目次
セリクラとは?
セリクラとは、「セリング・クライマックス(Selling Climax)」の略称であり、中長期的な下落相場で大きな出来高を伴って、大陰線を付ける動きを指しています。
下落相場における最終局面で出現することから、株価が底値を付け、上昇相場へ転じるサイン・転換点とみなされており、環境認識だけでなくエントリーポイントとしても有用です。
なお、セリクラは下落の値動きを意味していますが、上昇相場の天井で起こる場合は「バイクラ(バイイング・クライマックス)」と呼ばれるため、合わせて覚えておくと良いでしょう。
セリクラのチャートパターン
セリクラのチャートパターンは、「下落相場で大きな出来高を伴った、下ヒゲが出現する」のが代表的です。
以下は日経平均株価の月足チャートであり、中央付近で突然大陰線を刻んでいることが分かりますね。
※画像:日経平均株価の月足チャート
当時の日経平均は「2016年2月の中国経済減速リスク」に加えて「2018年12月には米中貿易摩擦ショック」そして「2020年2~3月のコロナショック」によって一時的に大きく下落しました。
ただし、いずれも後から振り返ってみると、下落相場の最終局面となっており、結果的には「絶好の買い場だった」といえるでしょう。
特に、コロナショックにおける下落幅は未曽有の規模でしたが、大陰線+下ヒゲを付ける一方で、出来高も増加しているのです。
また、2016年2月も下ヒゲ+大きな出来高が発生したことから、セリクラは大陰線を刻むだけでなく、出来高の急増も構成要素の1つとなっています。
セリクラの裏で起こっている相場心理
セリクラは「下落相場の最終局面で、大きな出来高を伴った下ヒゲが出現」しますが、このようなチャートパターンが形成される理由を、相場心理の側面から見ていきましょう。
パニック・総悲観による損切り
下落相場においては、相場参加者の「含み益が減る」ことに加えて「含み損の拡大」が同時に発生することから、心理的に総悲観やパニックに陥りやすい状況です。
事実、行動心理学「プロスペクト理論」において、人間は得する時の喜びよりも、損失に対する痛みの方が強く感じる生物とされています。
すなわち、相場参加者が含み損を抱えている状態で一段安となれば、これ以上の含み損に耐え切れなくなった投資家は次々に損切り(相場の下落)していくでしょう。
信用買いの強制ロスカット
信用取引を行っている投資家の場合は、セリクラで証拠金維持率が低下して、買いポジションの強制ロスカットが執行(相場においては売り圧力)される可能性があります。
そして、先ほど触れた損切りと合わせて相場の下落が加速し、売りが売りを呼ぶ連鎖的な大暴落を引き起こすのです。
スマート投資家による買い
ここまで触れた通り、セリクラは損切りとロスカットが合わさった連鎖的な下落相場ですが、そんな状況を買い増しチャンスと待ち構えている「スマート投資家」も少なくありません。
スマート投資家は、一般投資家が安く手放した株を買い上げることから、セリクラの下ヒゲを形成する要素であり、同時に大きな出来高の一因にもなります。
無論、セリクラの局面においては勝ち組なので、初心者はまずこの勢力に入れることを目標にしましょう。
セリクラ判断時の注意ポイント
セリクラは相場の転換点となることから「セリクラが出現したら買いチャンス」と判断する初心者も多いでしょう。
しかし、セリクラにも当然ダマシの可能性はあるため、短絡的な買いエントリーは控えなければなりません。
そこでここからは、セリクラ判断時の注意ポイントを解説していきます。
単なる下ヒゲで安易にセリクラと判断しないようにする
セリクラは「下落相場・大きな出来高・下ヒゲ・」の3要素で構成されるチャートパターンなので、初心者は「大きな下ヒゲがでたから買えば良いんだ」と安易にエントリーしてしまいがちです。
ただし結論として、セリクラはそう簡単に出現しません。
実際のところ、セリクラが出現するのは2~3年に1回程度であり、月足チャートを見ても明らか。すなわち、下ヒゲが出たからとって反射的に買いエントリーすると、みずから下落相場に反対注文で飛び込む悪手になりかねません。
以上のことから、セリクラの判断で重要なのは「下ヒゲ」ではなく、以下のようなポイントを考察し「今現在の相場で何が起きているのか」を掴むことなのです。
・チャートパターン:大きな出来高を伴った、大きな下ヒゲが出現したか
・全体相場の状況:中長期的な下落相場か
・相場心理:マーケット参加者は総悲観の状況か
慣れないうちは難しいかもしれませんが、何度も練習して総合的な視点から相場を捉えてみてください。
セリクラが出たからといって必ず転換するとは限らない
セリクラは、後から振り返ってみるとよく分かりますが、現在進行形ではなかなか気づけないかもしれません。
その理由は先ほど触れた通り、「出来高を伴う下ヒゲが出現した」としても、その後さらに大きな下落が発生するケースが多いからです。
実際に、コロナショック時の日経平均株価を見てみましょう。
※画像:日経平均株価の日足チャート(2020年2~3月)
日経平均株価は、3月10日に大きな下ヒゲ陽線を出しており、現在進行形ではこれをセリクラと判断してもおかしくありませんでした。
しかし、相場はさらに下げていき、3月13日から3月16日にかけては、より大きな出来高を伴った下落となったことが分かります。
事実その後は反転して一気に上昇しましたが、当時の株式市場は総悲観一色。その際に買い増すということは、「損失に対する恐怖」という人間の本能に背く行為だったといえるでしょう。
したがって、セリクラで買えれば確かにチャンスとなるものの、心理的には非常に難しいエントリーということは押さえておいてください。
まとめ
本記事では、セリクラ(セリング・クライマックス)の基本や構成要素、注意点について解説してきました。
セリクラとは、中長期的な下落相場で大きな出来高を伴い、下ヒゲを付ける動きを指しています。下落相場における最終局面を示唆するため、そこで買えれば、効率的に資産を増やせるでしょう。
ただし、下ヒゲが出たからといって安易に買ってしまうと、強烈な下落に巻き込まれるリスクがあり、そもそも出現頻度自体も多くありません。
そのため、全体相場の状況や相場心理なども考察し、正確に相場を理解した上で判断してみてください。
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