目次
はじめに
「RSI(相対力指数)」は、チャート分析をするうえで最も人気の高いテクニカル指標の一つです。しかし、実際に使い始めると誰もがぶつかる壁があります。
「RSIの期間設定は何日にすればいいの?」 「7日とか14日とか、何が違うの?」 「銘柄ごとに変えた方がいいの?」
このように、期間設定の違いがわからないまま使ってしまうケースが非常に多いのです。RSIは非常に便利な反面、期間設定を誤ると逆効果にもなりかねません。
本記事では、RSIの基本的な仕組みを整理したうえで、相場のタイプ別に最適なRSI期間を具体的に紹介していきます。
RSIとは?相場の「過熱感」を測る温度計
RSIとは「Relative Strength Index」の略で、相場の強弱(過熱感)を数値化した指標です。1978年にアメリカのアナリスト、J.ウェルズ・ワイルダー氏によって考案されました。
計算式はやや複雑に見えますが、基本の考え方は非常にシンプルです。
RSI = 上昇幅の平均 ÷ (上昇幅の平均 + 下落幅の平均) × 100
RSIは常に0〜100の間で動き、次のように判断します。
RSI値 | 状態 | 投資家心理の目安 |
---|---|---|
70以上 | 買われすぎ | 利益確定の動きが出やすい |
50前後 | 中立 | 様子見 |
30以下 | 売られすぎ | 反発が期待されやすい |
つまり、RSIは「今の相場が買われすぎか売られすぎか」を視覚的に示す相場の温度計のような存在なのです。
期間設定で何が変わるのか?
RSIの期間とは、「どれくらい前までの値動きをもとにRSIを計算するか」を表します。設定期間が短いほど、RSIは敏感に反応し、長いほど鈍感で安定します。
期間 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
7日RSI | 短期間の値動きに反応が速い | エントリータイミングを早く掴める | ダマシが多く信頼性が低い |
14日RSI | 標準的で最もよく使われる | 安定感と反応速度のバランスが良い | 短期トレードにはやや鈍い |
25日RSI | 緩やかで長期トレンドを反映 | トレンドフォロー向き | 反応が遅く転換点を逃すことも |
7日RSI:スピード重視の短期トレーダー向け
短期売買をメインにする方に人気なのが7日RSIです。7日間という短い期間で計算するため、ちょっとした株価の変化にもすぐ反応します。
- RSIが30以下で反発したら「短期の押し目買い」サイン
- RSIが70以上で下がり始めたら「利益確定」や「短期売り」サイン
1〜3日単位の値動きを狙うデイトレードや短期スイングに最適です。ボラティリティの高いグロース株では、RSIが「20→40」に上昇した瞬間に急反発するケースも多く見られます。
ただし、反応が速い反面“ダマシ”も多くなるため、トレンドの方向を必ず確認することが重要です。
14日RSI:最も汎用性が高い“標準設定”
RSIの王道設定が14日RSIです。多くの証券会社のチャートツールでも初期設定として採用されており、初心者からプロまで幅広く利用されています。
- 反応と安定性のバランスが非常に良い
- 短期にも中期にも応用できる
- RSIが30以下で買い、70以上で売るという基本ルールが機能しやすい
たとえば、トヨタ自動車(7203)のような安定した大型株では、14日RSIが30を下回った後に反発するパターンが多く、押し目買いにも適しています。
25日RSI:トレンドを重視する中期派向け
25日RSIは、1か月前後の値動きをもとに算出する設定です。短期的なノイズを吸収し、トレンドの強さを判断するのに適しています。
- RSIが40〜60の間を推移していれば「上昇トレンドが継続」
- RSIが30を下回ってから反発すれば「中期の底打ち」サイン
下降局面では25日RSIが30を下回ったあと、再び上抜けするタイミングが反発の兆しとなりやすいです。トレンドフォロー型の中期投資や週足チャート分析にも向いています。
相場環境別のおすすめ設定
① 上昇トレンドの相場
上昇トレンドでは、RSIは高い水準で推移しやすくなります。70を超えたからといってすぐ売るのは早計です。7日RSIを使って「30〜40に下がったタイミングで押し目買い」を狙うと効果的です。
② 下降トレンドの相場
下降トレンドでは、RSIが常に低水準に張り付きます。「30を下回った=買い」と判断するのは危険です。25日RSIで「中期的な底打ち」を確認してからエントリーするのが安全です。
③ レンジ(もみ合い)相場
値動きが上下に往復するレンジ相場では、RSIの真価が発揮されます。14日RSIで「30以下で買い・70以上で売る」という基本戦略が非常に有効です。
RSIをさらに活かす3つのコツ
1. 移動平均線と併用する
RSIが「売られすぎ」でも株価が移動平均線より下にある場合は、まだ下落トレンドの中にいる可能性があります。「RSIが反発+株価が25日線を上抜けた」タイミングを狙うと成功率が高まります。
2. ダイバージェンスを見逃さない
RSIが下げ止まっているのに株価が安値を更新しているとき、それは「下げ止まりの予兆」であることが多いです。ダイバージェンスを確認できれば、トレンド転換点を見抜く強力なサインになります。
3. 複数RSIを組み合わせる
短期(7日)と中期(14日)のRSIを同時に表示し、両方が同時に「売られすぎ」または「買われすぎ」を示したときに仕掛けると、精度が大幅に向上します。
実際のトレード例で見る期間の使い分け
たとえば、ソフトバンクグループ(9984)のように値動きが激しい銘柄では、7日RSIで反発を早く捉えられる反面、早すぎて失敗するケースもあります。
一方、トヨタ(7203)のような大型株では14日RSIや25日RSIの方が自然な動きを描き、無駄なシグナルが減って安定感が増します。銘柄の性格やボラティリティに合わせてRSI期間を調整するのが実践的です。
まとめ:RSI期間設定は“万能ではないが最強の武器”
投資スタイル | おすすめ期間 | 特徴 |
---|---|---|
デイトレード | 7日RSI | 短期反応が速い。押し目狙いに最適。 |
スイングトレード | 14日RSI | 標準設定。安定性と再現性が高い。 |
中期投資 | 25日RSI | トレンド重視。騙しが少ない。 |
RSIの期間設定に絶対の正解はありません。しかし、自分のトレードスタイルに合わせて最適化すれば、RSIは強力な売買判断ツールとして機能します。
まずは14日RSIを基本に、慣れてきたら7日や25日に切り替えてみましょう。RSIの感度を自在に操れるようになると、相場のリズムが見えてきます。
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