日本株

■仕手株って儲けが出るの?

今回は、システムトレード的な観点から、 仕手株のトレードの有効性について検証してみたいと思います。
仕手株とは、ファンダメンタル的な裏づけがないにも関わらず、 株価が乱高下する銘柄のことを言います。

仕手株をイメージしやすいところで言うと、 加藤暠(かとうあきら)を筆頭とする集団が仕掛ける 「K銘柄」が挙がるのではないでしょうか。
仕手株は、仕手筋と呼ばれる集団が、大量の買い(売り)を入れて 株価を操作するために、一般の株よりも株価が急騰、急落しやすい特徴があります。

仕手株は値動きがとても荒いことから、 個人投資家の注目を浴びやすい銘柄です。
では、この仕手株を私たち個人投資家がトレードした場合、 はたして儲けが出るのでしょうか。 さっそく検証してみましょう。

執筆者

田村 祐一
田村 祐一

フェアトレード株式会社所属。調査本部アナリスト。統計データを重視したシステムトレードとファンダメンタルを組み合わせて銘柄分析を行う。株主優待先回り買い等の「イベント投資」にも注力。


1.仕手株トレードの有効性

ⅰ.ルール詳細(仕手株トレードの有効性)

仕手株のトレードの定義を以下のように設定しました。

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検証対象:全銘柄 検証期間:1990/03/01~2014/08/31 1銘柄当たりの投資金額:20万円

【買い条件】 ・株価が5円以上100円以下 ・終値が前日比で10%以上上昇 上記2つの条件を満たした翌日に、成行買い

【売り条件】 ・買い付けしてから7日以上経過したら、翌日成行売り

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仕手株のトレードを定義するのは難しいですが、 今回は、株価が5円以上100円以下のボロ株と呼ばれる 銘柄をトレードの対象としました。

このボロ株が、前日比で10%以上上昇したときは、 仕手筋が介入している可能性が高いと考えます。 手仕舞いは、買い付け後1週間が経過したら売ります。

で は、仕手株をトレードしたときの成績は どのように変化するでしょうか。 検証結果は、以下の通りです。

ⅱ.検証結果(仕手株トレードの有効性)

【検証結果】仕手株

仕手株
出所:システムトレードの達人 達人モード「運用資産の推移」画面             

■バックテスト結果■

勝率: 39.91 %
勝ち数: 5,455 回
負け数: 8,212 回
引き分け数: 1,603 回
平均損益(円): 70 円  平均損益(率): 0.03 %
平均利益(円): 32,984 円  平均利益(率): 16.49 %
平均損失(円): -21,781 円  平均損失(率): -10.89 %
合計損益(円): 1,062,211 円  合計損益(率): 530.48 %
合計利益(円): 179,926,825 円  合計利益(率): 89,964.49 %
合計損失(円): -178,864,614 円  合計損失(率): -89,434.01 %
プロフィット・ファクター(総利益÷総損失): 1.006
平均保持日数: 5.85 日

以上が、検証結果です。

2.まとめ 仕手株トレードは有効か?

検証結果を見てみると、勝率は39.91%、平均損益は0.03%です。

平均損益はごくわずかにプラスですが、勝率はとても低いです。 決して、損を被るわけではないですが、この結果では、 正直わざわざ仕手株をトレードするメリットはなさそうです。

仕手株は、一見すると株価が大きく上昇しており、 魅力的に感じるかもしれません。 しかし、株価が乱高下しやすく、手仕舞いがとても難しい銘柄です。

仕手株をトレードして、 大きな損失を被った投資家の方を、私は何人も見ています。
システムトレード的にも、ファンダメンタル的にも、 あえて仕手株をトレードする有効性は感じません。

■追伸

そもそも仕手集団は、まがいなりにも相場のプロです。

そして、そのプロは、個人投資家を食い物にするために、 仕手株を仕込み、仕手相場を形成しています。

つまり、個人投資家に損をさせて、自分たちが儲けを出すように動くのです。 個人投資家に損を出させようとしている資金量が巨大な集団に対して、 どうやって資金量が小さい我々が勝てる(利益を出せる)でしょうか。

仕手株のようなリスクの高い銘柄を選ぶくらいならば、 他にもっとリスクが小さく利益が出せる銘柄があるはずです。

<追伸>
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