日本株

執筆者

西村剛
西村剛

フェアトレード株式会社 代表取締役。機関投資家出身で統計データを重視したシステムトレードに注力。2011年株-1グランドチャンピオン大会で+200.4%、2012年+160.1%、2013年157.0%を叩き出し三連覇達成。証券アナリスト検定会員。システムトレードを使った定量分析と、これまでファンドマネジャーとして培ったファンダメンタルズ分析を融合した新しい視点で株式市場を分析し、初心者でもわかりやすい言葉を使った解説に定評がある。


システムトレード

株式投資とは

人生100年時代が提言され、老後は2000万円が必要とされている昨今、資産運用は以前にも増して身近なものとなっています。
そういった背景から、試しに証券口座を開設して株式投資を始めたいと思う方も多くなっており、その需要は年々高まる一方です。
しかし、初心者の多くは主に以下のような問題に直面しており、その難解なイメージから入金すらせずにアプリを閉じてしまうこともあります。

・株という存在自体が分からない
・株で利益をだすとはどういうことなのか
・大金が必要なのではないか
・お金が無くなってしまいそう

経験がない方にとってはまさに未知の世界
ともいえますが、株の歴史は実に400年以上と古く、アメリカでは10代のうちから資産運用の勉強を始めるそうです。
そういった側面から考えると、日本は残念ながら少々遅れ気味といえるのかもしれません。
しかし投資の最大のメリットの一つは年齢制限というものが存在せず、いつからでも勉強を始められるというポイント。
そこで今回は株式投資を始めたいという方のために、基礎の基礎から解説していきたいと思います。

株とは何か

株式会社という言葉は当然だれもが耳にしたことがあると思いますが、その意味まで深く考えたことはあるでしょうか。
これは簡単に表すと企業に出資した方(出資者=投資家)に対して発行する証券であり、株主になった出資者は証券を持っている割合(持ち株比率)に応じて以下のようなメリットを受けることができます。

・会社の利益が出たら株を持っている分の配当を受け取る権利
・会社の経営自体に参加できる権利(株主総会)
・その時の価値に応じて売却益を得る権利(一般的な株取引)

初心者の方はこの三つを押さえておけば問題ありません。
企業は銀行から借り入れることもなく、返済不要な資金を調達することができ、出資者(投資家)は配当金や株価が上がったあとの利益を得ることができるというイメージを持てば分かりやすいですね。
現実的にそう簡単ではありませんが、その企業の経営権を握ることもできるようになるのです。

ちなみに以下は持ち株の割合に対する株主の権利となります。

1株以上・議事録閲覧
・株主代表訴訟
1%株主総会の議案提出権
3%以上・株主総会招集
・帳簿や経営資料の閲覧
33.4%特別決議の阻止
50.1%・役員報酬、配当等を可決できる
・株主総会の普通決議
66.7%・株主総会の特別決議
・経営に関わる重要事項の単独可決
100%全ての決定権

この通り、株の意味合いとしては企業の資金調達が本質であり、株式投資は業績や経営統合等で売り買いが交錯した結果変動する株の価格=株価に着目して売却益を得るという行為と捉えるようにしましょう。

ここまで登場した用語
・持ち株比率→発行されている株数に対する持っている割合
・株主総会→株主で構成された、企業の経営方針や重要事項を決定する会
・株価→企業銘柄のその時点での価格であり、厳密には企業価値の数字ではない

基本用語を覚えよう

株の基本的な考え方が分かったところで、次は難解な専門用語について見ていきましょう。
株自体の知識として必要な用語と、取引を行う上で必要な用語に分けて解説していきます。

株の基本用語

初心者の方にとっては分からないことだらけの用語ですが、一つずつ理解すれば簡単に習得することができます。
以下は特に登場頻度の高い用語となりますので、必ず覚えるようにしましょう。

