株式投資を始められる年齢は、結論からいえば本人名義の証券口座は18歳からです。2022年4月の民法改正で成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことに伴い、18歳になれば親権者の同意なしで自分の判断により証券口座を開設できるようになりました。
では17歳以下は株を買えないのかというと、そうではありません。親権者の同意を得て「未成年口座」を開設すれば、制度上は0歳からでも株式投資は可能です。一方で、始める年齢に上限はなく、40代でも60代でも遅すぎるということはありません。
この記事では、未成年口座の仕組みと開設の流れ、NISAの年齢要件、年代別の始め方、学生の注意点、利益が出たときの税金まで、「株式投資は何歳からできるのか」という疑問にまとめて答えていきます。
1.株式投資は何歳からできる?――本人名義は18歳から
まず、年齢と口座開設の関係を整理します。ポイントは「18歳」という区切りと、未成年口座という選択肢の2点です。
1-1.2022年4月の成年年齢引き下げで「18歳から」に
かつて証券口座を本人の判断だけで開設できるのは20歳からでしたが、2022年4月1日に施行された民法改正で成年年齢が18歳に引き下げられ、18歳になれば親権者の同意なしで本人名義の証券口座を開設できるようになりました。18歳の誕生日を迎えていれば、高校生であっても制度上は自分の意思で口座を作れます。
1-2.0〜17歳は「未成年口座」で投資できる
17歳以下の未成年者は、親権者(法定代理人)の同意を得て「未成年口座」を開設することで株式投資ができます。年齢の下限は設けられていないことが多く、制度上は0歳から口座を持つことも可能です。つまり、17歳以下は保護者の関与を前提に、何歳からでも投資を始められるということです。
1-3.上限年齢はない
証券口座の開設に年齢の上限はありません。70代・80代から新たに口座を開設して投資を始める方もいます。ただし、運用に充てられる期間は年代によって大きく異なるため、後述するように年代に応じたリスクの取り方を意識することが大切です。
年齢ごとに開設できる口座と主な取引範囲をまとめると、次のようになります。
| 年齢 | 開設できる口座 | 親権者の同意 | 主な取引範囲 |
|---|---|---|---|
| 0〜17歳 | 未成年口座 | 必要 | 現物株式・投資信託など(信用取引は不可) |
| 18〜19歳 | 本人名義の総合口座・NISA口座 | 不要 | 現物株式・投資信託・NISAなど(信用取引は制限される場合あり) |
| 20歳以上 | 本人名義の総合口座・NISA口座 | 不要 | 現物株式・投資信託・NISA・信用取引(審査あり)など |
2.未成年口座の仕組みと開設の流れ
ここでは、17歳以下が株式投資を始めるための「未成年口座」について、仕組みと手続きを具体的に見ていきます。
2-1.未成年口座とは――親権者の同意が前提
未成年口座とは、0〜17歳の未成年者本人の名義で開設する証券口座です。開設には親権者の同意が必須で、多くの場合、親権者自身が同じ証券会社に口座を持っていることが条件とされています。投資に使う資金は、お年玉やお小遣い、家族から贈与されたお金など、本人に帰属する資金を充てるのが原則です。なお、年間110万円を超える贈与には贈与税がかかる場合があります。
2-2.開設の流れと必要なもの
開設の流れはおおむね次の通りです。まず親権者が証券会社に口座を開設し、続いて未成年口座の開設を申し込みます。その際、本人と親権者の本人確認書類(マイナンバーカードなど)に加え、親権者の同意書や、続柄を確認できる住民票などの書類の提出を求められるのが一般的です。審査を経て開設までにかかる期間は数日〜2週間程度が目安です。
2-3.未成年口座でできる取引・できない取引
未成年口座で取引できるのは、国内株式の現物取引や投資信託などが中心です。一方、借り入れを伴う信用取引や、先物・オプションといったリスクの高い取引は利用できません。また、注文を出す主体は原則として法定代理人である親権者ですが、証券会社によっては15歳程度を目安に本人による取引を認めている場合もあります。
2-4.18歳になったら成人向けの口座に切り替わる
口座名義人が18歳になると、未成年口座は所定の手続きや自動更新によって成人向けの総合口座へ移行します。保有している株式や投資信託はそのまま引き継がれ、以後は本人の判断だけで取引できるようになります。
3.NISAは何歳から?――18歳以上が対象
税制優遇のあるNISAを使えるかどうかは、投資を始める年齢に関わる重要なポイントです。
3-1.NISA口座は「その年の1月1日時点で18歳以上」
NISA(少額投資非課税制度)は、株式や投資信託の利益にかかる税金が非課税になる制度です。NISA口座を開設できるのは、口座を開設する年の1月1日時点で18歳以上の方です。誕生日によっては、18歳になった年ではなく翌年からの利用開始になる点に注意しましょう。
