無料レポート 直近25年分の統計データで分かる「株の買い時・売り時」
無料で受け取る →

RCIは、日本のトレーダーに根強い人気のある指標です。「RCIが-80以下まで下がったら売られすぎで買い、+80以上まで上がったら買われすぎで売り」。そんな使い方を教わった方も多いのではないでしょうか。

この通説を確かめました。東証全銘柄について、2014年1月6日から2026年9月1日までの12,371,282件(5,428銘柄・3,094営業日)を、RCI(9日)の水準別に集計しています。

結論を先に述べます。方向は通説どおりでしたが、差の大半は「地合い」で説明できてしまいました。

  • RCIが-80以下の5営業日後は+0.441%・勝率53.0%。全体平均の+0.246%を上回る
  • RCIが+80以上の5営業日後は+0.113%・勝率48.3%。全体平均を下回る
  • ただし、その日の全銘柄平均を差し引くと、-80以下の5営業日後は+0.112%まで縮む

執筆者

西村剛
西村剛

フェアトレード株式会社 代表取締役。機関投資家出身で統計データを重視したシステムトレードに注力。2011年株-1グランドチャンピオン大会で+200.4%、2012年+160.1%、2013年157.0%を叩き出し三連覇達成。証券アナリスト検定会員。システムトレードを使った定量分析と、これまでファンドマネジャーとして培ったファンダメンタルズ分析を融合した新しい視点で株式市場を分析し、初心者でもわかりやすい言葉を使った解説に定評がある。

システムトレード

1.検証ルール

集計条件をすべて開示します。

  • データ:東証全銘柄の日足終値(株式分割の影響を除いた調整後株価)。出来高がゼロの日は除外
  • 期間:2014年1月6日〜2026年9月1日(3,094営業日・5,428銘柄・12,371,282件)。20営業日後までの値動きが確認できる日までを対象にしました
  • RCI(9日):直近9営業日について、日付の新しい順位と終値の高い順位を比べた順位相関に100を掛けた値。9日間上げ続ければ+100、下げ続ければ-100。終値が同じ日は平均順位で扱いました
  • 水準の区分:-100ちょうど(完全下降)、-100超〜-80以下、-80超〜-50未満、-50以上〜0未満、0以上〜50未満、50以上〜80未満、80以上〜100未満、+100ちょうど(完全上昇)の8つ
  • -80以下/+80以上:通説でいう売られすぎ圏・買われすぎ圏。完全下降・完全上昇もここに含めます
  • リターン:その日の終値で買ったとして、翌日寄付き・翌日終値・5営業日後・20営業日後
  • 地合い差引:各銘柄のリターンから、その日の全銘柄の平均リターンを引いた超過リターン

比較対象は同じ期間の全銘柄平均で、5営業日後が+0.246%、20営業日後が+0.943%でした。

2.水準別に見た結果:左ほど高く、右ほど低い

RCI(9日)の水準別 その後の平均リターン

※画像はクリックすると拡大してご覧いただけます

20営業日後を左から右へたどってください。-100超〜-80で+1.162%、-80〜-50で+1.013%、-50〜0で+0.952%、0〜50で+0.936%、50〜80で+0.914%、80〜100で+0.706%。RCIが低いほど高く、高いほど低いという、きれいな右肩下がりです。

勝率も同じ向きです。5営業日後の勝率は-100超〜-80で53.0%、80〜100で48.2%でした。通説でいう-80以下と+80以上を比べると、5営業日後の勝率は4.7ポイント、20営業日後は3.5ポイント、-80以下のほうが高くなっています。

