目次
酒田五法「三空踏み上げ」とは
三空踏み上げとは、窓を上に開けた陽線が4本連続で出現するチャートパターンです。
そもそも「三空(さんくう)」とは、酒田五法において、同じ方向に空(窓)が3つ連続で出たものを指します。
なお、空(窓)は「ギャップ」とも呼ばれ、上昇方向の窓は「ギャップアップ」、下落方向の窓は「ギャップダウン」とも呼ばれるものです。
三空踏み上げにおいては、1本と2本目の陽線の間、2本目と3本目の陽線の間、3本目と4本目の陽線の間に窓(ギャップアップ)ができていることが分かります。
三空踏み上げは、陽線が4本連続で出ているだけでも強いチャートパターンですが、さらに上方向への窓(ギャップアップ)も3連続で出ていることから、非常に強い上昇トレンドのチャートパターンです。
ただ、三空踏み上げは勢いよく買われ続けている状態であるだけに、利益確定をしたい投資家の売り圧力も強まっていることから、4本目の陽線の高値が天井となりやすいことが特徴です。
三空踏み上げは、上昇トレンドの最終盤に出やすいチャートパターンの一つとなっており、三空踏み上げが出たら上昇トレンドの買いから逆張り目線での売りを考える目安となります。
なお、三空踏み上げの逆パターンとしては、窓を下に開けた(ギャップダウン)陰線が4本出てから陽線が出て反発する「三空叩き込み」があります。
三空踏み上げの相場格言「三空踏み上げ売りに向かえ」
三空踏み上げの相場格言として、「三空踏み上げ売りに向かえ」というものがあります。
この相場格言は、三空踏み上げのチャートパターンを説明したものです。
一空目は、新規の強力な買い勢力の出現を意味します。
二空目は、売り方の撤退(※)と、買い方の更なる買い増しの動きとなります。
※「三空踏み上げ」の「踏み上げ」とは、空売りをしている勢力の損切り(ショートカバー)を意味するものです。空売り勢は株価の上昇を受けて含み損が大きくなると、買い戻しをすることになり、その買いがさらなる株価の上昇に繋がります。
三空目は、売り方の損切りによるさらなる踏み上げと、遅れてきた買い方の買いです。
ただ、三空目の時点で、売り方の損切りがほぼ完了し、買い方の売りも最終盤になると見られることから、買い圧力は最終盤になると想定されます。
つまり、三空目で、相場は大天井を打った可能性が高いという見方がされます。
また、一空目で買っていた買い方が、利益確定の売りをしてくることで、売り圧力の方が強くなることも忘れてはいけません。
このように、「三空踏み上げ売りに向かえ」とは、その文字通り、三空踏み上げが出現したら、売り戦略を考えるタイミングになってきたというものです。
三空踏み上げを使ったトレード手法
三空踏み上げを使ったトレード手法としては、次のようなものがあります。
- 順張り戦略:一空目~二空目で買って、三空目で利益確定する。
- 逆張り戦略:三空目で空売りする。
それぞれについて見ていきましょう。
順張り戦略:一空目~二空目で買って、三空目で利益確定する。
三空踏み上げの順張り手法としては、上昇トレンドや注目されている銘柄について、一空~二空の陽線が出た時点で買い、三空目の陽線で利益確定するというものです。
次のチャートは、半導体製造装置メーカーの【6920】レーザーテックの2022年8月の日足チャートとなります。
レーザーテックの株価は、上昇トレンドの最終盤において、窓を開けて連続的な陽線が出たことが分かります。
窓を開けて上ヒゲとなった所を一空目として買っていれば、その後の上昇に乗れたことが分かります。
その後、三空踏み上げのチャートパターンがほぼ完成した所で、利益確定するのが定石です。
ただ、この手法は、一空目~二空目で買ってから上昇すればよいですが、騙しとなる下落になることも多いことには注意が必要です。
逆張り戦略:三空目で空売りする。
三空踏み上げの逆張り手法としては、三空目の陽線が出て、三空踏み上げのチャートパターンの完成を確認してから、空売りする手法があります。
次のチャートは、半導体大手の【6723】ルネサスエレクトロニクスの2023年3月の日足チャートです。
この手法は、三空踏み上げの完成を見てから売り出動するため、順張りのケースに比べると、騙しとなることもそこまで多くはありません。
ただ、三空踏み上げという上昇トレンド後に空売りをすることになるため、上昇トレンドが終わっておらず、さらなる上昇となった場合には早めの損切りが必要になる点には注意が必要です。
三空踏み上げの注意点
実際の相場において、三空踏み上げを活用する際の注意点は次の通りです。
- 株式市場では出にくい。
- 三空踏み上げ後、さらなる上昇に繋がる場合がある。
それぞれの注意点について見ていきましょう。
株式市場では出にくい
窓を開けた陽線が4本連続で出現する「三空踏み上げ」は、実際の株式チャートではほとんど出現しないということが実態です。
そもそも、窓開け(ギャップアップ)自体が、日をまたぐ日足チャートでしか出現しません。
陽線が4本連続で出ること自体があまりないことに加えて、窓開けが3連続となる「三空」はほとんど出ないのが実態です。
それでは、三空踏み上げの知識は、実際の相場では役に立たないのかというと、決してそういうわけではありません。
三空踏み上げのチャートパターン自体は出現しづらくても、その裏にある参加者の心理状況はいくらでも応用がききます。
相場での実践においては、三空踏み上げのチャートパターンそのものを探すのではなく、三空踏み上げの背景にある参加者の心理状況が似たようなチャートパターンを探すことが重要になります。
三空踏み上げ後、さらなる上昇に繋がる場合がある。
三空踏み上げを使ったトレード手法の中で最もポピュラーなものが、三空踏み上げが出たことを確認してから、逆張りで空売りをするというものでしょう。
ただ、三空踏み上げのチャートパターンが完成したからといって、その後に必ずしも下がるわけではなく、さらなる上昇となって踏み上げられてしまうことも少なくありません。
次のチャートは、ニッチ分野に強い半導体製造装置メーカーの【6146】ディスコの2022年11月の日足チャートです。
ディスコの株価は、三空踏み上げの形となってから、陰線が出て、ほぼ完璧なチャートパターンとなりましたが、その後にさらに上昇しました。
これは三空踏み上げに限りませんが、どのようなチャートパターンであっても、完璧なトレードパターンというものはなく、騙しは避けられないものです。
三空踏み上げを活用してトレードをする際には、資金管理や損切りといった基本的なリスク管理を徹底することが欠かせません。
まとめ
この記事では、酒田五法の「三空踏み上げ」について解説してきました。
三空踏み上げは、窓を上に開けた(ギャップアップ)陽線が4本連続で出現するチャートパターンです。
三空踏み上げの相場格言として、「三空踏み上げ売りに向かえ」というものがあり、三空踏み上げが出現したら、売り戦略を考えるべきであることを意味します。
三空踏み上げを使ったトレード手法としては、順張り戦略として「一空目~二空目で買って、三空目で利益確定する」、逆張り戦略として「三空目で空売りするといったものがあります。
窓開けは中々出にくいため、実際の株式チャートでは三空踏み上げのチャートパターンとなることは稀ですが、三空踏み上げの裏にある投資家心理を考えて応用することが重要です。
また、三空踏み上げのチャートパターンが完成しても、必ずしも下落するわけではなく、さらなる上昇に繋がる場合があることからリスク管理を徹底することは欠かせません。
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