3-2.ジュニアNISAは2023年末で新規買付が終了
かつては未成年向けの非課税制度として「ジュニアNISA」がありましたが、2023年末で新規の買付は終了しました。すでにジュニアNISAで保有している分については、18歳になるまで非課税のまま持ち続けられる仕組みが用意されていますが、2024年以降、17歳以下が新たに利用できる非課税制度はありません。
3-3.17歳以下は課税口座での運用が基本
したがって現在、未成年者が株式投資を行う場合は、未成年口座(課税口座)での運用が基本になります。利益には後述の通り20%程度の税金がかかりますが、少額の運用であれば税負担も限定的です。18歳になったらNISA口座を開設し、非課税の枠を活用していくという流れをあらかじめ想定しておくとよいでしょう。
4.年代別・株式投資の始め方
株式投資に「早すぎる」「遅すぎる」という明確な線引きはありません。ただし、年代によって使える時間や資金、取れるリスクは異なります。ここでは年代別の特徴と始め方の目安を整理します。
4-1.10代――少額と学習を最優先に
10代の最大の強みは、これから運用に充てられる時間の長さです。一方で、資金力と経験は乏しい時期でもあります。この年代では利益を追うことよりも、数千円〜数万円程度の少額で実際に売買を経験し、株価が動く仕組みや損失の痛みを学ぶこと自体に価値があります。1株単位で買える単元未満株のサービスを使えば、数百円程度から経験を積むことも可能です。
4-2.20〜30代――時間を味方につけられる年代
20〜30代は、運用期間を長く確保できるため、利益が利益を生む複利の効果を活かしやすい年代です。仮に損失を出しても、その後の収入や時間で立て直しやすいのも強みです。収入の範囲で毎月一定額を投資に回し、複数の銘柄や資産に分散しながら、相場の上下を経験して自分なりの投資スタイルを固めていく時期といえます。
4-3.40〜50代――遅すぎることはない
「40代から始めるのはもう遅いのでは」と感じる方は少なくありませんが、そんなことはありません。40〜50代は一般に収入や貯蓄が充実しやすく、資金力という若い世代にはない武器があります。一方で、教育費や住宅ローンの負担と重なる時期でもあり、老後までの残り時間は10代・20代より短くなります。大きなリスクを取って一気に増やそうとするのではなく、余裕資金の範囲で分散を効かせた運用を心がけましょう。
4-4.60代以降――上限はないがリスク許容度を最優先に
60代以降でも口座開設や投資は可能で、上限年齢はありません。ただし、この年代は資産を「増やす」段階から「使いながら守る」段階へ移っていく時期です。生活費や医療・介護への備えを確保したうえで、当面使う予定のない余裕資金に限って投資することが大前提になります。損失が出たときに働いて取り返すことが難しいため、値動きの大きい銘柄への集中投資は避けるのが無難です。
年代別のポイントをまとめると、次のようになります。
| 年代 | 主な強み | 始め方の目安 |
|---|---|---|
| 10代 | 運用に使える時間が最も長い | 数百円〜数万円程度の少額で、経験と学習を最優先に |
| 20〜30代 | 時間と複利を味方にできる | 収入の範囲で積立・分散を続け、投資スタイルを確立 |
| 40〜50代 | 資金力が充実しやすい | 教育費・住宅費と切り分けた余裕資金で分散運用 |
| 60代以降 | まとまった資金と人生経験 | 生活資金を確保し、守りを重視した運用に徹する |
5.学生が株式投資を始めるときの注意点
大学生や高校生が投資を始めるケースは年々身近になっていますが、学生ならではの注意点があります。
5-1.生活資金・学費と投資資金を明確に分ける
大前提として、投資に充ててよいのは当面使う予定のない余裕資金だけです。学費や家賃、生活費、留学や就職活動に必要なお金まで投資に回してしまうと、株価の下落が生活に直結してしまいます。「なくなっても生活に影響しない金額」を先に決め、その範囲内で始めましょう。
5-2.学業を優先し、短期売買にのめり込まない
株価は平日の日中に動くため、授業中に値動きが気になってしまう学生は少なくありません。頻繁な売買で利益を積み上げるスタイルは、時間を奪われるうえに難易度も高く、学生生活との相性はよくありません。学業を優先し、日中に相場へ張り付かなくてよい中長期の投資を基本にすることをおすすめします。
5-3.信用取引には年齢の要件がある
証券会社からお金や株式を借りて自己資金以上の取引を行う「信用取引」は、未成年口座では利用できません。18歳以上でも別途審査があり、投資経験や資産状況によっては認められないほか、証券会社によっては20歳以上を条件としている場合もあります。そもそも信用取引は損失が預けた資金を上回るおそれのある仕組みであり、経験の浅いうちは現物取引に限定するのが安全です。