通説でいう2つのラインでまとめ直すと、次のとおりです。

区分件数翌日寄付き翌日終値勝率5営業日後勝率20営業日後勝率
-80以下(全体の13.8%)1,710,062+0.097%+0.114%49.0%+0.441%53.0%+1.168%53.2%
-80〜+80の内側(全体の70.6%)8,739,435+0.081%+0.043%46.7%+0.237%49.6%+0.952%51.2%
+80以上(全体の15.5%)1,921,785+0.075%+0.022%46.7%+0.113%48.3%+0.704%49.7%
全体平均(比較用)12,371,282+0.082%+0.050%47.0%+0.246%49.9%+0.943%51.3%

注目したいのは、-80〜+80の内側が市場平均とほとんど変わらない点です。20営業日後は+0.952%で、全体平均の+0.943%と見分けがつきません。RCIが意味を持つのは、両端の-80以下と+80以上に入ったときだけ、と言えそうです。

20営業日後で見ると、-80以下は全体平均を0.225ポイント上回り、+80以上は0.239ポイント下回りました。両者の差は0.464ポイント。5営業日後では0.328ポイントです。

両端の「完全」な形にも触れておきます。9日間ずっと下げ続けて-100になった銘柄は、20営業日後が+1.593%・勝率53.9%と全区分で最高でした。逆に+100になった銘柄は、5営業日後が-0.047%と唯一のマイナスです。ただし件数は全体のそれぞれ0.2%と0.3%しかありません。

3.地合いを差し引くと、差は半分に縮んだ

-80以下の銘柄が多く出るのは、市場全体が下げた日です。そして市場が下げたあとは、全体が戻りやすい。だとすれば、-80以下の好成績は「その銘柄だから」ではなく、「市場全体が戻ったから」かもしれません。

これを確かめるため、各銘柄のリターンからその日の全銘柄平均を差し引きました。

RCI -80以下と+80以上の比較(地合いを差し引いた結果)

※画像はクリックすると拡大してご覧いただけます

区分件数5営業日後
そのまま
5営業日後
地合い差引
20営業日後
そのまま
20営業日後
地合い差引
-80以下1,710,062+0.441%+0.112%+1.168%+0.112%
+80以上1,921,785+0.113%-0.101%+0.704%-0.112%

-80以下の5営業日後は+0.441%から+0.112%へ、20営業日後は+1.168%から+0.112%へ縮みました。+80以上は5営業日後が+0.113%から-0.101%、20営業日後が+0.704%から-0.112%です。

両者の差で見ると、5営業日後は0.328ポイントから0.213ポイントへ、20営業日後は0.464ポイントから0.224ポイントへ。特に20営業日後は、差のおよそ半分が地合いで説明できてしまいました。

とはいえ、符号は変わっていません。地合いを差し引いても、-80以下はプラス、+80以上はマイナスのままです。通説の方向性は残るが、実際の差は見かけの半分程度。これが今回の中心的な結果です。

4.ラインをまたいだ日と、居座った日数

「ラインを抜けた日」を合図にする使い方もあります。-80と+80をまたいだ日を4つに分けました。

区分件数翌日寄付き翌日終値勝率5営業日後勝率20営業日後勝率
-80を下回った日443,252+0.059%+0.061%48.7%+0.371%52.5%+1.127%53.1%
-80を上回った日443,372+0.084%+0.055%45.8%+0.200%49.6%+0.894%51.1%
+80を上回った日465,972+0.105%+0.058%46.5%+0.175%48.2%+0.751%49.8%
+80を下回った日465,661+0.059%+0.042%48.3%+0.202%49.9%+0.882%50.8%
全体平均(比較用)12,371,282+0.082%+0.050%47.0%+0.246%49.9%+0.943%51.3%

最も高いのは「-80を下回った日」、つまり売られすぎ圏に入った日です。5営業日後は+0.371%・勝率52.5%、20営業日後は+1.127%でした。

一方、売られすぎ圏から抜け出した「-80を上回った日」は、5営業日後が+0.200%、20営業日後が+0.894%。どちらも全体平均を下回っています。反転を確認してから買う、というやり方は、この数字では報われませんでした。

