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時価総額とは
株式投資のご経験がある方は、時価総額と言う言葉をほぼ間違いなく目にしていると思います。
これは市場に於ける企業の価値を示す数字となっており、投資だけではなく就職活動でも参考数値として利用される程重宝されている指標。
計算方法はシンプルに発行済株式数×株価で算出され、
株価が安いからと言って価値が低いということにはならず、発行済株式数を乗じた数値が正しい企業価値とされるんですね。
ちなみに同じくよく目にするPERはPrice Earnings Ratioの略称で、日本語訳は株価収益率。
こちらは現在の企業収益に対して株価が割高か割安かを判断する指標となっており、計算にはやはり時価総額の数値を利用します。
時価総額推移の調べ方
このように大変重視されている時価総額ですが、実際に銘柄分析をする際にはこれまでの推移も確認しておきたいですよね。
これらのツールは有料会員登録が必要ですが、簡単に過去の時価総額を調べることが可能です。
しかし一点難点を挙げればその価格の高さでしょう。
四季報オンラインは月額1100円のベーシックプランで直近の4号分までしか閲覧できず、全てを閲覧するには月額5500円を支払う必要があります。
全ての銘柄を見るのであれば登録しても良いかもしれませんが、
殆どの場合は自分が所有、あるいは購入を検討している企業情報だけ調べたい場合が多く、
決してコスパが良いとは言えませんよね。
数社の情報を見る為だけに毎月5500円を支払うのは出来る限り避けたいという方が殆どだと思います。
無料で過去の時価総額を調べる
そこで今回は無駄なく無料で、自分の好きな銘柄を調べる方法を解説していきたいと思います。
例題に挙げるのはトヨタ自動車とし、情報をピックアップして過去の時価総額を確認してみましょう。
参照するのは株式発行企業のホームページにある投資家情報(IR)です。
基本的に上場企業は株主を始めとする投資家向けにこのページを設置しており、過去の決算資料をアーカイブしています。
(トヨタのホームページでは2000年からの決算報告を閲覧することが可能)
PDFを開くと表紙から始まり収支報告や配当情報が羅列されていて、
初めて見る方は混乱してしまいそうですね。
しかし時価総額を計算するのに必要なのは以下の部分となりますので、他の情報は必要に応じてチェックすればOKです。
この欄に時価総額計算に必要な発行済株式数の記載があります。
①の自己株式を含んでいる24年3月期の数字を参考にしましょう。
右側には前年度同月の情報が記載されておりますので、増減があった場合は一目で分かります。
実際のところIR情報から抜き取るのはこの情報のみなので、非常に簡単です。
次に対象期間の株価を調べます。
この作業の媒体に指定は無く、ご自分が知りたい時期の株価を参照しましょう。
今回の例に挙げた発行済株式数は3月期の決算情報となりますので、株価は2012年3月の終値だった3570円を参考値とします。
ここまで来れば時価総額に株価を乗じるだけなので簡単ですね、
12兆円という数字を導き出すことが出来れば計算は成功です。
補足として、現在のトヨタ時価総額は27兆円と当時の倍以上の数字を誇っていますので、経営体制の盤石ぶりは流石と言わざるを得ません。
この作業を2021年まで繰り返していけば10年分の推移データを抽出することが出来ます。非常に簡単且つコスパが良い方法となっているので、おすすめの方法です。
業種別時価総額データを抽出する方法
参照するのは株式取引ならお馴染みのJPXが運営するホームページです。
もちろん無料で閲覧可能となっており、以下の手順でページジャンプしてPDFを取得することが出来ます。
出典:JPX
このように、直近10年分のデータが各月毎に細分され、月末の数値を基に集計されています。
出典:JPX
PDFマークをクリックすると以下の通り水産、鉱業、建設業を始めとする全ての業種を網羅した一覧表が取得できます。
見方も非常にシンプルなので、初心者の方でも問題なく検証可能ですね。
出典:JPX
時価総額は個別銘柄だけではなく、株式全体や業種毎の統計も大切ですので、
自分が検討している企業がどの業種に該当するかを必ず確認しておきましょう。
例えば今回のコロナショックでどの業種が影響を受けたか、現在のトレンドとして活発に動いているのはどれか。等を検証するのに有効ですので、全体の動向を知る為にも重要なツールとなります。
70年分の市場別時価総額一覧表を一瞬で抽出する方法
市場別時価総額とは、東証1部、2部やマザーズ、JASDAQ等の市場毎の時価総額合計値となり、取引所自体の規模はもちろん日本経済に於いてどの程度のシェアを占めているかを分析するのに役立ちます。
そしてこちらに関してもJPXのホームページを利用すれば、無料且つ一瞬で約70年分のデータを抽出することが出来てしまうんです。
抽出手順は以下の通りにページをジャンプしていきます。
出典:JPX
こちらのページに辿り着いたら月末時価総額欄にあるExcelマークをクリックします。
出典:JPX
ダウンロードしたExcelファイルを開くと以下の通り、過去の市場別時価総額が網羅された一覧表が一瞬で手に入ります。
もちろんExcel形式なので必要な期間だけを抜き取ることや、色分けして見やすくアレンジすることも可能です。
今回は10年分の情報を抜き取って掲載しましたが、上にスクロールすると更に遡って見ることが出来ます。
正確な掲載データは東京証券取引所が設立された時点からの72年分となり、大量の時価総額推移を一瞬で把握できる便利なサービスと言えるでしょう。
まとめ 時価総額データを効果的に利用する為には
株の購入を検討する際にまず注目するのは、目星を付けた企業が同業界に於いてどの程度の価値があるのかです。
この時に初心者の方は株価だけを見て判断してしまいがちですが、
これは間違っていると言わざるを得ません。
冒頭で申し上げた通り、企業価値の指標である時価総額は株価と発行済株数によって算出されますので、株価が高くても発行済株数が少なければ時価総額=企業価値は低くなります。
実際に以下の例を見てみましょう。
自動車企業 | 時価総額 | 株価 | 発行済株式数 |
トヨタ自動車 | 20兆1715億円 | 6043円 | 33億3799万7492株 |
本田技研工業 | 5兆7060億円 | 3150円 | 18億1142万8430株 |
日産自動車 | 4兆5032億円 | 1051.5円 | 42億8271万5112株 |
富士重工業 | 3兆1536億円 | 4100円 | 7億6917万5873株 |
上記は2016年の主要自動車企業のデータとなります。
富士重工業の株価は日産と本田技研より高いにも関わらず、
時価総額が最も低いことがお分かりいただけるでしょうか。
このように、株価だけを見ていると正しい比較をすることが難しくなってしまいますので
基本動作として時価総額を見るようにしましょう。
又、IR情報から時価総額推移を算出するだけではなく、出来高や実体業績も組み合わせて検証すると大変有効ですね。
現在株を保有している方、あるいはこれからチャレンジしたい方は試しに企業のIR情報から動向を検証してみては如何でしょうか。
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