・発行済み株式数
企業が発行している株の総数
・時価総額
企業価値を表す数字で、株価に発行済み株式数を乗じたもの
・株主資本比率
総資産(自己資本と他人資本)に対しての自己資本の割合で、自己資本の割合が大きい程経営が安定している。
・負債比率
自己資本に対する負債の割合で、経営の安定性を計ることができる。
・ROE
株主資本比率の意味で純利益÷株主資本で計算される。
資本に対してどの程度効率的に利益を上げているかを数値化したもので、成長性を計る。
・ROA
総資本経常利益率の意味で当期純利益÷総資産(株主資本や負債)に対する効率性を数値化した数字
・PER
株価÷EPS(1株当たりの利益)で割り出される株価の収益率。
1株当たりの利益と株価を比較することが可能。
・浮動株
発行済株式の中で、固定された株主が持っていない、市場に流通する可能性がある株。
証券アプリ等で投資家が売買するのがこれになる。
・IPO株
Initial Public Offeringの略称で、新規公開株の意味。
IPO株投資とは、上場時に配られる購入する権利を抽選で入手して、はじめにつく株価(初値)で売却して利益をだす手法。
・IR情報
Investor Relationsの略称で、大手企業が自社HPで投資家向けに情報公開している
・日経平均株価
代表的な大手企業で構成された株価平均値で、経済全体の動向を知るのに役立つ。
これ自体を売買取引することも可能。(NYダウは米国版と覚えればOK)
・TOPIX
東証一部上場銘柄の時価総額を合計した数値で、こちらも動向を調べるのに役立つ。
・会社四季報
全上場企業の情報や株価データ、業績の推移等が調べられる。
80年の歴史を持つ投資家のバイブル
・JPX(日本取引所グループ)
東京・大阪取引所等を運営している企業
・東証一部
東京証券取引所一部市場の略称で、主に大手企業が多く上場している
・東証二部
東京証券取引所二部市場の略称で、中堅企業が多い
・マザーズ
ベンチャー企業が多く上場してて、東証二部以上を目指している場合が多い
・JASDAQ
新興企業が多い
・機関投資家
年金基金やヘッジファンド等の巨額資産を有する投資家
・仕手筋
株価を意図的に操作して売却益を得る集団で、操作された株を仕手株という。
・証券コード
銘柄毎に割り当てられた4桁の識別番号。
銘柄コードとも呼ばれる

トレードの基本用語

先ほど解説したのは株式市場に絡む用語でしたが、次はトレードに重要な用語を確認していきましょう。
一見すると難しく感じますが、意味を理解すれば後になって必ず役に立ちます。

・証券口座
証券会社を介して取引するために資金を入金する口座で、そこから株を購入していく。
基本的に開設費等はかからず、窓口に行く必要もない。
・証券アプリ
証券会社が運営している携帯アプリで、取引はもちろんマーケットニュースやアナリストの分析等も閲覧できる
・板
売買注文がどれだけ溜まっているかを表示させた一覧表。
・前場/後場
午前中の取引を前場、午後の取引は後場という
・寄り付き/引け
前場と後場の最初の取引を寄り付きといい、最終取引を引けと呼ぶ
・ザラ場/ザラバ
寄り付きから引けまでの取引時間。
よくある状態のことをザラと呼ぶことからきている
・特別買い気配/売り気配
注文が一方向に偏った状態で、取引所が気配表示をする。
・ストップ高/安
株価毎に定められた値幅制限に到達して、取引がストップした状態。
・現物取引
シンプルに現物と呼ばれることもあり、保有している資金内でしか購入できない。
損失を限定することができるので、初心者におすすめ。
・信用取引
口座の資金を証拠金として、証券会社から借金して多くの株を購入することができる。
後述するロスカットや追証等のリスクが大きいが利益も増える。
・成行注文(なりゆき注文)
株価を指定せずに注文をだす方式で、買いの場合は最も安い売り注文と約定され、売りの場合はその反対になる。
・指値注文(さしね注文)
成行とは対照的に、価格を指定する注文。
・ロスカット
信用取引等で許容損失を超えた場合に強制的に建て玉(保有している株)が決済される。
・追証(おいしょう)
正式名称は追加保証金で、信用取引で含み損が増えた際の口座資金に対する損失の許容率が一定以下になった場合に求められる追加の金銭。
・含み損/含み益
保有している株が購入時よりも利益が出ていて、決済していない状態の損益状態を指す。
利益がでていれば含み益で含み損はその逆。
・空売り
通常は保有している株を売り払うことをいうが、保有していない状態から信用取引を利用して空で売る行為。
今後下落が見込める銘柄に有効で、思惑通りに値動きした際は空で持っている株を買い戻して利益を得ることができる。
・株価チャート
株価をグラフ化したもので、値動きを簡単に把握することができる
・足
チャートを表示する基準時間軸の専門用語で、1分、5分、15分から週、月まで幅広く表示して、小さな値動きから大局の方向性までが分析できる
・ローソク足
陰線と陽線で作られるチャートの表示形式で、値動きの勢いを確認できる。
・トレンド
株価の大きな方向性で、上げトレンドや下げトレンド等と呼ばれることもある。
・サポート/レジスタンスライン
サポートは株価が買い支えられて下落が抑制されるポイントであり、レジスタンスはその逆で売り圧力が働いて上げ止まる。
ちなみにレジスタンスを抜けた後に、サポートラインの役割に変わることを転換という。
・テクニカル分析
株価の先行きをチャートの動きから分析すること。
・ファンダメンタルズ分析
チャートよりも経済状況や業績に重きを置いた分析。
・テクニカルチャート
移動平均線やフィボナッチリトレースメント等が代表的。
株価の値動きから算出した統計情報をラインにしてチャートに表示することで、トレンドやサポレジの判断に利用できる。