次に、-80以下の状態が何日続いているかで分けます。

区分件数翌日寄付き翌日終値勝率5営業日後勝率20営業日後勝率
-80以下の1日目443,639+0.059%+0.061%48.7%+0.371%52.5%+1.126%53.1%
-80以下の2〜3日目599,454+0.115%+0.155%49.5%+0.427%52.9%+1.084%53.0%
-80以下の4日目以上666,969+0.107%+0.113%48.7%+0.500%53.5%+1.272%53.5%
+80以上の1日目466,161+0.106%+0.058%46.5%+0.175%48.2%+0.751%49.8%
+80以上の2〜3日目647,292+0.073%+0.021%46.4%+0.082%47.9%+0.683%49.5%
+80以上の4日目以上808,332+0.060%+0.002%47.0%+0.101%48.6%+0.694%49.8%
全体平均(比較用)12,371,282+0.082%+0.050%47.0%+0.246%49.9%+0.943%51.3%

-80以下では、長く居座っているほど数字が良くなります。5営業日後は1日目の+0.371%に対し、4日目以上は+0.500%・勝率53.5%。差は0.129ポイントです。20営業日後も4日目以上が+1.272%と最も高くなりました。

地合いを差し引いた20営業日後で見ても、1日目の+0.055%に対し、4日目以上は+0.227%と、同じ向きです。売られすぎ圏に長く居座った銘柄ほど、その後の戻りが大きい傾向がありました。

+80以上は日数による差がほとんどなく、20営業日後は+0.751%、+0.683%、+0.694%と横並びです。

5.この結果はどれくらい信頼できるか

極端な水準は、市場が急変した数日に一斉に発生しやすい性質があります。そのため、特定の日に集中していないかを確認しました。

発生が多かった上位3日を除いた20営業日後の平均リターン

※画像はクリックすると拡大してご覧いただけます

-80以下の1,710,062件は3,093営業日に広く分散し、発生が多かった上位3日(2020年3月16日、2020年3月13日、2025年4月8日)を合わせても全体の0.6%にすぎません。その3日を除いて集計し直すと、20営業日後は+1.168%から+1.084%と、ほとんど動きません。+80以上も上位3日の合計は0.4%で、除いた20営業日後は+0.704%から+0.711%です。

例外が、完全下降(-100)です。23,303件のうち上位3日(2025年4月7日、2016年2月12日、2018年12月25日)が3.2%を占め、その3日を除くと、翌日終値は+0.331%から+0.123%、5営業日後は+1.021%から+0.657%、20営業日後は+1.593%から+0.992%に下がります。20営業日後では0.601ポイントの減少です。最も好成績に見えた区分ほど、急落した数日に支えられていました。

次に年別です。13年のうち10年で、-80以下が+80以上を上回りました。5営業日後では11年です。通説の方向は、おおむね毎年成り立っています。

ただし、年ごとの振れは小さくありません。-80以下の20営業日後は2025年の+3.106%から2020年の-0.809%まで開き、マイナスの年が3年ありました。売られすぎからさらに売られる相場では、-80以下で拾っても戻らないということです。

地合いを差し引いた超過リターンで見ると、-80以下の20営業日後がプラスだったのは13年のうち8年にとどまります。5営業日後なら11年がプラスでした。日数が短いほど安定し、20営業日まで持つと年による差が大きくなる、という形でした。

6.この検証の限界

結果を使う前に、次の点をご承知おきください。

  • 売買コストを含みません。-80以下と+80以上の差は5営業日後で0.328ポイント、地合いを差し引くと0.213ポイントです。売買を重ねればコストで消えかねない水準です
  • 観測が重なっています。-80以下の状態は連日続くことが多く、12,371,282件が独立した試行というわけではありません
  • 9日という設定の1例です。他の期間で同じ結果になるかは、今回は確認していません
  • 上場廃止の扱い。データが途切れた銘柄のその後は追えていません。-80以下側は実際より良い数字になっている可能性があります

