞ってみてください。ただし、慣れないうちはどこも同じに見えて、あまり関連性がない領域の専門商社株を購入してしまうかもしれません。
そのため、せっかくの機会を無駄にしないためにも、原料を扱っている総合商社などを探してみましょう。
バルチック海運指数の見方
バルチック海運指数は、無料サイトで誰でも確認できるため、自身が普段から利用しているベンダーの中から検討すると良いでしょう。
たとえば、世界経済の情報を発信している「Bloomberg」では、次のようにシンプルな指数とチャートを提供しており、初心者でも簡単に把握が可能です。
参照:bloombarg
2022年6月現在の指数は2633となるため、基準値よりも高く、決して悪くない水準ということが分かりますね。前日比や年間のリターン、レンジなども掲載されているので、ぜひ活用してみてください。
バルチック海運指数の注意点
具体的な見方が理解できたところで、次はバルチック海運指数の注意点を解説します。
- 経済活発化とは関係なく上昇するケースがある
- 1つの材料だけで投資を判断しない
適切な知識を身に着けて、安全に利用してください。
経済活発化とは関係なく上昇するケースがある
バルチック海運指数は、運搬物の増加に伴う経済循環が観測できる一方、原油高によるコストの値上げで上昇するケースもあります。
したがって、指数だけを見て経済活発化と判断するのは、少し危険度が高いことから、必ず上昇した要因を探るようにしましょう。
たとえば、商社株が好調になり、中国の貿易収支なども黒字になっていれば根拠が強まるので、あらかじめ目星をつけておくのもおすすめです。
1つの材料だけで投資を判断しない
バルチック海運指数は、世界経済の動向把握に有用な指標であるものの、やはり1つの材料だけでエントリーを決めるのは危険です。
たとえ海運関連の景気が上向いているとしても、個々の企業決算やテクニカル要因、金融政策といったポイントは必ず押さえるべきであり、総合的に判断しなければなりません。
まとめ
本記事では、世界経済の先行指標となるバルチック海運指数の基本や注意点、チャートの見方などを解説しました。
バルチック海運指数の知名度は決して高くないものの、外航ばら積み船の運賃を通して、経済動向を幅広く見通すことができます。
ただし、1つの材料だけで判断するのではなく、その他の要因も見極めながら活用していきましょう。
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