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空売りは下落局面で有効だが銘柄選びには注意が必要
空売り(信用売り)は、信用取引で証券会社から株を借りて売り、価格が下がって買い戻すと、その差額が利益(価格が上がった場合は損失)となる取引です。
現物買い取引だけでは、相場の下落局面で利益を出す方法は限定されてきますが、空売りを駆使すれば、相場の下落局面でも利益を出す手段が多くなります。
ただ、空売りの理論上の損失額は∞であり、空売りした銘柄が2倍になると-100%の損失となってしまうなど、空売りを駆使するには損切りや資金管理といったリスク管理が不可欠となります。
多くの投資家やトレーダーが空売りしている銘柄が急騰すると、空売りを損切りする買い注文(ショートカバー)が入るため、一段と上昇しやすくなる「踏み上げ」が起こることにも注意が必要です。
また、新興銘柄やIPO銘柄といった制度信用取引で空売りができない非貸借銘柄は、基本的に空売りできません。
空売りをする際には、銘柄選びが非常に重要となります。
急騰銘柄を空売りするのは非常に危険である一方、ほとんど動かない銘柄を空売りしても利益になりづらいため、リスク・リターンが適切な銘柄を選ぶようにしましょう。
空売りに適している銘柄とトレード手法
空売りによるトレード手法には、主に次の2つがあります。
- 順張り:下落トレンドが発生している銘柄を空売り
- 逆張り:上昇トレンドが崩れてきている銘柄を空売り
それぞれについて見ていきましょう。
なお、トレンドを判定する方法としては、トレンドライン、移動平均線、MACD、オシレーターなどさまざまな方法がありますが、完璧な方法はないので使い慣れている方法を使うようにしましょう。
順張り:下落トレンドが発生している銘柄を空売り
下落トレンドが発生している銘柄を、下落トレンドが今後も続くことを見込んで空売りする「順張り(トレンドフォロー)」について見ていきましょう。
次の画像は、再生可能エネルギー事業者【9519】レノバの日足チャートです。
上図のように右肩下がりの下落トレンドを描いている銘柄は、空売りの順張りに適する銘柄となります。
下落トレンドの銘柄を順張りで空売りするタイミングとしては、下記が挙げられます。
- 安値を更新したタイミングで空売りする(ブレイクアウト狙い)。
- 一時的に反発した際に空売りする(戻り売り)。
ただ、下落トレンドの銘柄を空売りする際には、下落トレンドが破られた場合の反発による踏み上げに注意しておきましょう。
次の画像は、ネット企業大手【4755】楽天グループの日足チャートです。
楽天グループは、楽天モバイル事業の大幅赤字による苦境が伝えられていますが、2023年6月下旬に安値を付けてからは反発していることが分かります。
空売りしている銘柄が下落トレンドを超えてきたら、急騰に備えて早めに損切りや利益確定することが重要です。
逆張り:上昇トレンドが崩れてきている銘柄を空売り
上昇トレンド終盤の銘柄について、上昇トレンドが崩れ始めてきたと見て空売りする「逆張り」について見ていきましょう。
次の画像は、牛丼チェーン最大手「すき家」を展開する【7550】ゼンショーホールディングスの日足チャートです。
ゼンショーホールディングスは、2023年4月から2023年8月初旬に掛けて4,000円台から7,705円まで上昇しましたが、8月2日に大陰線が出て大きく売られました。
上昇トレンドの銘柄を逆張りで空売りするタイミングとしては、上昇トレンド終盤まで十分に引き付けた上で空売りすることがポイントです。
上昇トレンド終盤の銘柄は、「さすがにもう上げ過ぎだろう」と多くの投資家が感じるまで十分に引き付ける必要があります。
十分に引き付けない状態で上昇トレンド中の銘柄を安易に空売りしてしまうと、簡単に踏み上げられてしまい、場合によってはさらなる急騰に巻き込まれて大きな損失を抱える事態にもなりかねません。
損切りを徹底している場合であっても、上昇トレンド銘柄への安易な空売りは、大量の損切りの山を築くことになってしまいます。
