目次
出来高とは
出来高とは、証券取引所で売買された数量のことで、「売買高」や「取引高」と呼ばれることもあります。
出来高は、株価チャートでは、株価の下に棒グラフで示されることが多く、株価と合わせてチェックされる重要指標です。
出来高は、証券取引所で成立した売りと買いが一つの取引として計測され、買い1万株・売り1万株の取引が成立した場合の出来高は1万株です。
出来高は、その時間軸によって示す意味が異なります。
日足チャートでは1日ごとの取引量、週足チャートでは1週間ごとの取引量、月足チャートでは1ヶ月ごとの取引量、5分足チャートでは5分間ごとの取引量が示されます。
出来高は、その銘柄の人気を示すバロメーターの一つとなっており、「出来高は株価に先行する」という相場格言もあるほどです。
出来高の急増が意味するものとは
株価チャートを見る上で、出来高の急増が意味することとしては下記が挙げられます。
- 出来高はトレンドがあるときは増加しやすい
- ブレイクアウトの初動では大きな出来高を伴う
- トレンドの終盤では出来高の減少に注意が必要
それぞれについて見ていきましょう。
出来高はトレンドがあるときは増加しやすい
出来高が多ければ多いほど、それはより大きな動きや圧力があることを意味しています。
特に、出来高は、価格の動きがトレンド方向にあるときは増加する傾向があります。
つまり、上昇トレンドのときは価格が上昇すれば出来高は増加し、価格が下落すれば出来高は減少する傾向にあるということです。
次のチャートは、2023年に買われている半導体製造装置企業【6315】TOWAの日足チャートです。
【6315】TOWAの株価は、2023年8月以降は上昇トレンドとなっていますが、株価上昇と合わせて出来高も増えていることが分かります。
次の株価チャートは、事業者向けに間接資材の通信販売を手掛けている【3064】MonotaROの日足チャートです。
【3064】MonotaROの株価は、2023年には下落トレンドとなっていますが、下落方向に出来高が増えていることが分かります。
ブレイクアウトの初動では大きな出来高を伴う
株価が横ばいや下落トレンドをブレイクアウトし、上昇トレンドの始まりとなる大陽線は、「初動の大陽線」とも呼ばれます。
初動の大陽線は、それまでにないような大きな出来高を伴うことが特徴です。
再度、【6315】TOWAの日足チャートを見てみましょう。
TOWAは、2023年7月27日に大きな大陽線が出現し、同時にそれまでになかった大きな出来高を付けていました。
この大陽線は、上昇トレンドの始まりとなる「初動の大陽線」となっていたことが分かります。
トレンドの終盤では出来高の減少に注意が必要
出来高は、トレンド方向に株価が動くと増える傾向がありますが、トレンドの終盤では、この傾向が乖離しやすいことに注意が必要です。
上昇トレンドの終盤では、株価が最高値を付けたにも関わらず、出来高は減少しているといった現象が起こります。
また、上昇トレンドの終盤では、利益確定のための売りが増えてくるため、上昇ではなく下落時に出来高が増加しやすいといった傾向も出てきます。
次の株価チャートは、2023年に大相場となった半導体企業【6526】ソシオネクストの日足チャートです。
ソシオネクストの株価は、2023年6月中旬までは上昇トレンドとなっていましたが、その後は大きく崩れています。
6月21日に最高値を付けましたが(上図赤印)、このとき出来高はむしろ減少しており、株価暴落後の方が、出来高が多くなっていることが分かります。
これは上昇トレンド終盤以降に、利益確定のための売りが急増しているためです。
出来高が多いのに株価が上がらない理由とは
出来高が多いのに株価が上がらない理由としては、以下の要因が挙げられます。
- 単に出来高の多さだけを見ている
- トレンドの推移を見ていない
それぞれについて見ていきましょう。
単に出来高の多さだけを見ている
株初心者の方は、「出来高が多いと株価が上がる」と、出来高と株価の関係について短絡的に理解してしまっているケースが少なくありません。
重要なことは、単なる出来高の大きさではなく、出来高がどのように変化しているのかです。
また、「出来高が多いと株価が上がる」と考えて、出来高ランキングを見て、上位銘柄の株を買ってしまうというパターンが考えられます。
