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権利確定日の空売りは儲かるのか
「権利確定日を過ぎる権利落ち日の株価下落」は株式市場において頻繁に見受けられる現象であり、配当取りを目当てにした投資家が権利付き最終日を過ぎた瞬間に売却する動きに起因しています。
そこで一定の経験値を持つ初心者投資家は「空売りを仕掛ければ儲かるのではないか」という考えに至ることもありますが、いくつかのポイントを見過ごした結果、大きな損失を抱えてしまうケースも少なくないのです。
そこで今回は、権利確定日の空売りで損しないために知るべき5つの知識を解説していきます。
空売りは貸株制度を利用した比較的リスクの高い手法でもあることから、安全投資のためにもぜひ参考にしてください。
権利確定日とは
「権利確定日」は通常の売買を行っている初心者にとってあまり馴染みがないかもしれませんが、長期保有で配当金を得るためには必要不可欠な知識といえるでしょう。
具体的には、株主が配当を得る権利を得られる権利付き最終日の2営業日前を指しており、権利落ち日は1営業日前にあたります。
先ほど触れた通り、株式保有者が一斉に売却する流れが発生しやすいことから、自身の銘柄の該当日は特に注視しておかなければなりません。
ちなみにほとんどの場合は決算発表と同じタイミングに設定されているため、ある程度目安にしてスクリーニングしてみてください。
権利確定日の空売りで注意するべき5つのポイント
権利確定日の概要を解説したところで、ここからは空売りで注意するべき5つのポイントを確認しましょう。
初心者にとっては、権利確定日の空売りが意外な盲点となるケースも多いため、ぜひ参考にしてください。
必ず株価が下落するという固定概念
まず前提的なポイントになってしまいますが、個別銘柄をよくチェックしてみると、「権利落ち日に株価が必ず下落する」といった考えはそもそも危険なギャンブルといえます。
なぜならば、株式市場が上昇傾向となる「地合いの良い時」や特定銘柄の株主優待が投資家にとって魅力であれば、権利落ち日を過ぎても思ったように株価が下落しないケースもあるからです。
そういった相場において空売りを入れれば、当然利ザヤを稼ぐどころか割高な手数料の支払いと株価上昇による損失が発生するでしょう。
したがって、短絡的で希望的過ぎる思い込みは、空売りにより自分自身でリスクを拡大させてしまう結果になりかねないことから、いつでも冷静に確認する目を意識しなければなりません。
クロス取引の増加
証券会社が独自に選定した銘柄が取引対象となる「一般信用取引」は、無尽蔵に空売りポジションが保有できるわけではありません。
基本的に空売りできる枚数には限りがあるため、たとえ目星をつけても自由にエントリーが行えるわけではなく、場合によっては在庫のあるものしか空売りできない、という事態にも発展します。
そして特に権利確定日付近は、買い注文と同時に空売りのポジションを持って、値下がりのリスクを回避しつつ、株主優待を取得する「クロス取引」すなわち、つなぎ売りが増加しやすいことから、なおのこと在庫に関しては注意するべきといえます。
人気の株主優待おすすめ銘柄に関しては、特に一般信用の空売り在庫がなくなるケースが多いです。
制度信用取引の逆日歩
先ほど触れた一般信用取引とは異なり、「制度信用取引」は在庫が底をつく心配はなく、金融商品取引所が認可している貸借銘柄に関しては自由に空売り取引が行えます。
ただし、制度信用取引が増加して品薄状態になった場合、証券会社は株式の巨大保有機関である機関投資家などから追加の株を借りなければならず、「逆日歩」という手数料が発生するのです。
たとえば、1株あたり10円の逆日歩がついてしまうと100株で1000円の支払いを余儀なくされる上に、肝心の料率は株式不足となった都度、日々の入札によって決まることから、コストの増減も考慮した方が良いでしょう。
空売りのポジションを持っている投資家は新規建の受渡日から返済前日までの累計額を支払う義務があるため、大きな負担に繋がるケースも多くなっています。
また、逆日歩は市場がクローズしている土日祝日もカウントされることから、空売り枚数が多いほど長期保有で不利になるだけでなく、売買手数料や税金と比べて高額に設定されているポイントも必ず把握しておくべきです。
貸株料
空売りにおいては逆日歩だけでなく「貸株料」というコストについても注意しなければなりません。
貸株料は信用取引を行う場合に借り受ける株式のレンタル料のようなイメージであり、取引金額に応じて発生します。
日計り計算が適用されていると毎日加算されてしまうため、考慮しないでいると思わぬ負担になってしまうでしょう。
実際のところこちらも初心者が見落としがちなポイントであることから、逆日歩とあわせて注意してください。
権利確定日を持ち越した時の調整金
現物か信用取引に関わらず、権利付き最終日に買いポジションを有していれば後日配当金や配当落ち調整金を受け取ることができます。
ただし、空売りした状態で権利付き最終日を持ち越した場合、逆に配当金相当の「配当落ち調整金」を支払わなければなりません。
また、配当落ち調整金に関しては一律現金払いとなる点にも注意が必要であり、あらかじめ資金に余裕を持たせておく必要もあるでしょう。
もしコストを削減したければ、たとえ含み損を抱えていても権利付き最終日前に決済しなければならないため、すぐに空売りポジションを利確できる相場環境かどうかをよく分析してください。
まとめ
本記事では権利確定日の下落を狙った空売りの注意点を5つ解説してきました。
空売りを行う場合、通常の売買手数料だけでなく、先ほど触れた貸株料や逆日歩といったコストを支払う必要があり、あらかじめ想定していなければ予想以上の負担に膨らむケースもあります。
また、株式相場は基本的に0円以下にはならない一方、上昇に関しては際限のない青天井です。
したがって、下落を狙う空売りにおいては取り返しのつかない損失に繋がる可能性もあることから、そもそもリスクの大きい手法ということも肝に銘じた方が良いでしょう。
一方、権利確定日の空売りで利益を得ているトレーダーは確かに存在しているため、現在検討している方は本記事で解説した注意点を参考に、安全第一で空売りの取引をしてください。
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