目次
「差し込み線」とは
差し込み線とは、ローソク足2本で構成される二本足チャートパターンの一つで、大陰線の翌日に出た陽線が、前日の終値より安く寄り付き、前日の大陰線の実体部分の中間値以下に収まって引けるものです。
大陰線の下から陽線が差し込む形になっていることから「差し込み線」と呼ばれます。
差し込み線は、大陰線が出た翌日の寄り付きには前日の勢いのまま売られて窓を開けますが(ギャップダウン)、寄り付きで売りが出尽くして、終日買われて反発するというものです。
ただ、反発はするものの、終値では前日の大陰線の中央値は超えられるほどの強さはなく、下落トレンドの転換点になったかどうかは未知数です。
また、差し込み線そのものは二本足であるため、チャートの中で多く発見することができますが、差し込み線がチャートのどこで出るかによって意味合いが大きく異なってきます。
差し込み線で株価はどうなる
差し込み線は、チャートのどの場面で出たのかによって意味合いが異なってきます。
- 上昇トレンドで出た場合
- 下降トレンドで出た場合
それぞれのケースで差し込み線が出た場合の意味合いについて見ていきましょう。
上昇トレンドで出た場合
差し込み線が上昇トレンドで出た場合、利益確定による大陰線が出た翌日に、買い方が押し目で買って反発したものと見ることができます。
上昇トレンドで大陰線が出た時点でトレンド転換の可能性もありますが、買いの勢いが強く、さらなる上昇トレンドの継続に繋がるケースもあります。
次のチャートは、太陽光発電事業者の【3856】Abalanceの2023年の日足チャートです。
上昇トレンドの途中で大陰線が出て、翌日に陽線が出る差し込み線が出現していますが、その後は再び上昇トレンドに戻ったことが分かります。
上昇トレンドの銘柄で、差し込み線を狙ったトレードをする場合には、差し込み線のチャートパターンが確定した陽線の終値で買いエントリーして押し目を拾う手法が考えられます。
ただ、上昇トレンドで大陰線が出るとトレンドの終わりも意識され、差し込み線が出ても反発とならず、上昇トレンドの転換点になるケースもあることには注意が必要です。
下降トレンドで出た場合
差し込み線が下降トレンドで出た場合には、下降トレンドによる大陰線が出た翌日に、買い方が底値をにらんだ反発期待で買いを入れてきたものと見ることができます。
下降トレンドで大陰線が出ることは珍しくありませんが、翌日にさらに安く寄り付いたにも関わらず、その勢いのまま売られずに買われたということは、トレンドの転換点になる可能性があります。
次のチャートは、半導体製造装置企業【6146】ディスコの2022年3月の日足チャートです。
2022年1月からの下降トレンドの終盤で差し込み線が出ており、この付近の株価が安値圏となり、その後は反発していったことが分かります。
つまり、下降トレンドの転換点となる差し込み線であったということです。
なお、ディスコの株価を長期チャートで見ると、この付近の株価が安値となり、2023年5月17日終値時点では17,760円まで反発しています。
ただ、これはあくまで一ケースであり、安値圏付近で差し込み線が出たものの、下降トレンドの転換点とはならず、さらなる下落に繋がるケースもあります。
下降トレンドで差し込み線が出た場合のトレード戦略としては、下降トレンドの転換点になることを期待して逆張りで買う戦略を取ることが考えられますが、さらなる下落となった場合には早期の損切りが必要なことには注意が必要です。
また、下降トレンドが継続すると考えた場合には、差し込み線の陽線で戻り売りをする順張り戦略をとることもできますが、この場合は下降トレンドの転換点となった場合には踏み上げに注意が必要です。
差し込み線の3つのチャートパターン:「切り込み線」「差し込み線」「入り首線」
「大陰線の翌日に安く寄り付いて陽線」という二本足パターンは、次の3つのチャートパターンに区別されます。
- 差し込み線
- 切り込み線
- 入り首線
「差し込み線」については既に見てきたため、「切り込み線」「入り首線」について見ていきましょう。
切り込み線
切り込み線とは、大陰線の翌日に出た陽線が、前日の終値より安く寄り付き、前日の大陰線の実体の中間値よりも高く引けるものです。
切り込み線は、翌日の陽線で大陰線の半値以上まで買われることから、二本足パターンの中でも強いチャートパターンとなります。
切り込み線が上昇トレンドで出現した場合には、トレンドの継続となる可能性がより強くなると考えられます。
切り込み線が下降トレンドで出現した場合には、下落トレンドで強い大陽線が出ることは珍しいため、トレンドの転換点となる可能性が強まったと考えるのがセオリーです。
切り込み線が出現したら上昇や反発方向の買い目線で考えることが基本となりますが、騙しとなり下落していくこともあることには注意が必要です。
入り首線
入り首線とは、大陰線の翌日に出た陽線が、前日の終値より安く寄り付き、前日大陰線の終値をわずかに超えて引けるものです。
入り首線は、翌日の陽線が大陰線の終値程度までしか買われなかったことから、二本足パターンの中では弱いチャートパターンとなります。
入り首線が上昇トレンドで出現した場合には、トレンドの転換点となる可能性を考える必要が出てくるため注意が必要です。
入り首線が下降トレンドで出現した場合には、下落トレンド継続の可能性が高いため、戻り売りのポイントとも考えられます。
入り首線が出現したら下落や反落方向の売り目線で考えることが基本となりますが、騙しとなり反発していくこともあります。
「切り込み線」「差し込み線」「入り首線」のまとめ
「大陰線の翌日に安く寄り付いて陽線」の二本足チャートパターンである「切り込み線」「差し込み線」「入り首線」についてまとめておきましょう。
「大陰線の翌日に安く寄り付いて陽線」の二本足チャートパターンは、「入り首線」「差し込み線」「切り込み線」の順番で強くなります。
入り首線が出た場合には、上昇トレンドの転換による反落や下降トレンドの継続によるさらなる下落となる可能性が強いため、売り目線を意識することがセオリーとなります。
差し込み線は、切り込み線と入り首線の中心の強さとなり、トレンドの転換・継続いずれの可能性もあると考えるようにしましょう。
切り込み線が出た場合には、上昇トレンドの継続や下降トレンドの転換による反発の可能性が強くなるため買い目線で考えることが基本です。
まとめ
この記事では、「差し込み線」のチャートパターンやトレード戦略、同様の二本足パターンである「切り込み線」「入り首線」についても解説してきました。
差し込み線は、大陰線の翌日に出た陽線が、前日の終値より安く寄り付き、前日の大陰線の実体部分の中間値以下に収まって引けるものです。
差し込み線は、チャートのどこで出るかによって意味合いが大きく異なってくるため、差し込み線が上昇トレンドで出た場合、下降トレンドで出た場合のいずれについてもよく押さえておきましょう。
「大陰線の翌日に安く寄り付いて陽線」の二本足パターンには、「切り込み線」「入り首線」もあります。
切り込み線は、陽線が前日大陰線の中央値を超えて引けるもので、強いチャートパターンとなり、上昇トレンドなら継続、下降トレンドなら転換点と買い目線で見ることが基本です。
入り首線は、陽線が前日大陰線の終値をわずかに超えて引けるもので、弱いチャートパターンとなり、上昇トレンドなら転換点、下降トレンドなら売り継続と売り目線で見ることがセオリーとなります。
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