7.よくある質問(FAQ)

Q. RCIとは何ですか?

A. 一定期間の「日付の順位」と「価格の順位」の一致度を測る指標です。本記事では直近9営業日の終値で計算し、-100〜+100で表しました。一般に-80以下は売られすぎ、+80以上は買われすぎの目安とされます。

Q. RCIの-80以下は買いサインとして機能しましたか?

A. 方向は通説どおりでした。-80以下の5営業日後は+0.441%・勝率53.0%で、全体平均の+0.246%を上回りました。ただし大部分は市場全体の動きによるものです。

Q. 地合いを差し引いても、-80以下は有利でしたか?

A. 差は残りましたが、小さくなりました。超過リターンは-80以下が20営業日後+0.112%、+80以上が-0.112%。両者の差は0.464ポイントから0.224ポイントに縮みます。

Q. RCIが+80以上なら売るべきですか?

A. +80以上の20営業日後は+0.704%と、プラスのままです。全体平均を下回るものの、売りの根拠としては弱い結果でした。

Q. RCIが-100になった銘柄は最強の買い場ですか?

A. 数字は最高で、20営業日後は+1.593%でした。ただし上位3日を除くと+0.992%に下がり、急落した特定の日に支えられた部分が大きいと見るべきです。

Q. -80を上回って反転を確認してから買えば安全ですか?

A. そうなりませんでした。-80を上回った日の20営業日後は+0.894%で、全体平均の+0.943%に届いていません。

Q. この結果は特定の年や日に偏っていませんか?

A. 日の偏りはほとんどありません。-80以下は3,093営業日に分散し、上位3日の合計は全体の0.6%です。年別では13年のうち10年で、-80以下が+80以上を上回りました。

8.まとめ

12,371,282件(銘柄×日)を数え直してわかったことを整理します。

  • 方向は通説どおりでした。-80以下の20営業日後は+1.168%・勝率53.2%、+80以上は+0.704%・勝率49.7%で、全体平均は+0.943%
  • 地合いを差し引くと差は縮みます。20営業日後の差は0.464ポイントから0.224ポイントへ。-80以下の超過リターンは5営業日後+0.112%にとどまります
  • 反転を確認してからでは遅いようです。-80を上回った日の20営業日後は+0.894%で、全体平均を下回りました
  • 最高に見えた完全下降(-100)は、急落した数日に支えられていました。上位3日を除くと20営業日後は+1.593%から+0.992%に下がります
  • 年による差は大きい。-80以下の20営業日後は2020年に-0.809%でした

RCIの-80や+80という数字は、いかにも「ここが境目」という雰囲気を持っています。実際、その外側では通説どおりの方向に動いていました。

ただ、その差の半分は市場全体が動いたぶんであり、残りも年によって大きく振れます。RCIが-80を割ったという事実は、銘柄固有の買いの根拠というより、市場全体の地合いを映したものと読むほうが、今回のデータには合っていました。指標の数字を見るときは、それが銘柄の話なのか、市場全体の話なのかを一度切り分けてみてください。

この記事を読んだ方におすすめ

西村剛が今買うべき最有望株を限定公開中

  • 3年連続で売買シグナルコンテスト優勝の実力
  • 日本証券アナリスト協会検定会員が厳選
  • メールアドレスだけで今すぐ確認できる
最有望株を無料で確認する

※ メールアドレスのみで登録できます。いつでも配信停止可能です。

<追伸>
「株システムトレードの教科書」の記事は、機関投資家出身・証券アナリスト検定会員の西村剛が、統計データ・システムトレード・ファンダメンタルズを融合して解説しています。
↓↓↓↓↓

毎朝届く投資情報メルマガ「西村剛の勝ち株の流儀」(無料)はこちらから登録できます。
すでに22,000名が登録中。今なら10大特典を無料プレゼント中!