上昇中の銘柄を十分に引き付けて待っている間に下落に転じることも多々ありますが、それは仕方ないと割り切るしかありません(この場合、深追いして空売りはせずスルーすることが賢明です)。
空売り銘柄の選び方
空売り銘柄の選び方を見ていきましょう。
売買代金ランキングからトレンドが発生している銘柄を探す
下落トレンドの銘柄を順張りで空売りするにしても、上昇トレンドの銘柄を十分に引き付けて逆張りで空売りするにしても、トレンドが発生している銘柄を探すことが重要です。
そのためには、「Yahoo!ファイナンス」や「株マップ.com」などで提供されている売買代金ランキングから探す方法が挙げられます。
売買代金ランキング上位の銘柄をチャートソフトに入力して見ていき、トレンドが発生している銘柄をチェックしていくという流れになります。
手間が掛かり、面倒くさい作業になるかもしれませんが、空売りで利益を出すためには必要な作業です。
なお、「値上がりランキング」や「値下がりランキング」を使っても構いませんが、出来高が低く流動性が低い銘柄が混じるリスクが生じる点には注意が必要です。
トレンドが発生している銘柄についてより詳しくチャートを見る
ランキングからトレンドが発生している銘柄を見つけ出したら、それらの銘柄1つ1つについてより細かくチャートを見ていきましょう。
下落トレンドの銘柄なら、「直近安値を割り込んで、一段安になる可能性はないか?」「トレンドラインや移動平均線に押さえられて戻り売りのチャンスではないか?」などをチェックしていきます。
上昇トレンドの銘柄なら、「さすがに上がり過ぎではないか?」をチェックした上で、「まだ引き付けられるのではないか?」と考えて慎重にエントリーについて考えましょう。
空売り銘柄を選ぶ際の注意点
空売り銘柄を選ぶ際の注意点について見ていきましょう。
流動性(売買代金)が十分にある銘柄を選ぶ
空売り銘柄を選ぶ際には、トレンドが発生していることに加えて、流動性(売買代金)が十分にあることが重要です。
いくらトレンドが発生していたとしても、取引量が少なく流動性がない銘柄だと、取引時に不利な価格で約定することになってしまい、損切りする際にも不利な価格帯で損失が悪化してしまうといった「流動性リスク」に見舞われることになってしまいます。
具体的には、1日の売買代金が1億円以上といった基準を設けるようにしましょう。
なお、売買代金ランキング上位から空売り銘柄を探していけば、この点は問題になりません。
全体相場の状況を見極める
多くの個別銘柄は、全体相場の動向に強い影響を受けます。
決算やニュースが出た場合には、全体相場と逆行して動く場合が多いですが、基本的には全体相場の影響を受けると考えておくべきです。
日経平均やTOPIXといった日本株の主要指標はもちろん、日本市場が大きな影響を受ける米国市場、ドル円(USD/JPY)の為替相場といった重要指標をチェックしておくことが重要です。
全体相場が強い場合には、上昇トレンドの銘柄はもちろん、下落トレンドの銘柄であっても買い戻しの動きが広がりやすいため、そもそも空売りで利益を出すこと自体が難しくなることに注意が必要です。
まとめ
この記事では、空売り銘柄の選び方や注意点について解説してきました。
空売りの手法としては、下落トレンドが発生している銘柄をブレイクアウトや戻り売りで空売りする順張り、上昇トレンドが崩れてきている銘柄を十分に引き付けてから空売りする逆張りがあります。
空売りの理論上の損失額は∞であるため、どのような銘柄を空売りするにしても、損切りや資金管理といった適切なリスク管理を講じることは必須です。
空売り銘柄の選び方としては、売買代金ランキングなどのランキングから、トレンドが発生している銘柄を探す方法が挙げられます。
なお、全体相場が強い場合には、そもそも空売りで利益を出すこと自体が難しくなることには注意しておきましょう。
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