株が売買される仕組み

基本的な用語が分かったところで、次は株が売買される仕組みを身につけていきましょう。
多くの場合はこの仕組みをよくわかっておらず、証券会社や企業から直接株を購入するものと捉えている方もいますが、株は100%自身の狙った価格で買える保証はありません。
それは株の取り引きが売り注文と買い注文のマッチングによって成り立っているからです。

kabu_ita.jpg出典:③トレード

上記は先ほど用語解説で触れた板の例となります。
最も高い買い注文が1000円で、最も安い売り注文が1001円にあることがわかりますね。
これは指値注文の数量が表示されており、マッチングして売買が成立(約定)する株取引においてはこのままでは約定しません。
しかしここに4000の成行買い注文が入るとどうなるでしょうか。
用語解説の通り成行買い注文は、最も安い指値売り注文とマッチングされることになりますので、4000の成行買い注文と同数の指値売り注文が1001円で売買成立することになります。
一方、仮に成行買い注文が5000だった場合は、1001円で4000の売り注文がマッチングされた後に、1002円で残りの1000をマッチングすることになります。

この基準は証券会社が適用している以下の二つの原則で成り立っています。

・価格優先の原則
価格の優位性が低いものからマッチングする原則で、買いは株価の高い順に優先され、売りは逆に安い注文が優先されます。
・時間優先の原則
同時に受けた注文には適用されませんが、シンプルに注文が早かったものを優先するという原則です。

この仕組みを知らずにトレードを始めると十中八九混乱してしまいますので、必ず覚えておきましょう。
また、寄り付きやストップがかかっている時は約定方式が変わってきますので、是非本サイトの解説記事を参考にしてみて下さい。

株の必要資金について

株の購入は基本的に1単元(100株)からとなっており、株価×1単元で計算することができます。
したがって、大手企業などの株価が高い銘柄は数十万円が必要になる場合もありますが、1株数百円程度であれば5万円程度で購入することも十分に可能となっています。

一方、更に安くリスクを減らして始めたいという方には単元未満で購入できる証券会社がおすすめ。
これは通常1単元からとなっている株取引が1株から購入できるサービスで、数百円から数千円程度で資産運用を始めることができます。
実際のところ、株取引は資産を減らしてしまう可能性も当然ありますので、初心者の方は是非利用した方がいいサービスといえるでしょう。

株取引は簡単にデビューできる

ここまで解説した内容を理解していれば、株式市場の多彩な情報に圧倒されることはないといえるでしょう。
そして実際の株取引は、以下の手順を踏めば簡単に始めることができます。

証券口座の開設

まずは証券口座を開設しなくてはなりません。
先ほど解説した単元未満サービスを提供している証券会社等、自身のニーズに合ったところを探してみましょう。
ちなみに口座開設自体は無料で、トレードの収支以外で費用が発生することは基本的にありませんので、肌に合わなければ別の口座に移っても全く問題ありません。

資金の入金

証券口座に資金を入金する時は、必ず余剰資金に収めるようにして下さい。
余剰資金の額に迷った時は、「最悪の場合無くなっても生活に全く支障がない範囲」です。
絶対に借金や生活費を口座に投入することはやめましょう。
目安としては、1単元取引であれば10万円程度、単元未満なら1万円程度で最初は問題ありません。

トレードスタート

以上の手順が終われば、いつでもトレードを始めることができます。
操作方法は証券アプリ毎で変わってきますので、チュートリアルを見る等してゆっくり慣れていきましょう。
この際、安易にエントリーするのではなく、企業の業績や株式全体の動向をしっかり分析することが大切です。
もし分析の仕方が分からない場合は、本サイトの別記事を是非ご参考下さい。

まとめ

今回は株式投資の基礎からトレードを始める手順までを解説してきました。
専門用語も多く最初は分からない事ばかりで戸惑うこともありますが、一つ一つじっくり覚えていくことで必ず知識を自分のものにすることができます。
株取引は将来の自分自身への投資にも繋がりますので、本記事をご参考に是非積極的にチャレンジしていきましょう。

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