ただ、出来高ランキングを見る上では注意が必要です
出来高ランキングは、デイトレーダーのおもちゃになっているような、株価が小さい低位株やボロ株が上位に来やすい性質があるためです。
出来高ランキングより、売買代金ランキングの方が市場のトレンドを反映しているランキングです。
出来高は、取引された株数などの売買量を示すものですが、売買代金は売買で動いた総金額を示します。
実際に、2023年10月13日付時点の、出来高ランキングと売買代金ランキングの違いを見てみましょう。
まずは、出来高ランキングのトップ10銘柄は次のようになっています。
順位 | 銘柄名 | 株価 |
1 | 【7647】音通 | 28円 |
2 | 【9432】日本電信電話(NTT) | 175.9円 |
3 | 【8306】三菱UFJフィナンシャル・グループ | 1,237.5円 |
4 | 【1357】(NEXT FUNDS) 日経ダブルインバース上場投信 | 229円 |
5 | 【1689】WisdomTree 天然ガス上場投信 | 1.3円 |
6 | 【8918】ランド | 8円 |
7 | 【6740】ジャパンディスプレイ | 36円 |
8 | 【7203】トヨタ自動車 | 2,687.5円 |
9 | 【7201】日産自動車 | 622.2円 |
10 | 【9501】東京電力ホールディングス | 639.4円 |
株価を見てみると明らかですが、1位、5位、6位、7位の銘柄は、株価が低いだけでデイトレーダーのおもちゃになっている銘柄です。
続いて、売買代金ランキングのトップ10銘柄は次のようになっています。
順位 | 銘柄名 | 株価 |
1 | 【6920】レーザーテック | 26,875円 |
2 | 【9983】ファーストリテイリング | 35,690円 |
3 | 【1570】NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ | 19,780円 |
4 | 【8035】東京エレクトロン | 21,210円 |
5 | 【7203】トヨタ自動車 | 2,687.5円 |
6 | 【8306】三菱UFJフィナンシャル・グループ | 1,237.5円 |
7 | 【6857】アドバンテスト | 4,570円 |
8 | 【6861】キーエンス | 57,310円 |
9 | 【9107】川崎汽船 | 5,444円 |
10 | 【6146】ディスコ | 29,450円 |
売買代金ランキングの方が、相場全体のトレンドを示している人気銘柄が並んでいることが分かります。
ただ、だからといって、単に売買代金が多い銘柄が上がりやすいわけではないことには注意してきましょう。
トレンドの推移を見ていない
出来高は、トレンドの推移に合わせて変化するという性質を理解しておくことが重要です。
上昇トレンドの初動や、上昇トレンドで上昇中には出来高は増加する傾向にありますが、トレンドの終盤には出来高は減少する傾向があります。
トレンド終盤には、むしろ利益確定の売りの方が、出来高が多くなる傾向もあります。
出来高の推移とともに、トレンドの推移を必ずチェックしておくようにしましょう。
まとめ
今回は、出来高が多いのに株価が上がらない理由について解説してきました。
「出来高は価格に先行する」と言われるように、出来高はトレンドの始まりとなる「初動の大陽線」で急増し、トレンド方向に動くと増加していき、トレンドの終盤では乖離する傾向があります。
特に、トレンドの終盤では、最高値を付けたにも関わらず出来高は増加せず、むしろ下落時に出来高が多くなるといったトレンド展開のサインに注意が必要です。
このように、出来高は単に多いだけでは株価の変化を捉えることはできないため、出来高の推移やトレンドの変化と合わせて見る必要があります。
また、出来高ランキングを参照する方もいますが、どうしても出来高ランキングではデイトレーダーのおもちゃにされやすい低位株が多くなってしまうため、売買代金ランキングの方が人気銘柄が上位に来やすくおすすめです。
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