5-4.SNSの「もうけ話」に注意する
投資を始めたばかりの若い世代を狙って、SNSなどで「必ず増える」「元本保証で高利回り」といった勧誘が行われる例が後を絶ちません。利益が保証される投資は存在しません。うまい話を持ちかけられたら、金融庁に登録のある業者かどうかを確認し、少しでも不審に感じたら家族や公的な相談窓口に相談してください。
6.利益が出たときの税金の基本
年齢を問わず、株式投資で利益が出れば税金がかかります。ここでは最低限知っておきたい基本だけを整理します。
6-1.利益には20%程度の税金がかかる
株式の売却益や配当金には、合計20%程度(正確には20.315%)の税金がかかります。これは未成年口座でも同じで、年齢による免除はありません。例えば10万円の売却益が出た場合、2万円前後が税金として差し引かれるイメージです。
6-2.「特定口座(源泉徴収あり)」なら申告の手間が少ない
口座開設時に「特定口座(源泉徴収あり)」を選んでおくと、利益が出るたびに証券会社が税金を計算して差し引いてくれるため、原則として確定申告が不要になります。学生や投資初心者は、まずこの方式を選んでおくと手間や申告漏れのリスクを減らせます。
6-3.扶養への影響と専門家への相談
親の扶養に入っている学生の場合、投資の利益が大きくなると扶養から外れ、親の税負担が増える可能性があります。源泉徴収ありの特定口座で利益を申告しない場合、その利益は税制上の扶養判定に含めない扱いが一般的ですが、還付などを目的にあえて確定申告をすると合計所得金額に算入され、年間50万円台後半程度が目安とされる所得基準を超えると扶養に影響するおそれがあります。健康保険の扶養は税金とは別の基準で判定されるなど制度は複雑なため、利益が大きくなってきたら、税理士など専門家に相談したうえで判断することをおすすめします。
7.よくある質問(FAQ)
Q. 高校生でも株は買えますか?
A. 買えます。18歳になっていれば本人名義の証券口座を開設でき、17歳以下でも親権者の同意を得て未成年口座を開設すれば現物株式の売買が可能です。ただし未成年口座では信用取引などは利用できず、注文の主体も原則は親権者です。学業や生活資金に影響しない少額から始めることが大切です。
Q. 親に内緒で証券口座を作れますか?
A. 17歳以下の場合は作れません。未成年者の口座開設には親権者(法定代理人)の同意が必須で、親権者の同意書や続柄を確認できる書類の提出も求められます。同意のない契約は後から取り消される可能性もあるため、必ず保護者と相談したうえで始めましょう。
Q. NISAは何歳から利用できますか?
A. NISA口座を開設できるのは、口座を開設する年の1月1日時点で18歳以上の方です。かつて未成年向けにはジュニアNISAがありましたが、2023年末で新規買付が終了しており、現在17歳以下が新たに利用できる非課税制度はありません。
Q. 何歳から始めるのが有利ですか?
A. 一般論としては、運用期間を長く確保できる若いうちに始めるほど、複利の効果や経験を積む時間の面で有利になりやすいといえます。ただし年齢に上限はなく、40代以降に始めても遅すぎることはありません。年齢そのものよりも、余裕資金の範囲で無理なく続けられるかどうかが重要です。
8.まとめ――本人名義は18歳から、始めるのに遅すぎる年齢はない
- 本人名義の証券口座は、2022年4月の成年年齢引き下げにより18歳から開設できる
- 0〜17歳は親権者の同意を得て未成年口座を開設すれば投資できる
- 未成年口座は現物取引が中心で、信用取引などリスクの高い取引はできない
- NISAはその年の1月1日時点で18歳以上が対象。ジュニアNISAは2023年末で新規買付終了
- 若く始めるほど時間と複利を味方にできるが、40代以降・60代以降でも遅すぎることはない
- 学生は生活資金と投資資金を分け、学業を優先しながら少額で経験を積むことが大切
- 利益には20%程度の税金がかかり、扶養への影響が気になる場合は税理士等への相談が安心
「株式投資は何歳からできるのか」という問いへの答えは、本人名義なら18歳から、未成年口座を使えば0歳から、そして上限はないという3点に集約されます。制度のうえでは、思っているより早くから、そして何歳になってからでも始められるのが株式投資です。
ただし、何歳で始めるにしても共通する原則は変わりません。生活資金とは切り離した余裕資金で、少額から、分散を意識して始めること。そして、値動きや損失の経験から学び続けることです。年齢を理由に諦めたり焦ったりするのではなく、自分の年代に合ったリスクの取り方で、無理のない第一歩を踏み出してみてください。
「株システムトレードの教科書」の記事は、機関投資家出身・証券アナリスト検定会員の西村剛が、統計データ・システムトレード・ファンダメンタルズを融合して解説しています。
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