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優待銘柄の直前買いは危険!?

今回は、「8月優待銘柄」について、検証していきたいと思います。 株主優待を行っている企業は、 優待権利確定日直前は個人投資家に注目を浴びやすくなります。

特に、人気の優待銘柄は売買が活発になり、値動きが荒くなります。 この記事を読まれているあなたも、 「8月優待銘柄」に興味がある方かもしれませんね。

優待銘柄は、権利確定日直前に個人投資家の買いが流入しやすく、 権利確定日直前に買い付けを行うと、高値掴みしてしまうリスクがあります。

なぜなら、権利確定日後には、大きな売りが出て株価が急落するためです。 優待や配当を目的に買い付けしても、 権利落ちによる損失が大きいと意味がないですよね。

そこで、今回は、「8月優待銘柄を7月末に買い、 権利確定日直前に売却したらどうなるか?」について検証していきたいと思います。

では、さっそく検証条件を確認していきましょう。

執筆者

田村 祐一
田村 祐一

フェアトレード株式会社所属。調査本部アナリスト。統計データを重視したシステムトレードとファンダメンタルを組み合わせて銘柄分析を行う。株主優待先回り買い等の「イベント投資」にも注力。


1.8月優待銘柄の直前買い戦略の有効性

検証条件は、以下の通りです。

ⅰ.ルール詳細(8月優待銘柄の直前買い戦略の有効性の検証)

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検証対象:8月優待銘柄(100銘柄)
検証期間:1990/03/01~2014/07/25

1銘柄当たりの投資金額:20万円

【買い条件】
・7月末に成行買い

【売り条件】
・買い付け後20日経過(8月権利確定日直前)した翌日に成行売り ===========================================

上記が、今回の検証条件です。
仮に、勝率が高く、1トレードあたりの平均損益がプラスならば、 7月末に8月優待銘柄を買いつけする戦略は有効でしょう。

また、仮に権利落ち後に株価が下落しても、損失幅は小さくおさえられるでしょう。 一方で、勝率が低く、平均損益がマイナスであれば、 7月末時点ですでに高値掴みしていると言えるでしょう。

また、権利落ち後はさらに損失幅が拡大する恐れもあることから、 買い付けは危険と言えます。

では、上記条件で検証した場合に、どのような検証結果になるでしょうか。

ⅱ.検証結果(8月優待銘柄の直前買い戦略の有効性の検証)

【検証結果】 8月 株主優待 勝率: 44.26 %
勝ち数: 636 回
負け数: 801 回
引き分け数: 50 回

平均損益(円): -2,193 円  平均損益(率): -1.10 %
平均利益(円): 10,088 円  平均利益(率): 5.04 %
平均損失(円): -12,081 円  平均損失(率): -6.04 %

合計損益(円): -3,261,177 円  合計損益(率): -1,630.63 %
合計利益(円): 6,415,749 円  合計利益(率): 3,208.03 %
合計損失(円): -9,676,926 円  合計損失(率): -4,838.65 %

プロフィット・ファクター(総利益÷総損失): 0.663
平均保持日数: 21.50 日

以上が、検証結果です。

2.まとめ 8月優待銘柄の直前買いは有効か?

検証結果を見てみると、勝率は44.26%、平均損益は-1.1%です。 勝率も5割を割り、平均損益もマイナスです。

よって、8月優待銘柄を7月末に買い付けする戦略は、 統計的に有効な戦略とは言えないでしょう。 7月末に買い付けした時点で、すでに高値掴みとなってしまい、権利確定日前に売却しても、損失を被る可能性が高いと言えるでしょう。

今回の検証では、権利確定日直前に売却していますが、 仮に権利落ち後まで保有をすると、より大きな損失を被るリスクがあり、とても危険です。

今(7月末時点)、8月優待銘柄を購入しようと考えている方は、 今一度考え直したほうが良さそうです。 今回の検証では、8月優待銘柄を7月末に買いつけする戦略は、 損失を被りやすい傾向が確認できました。

では、8月優待銘柄の中でも、特に高値掴みしてしまいやすい 銘柄について確認してみましょう。

【ランキング】8月高値掴み危険度ランキング

8月 株主優待 上記は、8月優待銘柄の中でも、 7月末に買い付けすると損失を被りやすい傾向がある銘柄です。 便宜上、勝率が40%以下の銘柄のみ表示しています。

これらの銘柄は、比較的個人投資家に人気の優待銘柄が並んでいます。 優待内容が魅力的だからといって、権利確定日前に飛びつくと、 不用意に損失を被るリスクが高いです。

よって、これらの銘柄を今(7月末)から 買い付けしようと迷われている方は、注意が必要でしょう。 お得な優待内容でも、買い付け時に高値掴みをしてしまっては本末転倒です。 優待がいざ自分の手元に到着しても、損をしていたら、その嬉しさは半減ですよね。

優待銘柄は、少なくとも権利確定日の2ヶ月以上前に買うことで、 不用意な損失を回避しつつ、優待を得ることが出来ます。 優待目的の買いが入る前に、先回りして買い付けすることが、 賢い優待獲得法と言えます。

ぜひ、あなたも注目している優待銘柄は、直前に買うのではなく、 先回りすると良いでしょう。

■追伸

優待銘柄の直前買いは、とても危険です。正直愚行と言えます。 だって、優待獲得で得られる利益よりも、損失が大きいなら、お金を払ってその商品(サービス)を得たほうが、自分が好きなものを買い付けできますからね。

だからこそ、優待銘柄を買いつけする場合には、先回り(私は3ヶ月以上をオススメしています)する必要があるのです。 7月末時点で買い付けするなら「10月優待銘柄」、8月末時点なら「11月優待銘柄」に注目すると良いでしょう。

この優待関連については、私がとても好きな分野である関係上、今後も定期的に取り上げていこうと思っています。楽しみにしていてくださいね!!

<追伸>
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