1.一目均衡表とは
一目均衡表とは、株価を表すローソク足に加え、転換線、基準線、遅行スパン、先行スパン(2本)の計5本の折れ線で表されるテクニカル指標です。なお、5つの線は、各々下記の要領で算出されます。
基準線:(過去9日の株価の最高値+最安値)÷2
転換線:(過去26日の株価の最高値+最安値)÷2
遅行スパン:当日の終値を26日前に記録したもの
先行スパン1:(転換線の値+基準線の値)÷2を26日先に記録したもの
先行スパン2:(過去52日間の最高値+最安値)÷2を26日先に記録したもの
本来この指標は、上記の折れ線だけでなく、波動、時間、値幅といった分析も含め、総合的に分析する必要があると言われています。ただし、ここでは、よく使われている見方を4つご紹介します。
1つ目は、転換線が基準線を上抜け(下抜け)した時が買い(売り)のシグナルだとして活用されます。
2つ目は、「雲」と呼ばれる、2本の先行スパンに挟まれた場所を抵抗帯として捉える方法です。抵抗帯とは、株価が雲の上にあれば、下値が堅くなるメドとして機能し、株価が雲の下にあれば、上値が重くなるメドとして機能する位置のことです。株価が雲を上抜け(下抜け)したときは買い(売り)のシグナルという見方をします。
3つ目は遅行スパンと株価の関係です。これは、遅行スパンが株価を上抜け(下抜け)すれば買い(売り)のシグナルとする見方です。遅行スパンは「当日の終値を25日前にプロットしたもの」ですので、現在の株価と25日前の株価とを比較していることになります。
最後は、上記3つを複合させた見方です。(1)転換線が基準線を上抜け(下抜け)する、(2)株価が雲を上抜け(下抜け)する、(3)遅行スパンが25日前の株価を上抜け(下抜け)する、の3つの条件を満たすと「三役好転(逆転)」と呼ばれ、強い買いシグナル(売りシグナル)とされています。
目次
2.一目均衡表は使えない?20年分のデータで検証してみた
今回は一般的に言われている「三役好転となると買い三役逆転となると売り」が果たして有効かどうか調べてみました。ルールの詳細は以下の通りです。
ⅰ.ルール詳細(一目均衡表の設定例)
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バックテストモード:標準モード
バックテスト期間:2000年1月1日から2019年12月31日
バックテスト対象の銘柄:日経平均採用銘柄
売買単位:金額固定(単位枚数を無視)
買いルール:転換線(9日)が基準線(26日)を上抜け
終値が雲{先行スパン1(26日)、先行スパン2(52日)}を上抜け
遅行スパン(26日)がその日の終値を上抜け
⇒上記を満たした翌日に成行で買い
売りルール:転換線(9日)が基準線(26日)を下抜け
終値が雲{先行スパン1(26日)、先行スパン2(52日)}を下抜け
遅行スパン(26日)がその日の終値を下抜け
⇒上記を満たした翌日に成行で売り
【買いルール詳細】
【売りルール詳細】
出所:システムトレードの達人 達人モード「ストラテジーの設定内容」画面
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ⅱ.検証結果(三役好転の勝率とは)
検証結果は以下の通りです。
運用の推移
出所:システムトレードの達人 達人モード「運用資産の推移」画面
■バックテスト結果■
勝率: 54.57 % | |
勝ち数: 209 回 | |
負け数: 174 回 | |
引き分け数: 0 回 | |
平均損益(円): 78,356 円 | 平均損益(率): 39.18 % |
平均利益(円): 180,660 円 | 平均利益(率): 90.33 % |
平均損失(円): -44,526 円 | 平均損失(率): -22.26 % |
合計損益(円): 30,010,421 円 | 合計損益(率): 15,005.22 % |
合計利益(円): 37,757,932 円 | 合計利益(率): 18,879.02 % |
合計損失(円): -7,747,511 円 | 合計損失(率): -3,873.80 % |
PF: 4.874 | |
平均保持日数: 1,574.84 日 |
3.まとめ 一目均衡表だけでも勝てないことはない
資産曲線が概ね右肩上がりの曲線となっており、それなりに有効なルールだと見て取れます。また、勝率54.57%、平均損益39.18%、PF4.874となっており、統計的には有効な結果と言えるでしょう。
資産運用の推移をみても、大きな下落はなく安定して利益を出し続けることができています。
なお、これはあくまで日経平均採用銘柄の傾向です。他の市場については、調べてみると別の傾向が得られるかもしれません。気になる方は、ぜひご自身でも検証してみてはいかがでしょうか。
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