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空売り比率が高いとは?
空売り比率が高い銘柄とは、信用取引において空売りの方が信用買いよりも多く、信用倍率が低い銘柄のことを指します。
信用取引には信用買いと空売り(信用売り)の2つがありますが、制度信用取引では半年後までに決済しなければいけません。
信用買いの方が多ければ将来的な売り圧力が大きく、空売りの方が多ければ将来的な買い圧力が大きいと判断できます。
とはいえ、信用取引の注文は常に入るため、信用買いの方が大きいからといって必ずしも下げるわけではなく、空売りの方が多いからといって必ずしも上がるわけではありません。
信用買いと空売りの比率を示す、信用取引の指標が「信用倍率」です。
信用倍率は、「信用買い残÷信用売り残(空売り残高)」で計算されます。
信用買いの方が多い場合には信用倍率は1以上となり、空売りの方が多い場合には信用倍率は1未満となります。
つまり、空売り比率が高い銘柄とは、信用倍率が1未満の銘柄です。
空売り比率が高い(=信用倍率が低い)銘柄トップ10!
Yahoo!ファイナンスの信用倍率下位ランキングから、空売り比率が高い、つまり信用倍率が低い銘柄を見ていきましょう(2023年10月13日時点)。
なお、今回は、ETFは除外し、個別銘柄のみのランキングとしています。
信用倍率が低い銘柄トップ10は次の通りです。
順位 | 銘柄名 | 信用倍率 | 信用買い残 | 信用売り残 |
1 | 【8079】正栄食品工業 | 0.06倍 | 26,900 | 469,900 |
2 | 【8165】千趣会 | 0.08倍 | 93,100 | 1,214,100 |
3 | 【7459】メディパルホールディングス | 0.08倍 | 13,500 | 172,900 |
4 | 【2910】ロック・フィールド | 0.08倍 | 39,800 | 500,600 |
5 | 【2804】ブルドックソース | 0.08倍 | 8,200 | 102,100 |
6 | 【2752】フジオフードグループ本社 | 0.09倍 | 80,000 | 865,400 |
7 | 【2908】フジッコ | 0.10倍 | 2,800 | 28,200 |
8 | 【7616】コロワイド | 0.11倍 | 110,300 | 966,200 |
9 | 【3291】飯田グループホールディングス | 0.12倍 | 35,400 | 297,000 |
10 | 【3196】ホットランド | 0.12倍 | 50,000 | 417,000 |
空売り比率が高い銘柄の特徴
前述の空売り比率が高い(=信用倍率が低い)銘柄ランキングを踏まえた上で、空売り比率が高い銘柄の特徴としては次の点が挙げられます。
- 東証プライム銘柄(貸借銘柄)で占められている
- 食品セクターの銘柄が多い
- 信用倍率が異常に高い銘柄に比べると値動きが緩やか
それぞれについて見ていきましょう。
東証プライム銘柄(貸借銘柄)で占められている
空売り比率が高い(信用倍率が低い)銘柄トップ10を見てみると、全ての銘柄が東証プライム市場上場銘柄となっています。
これには明確な理由があります。
制度信用取引で空売り可能な銘柄は「貸借銘柄」に限られており、非貸借銘柄は空売りできません。
新興市場の東証グロース市場や東証スタンダード市場の銘柄は、その多くが非貸借銘柄となっているため、制度信用取引では空売りできません。
このため、空売り比率上位の銘柄は、東証プライム市場の貸借銘柄となっています。
なお、逆に信用倍率が異常に高くなっている銘柄は、新興市場の非貸借銘柄が上位を占めている傾向があります。
食品セクターの銘柄が多い
空売り比率が高い(信用倍率が低い)銘柄トップ10を見てみると、1位の【8079】正栄食品工業、4位の【2910】ロック・フィールド、5位の【2804】ブルドックソース、6位の【2752】フジオフードグループ本社、7位の【2908】フジッコ、8位の【7616】コロワイド、10位の【3196】ホットランドは食品セクターの銘柄となっています。
トップ10の内7銘柄が食品セクターとなっており、8位の【7616】コロワイドは、株主優待でコロワイド系列のお店で使用できるポイントが貰える人気銘柄として知られています。
食品セクターの空売り比率が高い理由としては、食品セクターの特徴としてローリスク・ローリターンのディフェンシブ銘柄が多いことが関係しているかもしれません。
信用倍率が異常に高い銘柄に比べると値動きが緩やか
信用倍率が異常に高くなっている非貸借銘柄には大暴落が起こるケースが多々ありますが、信用倍率が異常に低い銘柄に急騰が起こるケースはそれほどありません。
信用買いが多く、信用倍率が異常に高くなっている銘柄の場合には、暴落が起こるケースが多々あります。
特に、空売りができない非貸借銘柄で信用倍率が異常に高くなっている銘柄は、空売りによるショートカバーが入らないため暴落しやすい傾向があります。
一方、今回注目している空売り比率が高い(信用倍率が異常に低い)銘柄は、この逆に急騰しやすいとはなりません。
なぜなら、新規の空売りが入り、急騰を抑える役割を果たしているためです。
また、信用倍率が異常に高い銘柄はハイリスク・ハイリターンの新興銘柄が多くなっていますが、空売り比率が高い銘柄は東証プライム市場の銘柄が多い点も、空売り比率が高い銘柄で大きな値動きとならない理由と考えられます。
空売り比率が高い銘柄を取引する際の注意点
空売り比率が高い銘柄を取引する際の注意点としては下記が挙げられます。
- 空売り比率の推移と株価動向を見ておく
- 空売り比率が高いからといって必ずしも買われるとは限らない
それぞれについて見ていきましょう。
空売り比率の推移と株価動向を見ておく
単に空売り比率が高い(信用倍率が低い)からといって買うことは推奨できません。
信用倍率は常に変動しているため、株価の推移と合わせて見ることが重要です。
空売り比率が高い(=信用倍率が低い)銘柄トップ10の中から、株価と信用倍率のチャートを見ていきましょう。
まずは、空売り比率トップの【8079】正栄食品工業の週足チャートは次の通りです。
【8079】正栄食品工業について信用残高の推移を見てみると、信用買い残(赤字)は一定となっていますが、信用売り残(青字)は一定周期で大きくなっていることが分かります。
ただ、信用売り残が大きくなったからといって株価が変動しているようには見えず、小型銘柄のため、一部の大口投資家などが一定周期で空売りを入れているのかもしれません。
続いて、空売り比率5位の【2804】ブルドックソースの週足チャートは次の通りです。
【2804】ブルドックソースは、信用買いが少なく、信用売りが多い状態が長らく続いており、信用倍率と株価の連動はないように見えます。
空売り比率が高いからといって必ずしも買われるとは限らない
空売り比率が高い、つまり信用倍率が1未満で低いからといって、必ずしもその銘柄が買われるとは限りません。
例えば、空売り比率3位の【7459】メディパルホールディングスは、空売り比率が高くて買われているように見えます。
【7459】メディパルホールディングスは、2023年6月に株価が上昇し、同時に空売り比率も上昇していました。
一方、空売り比率8位の【7616】コロワイドは、空売り比率が高い状況から直近では売られている状況です。
一般論としては、空売り比率が高いということは、将来的な買い圧力が大きいと判断できます。
ただ、株価と空売り比率の関係は一様ではないため、銘柄ごとの判断が必要になるということが実際の所です。
空売り比率は、あくまで判断材料の一つに過ぎないと認識しておくようにしましょう。
まとめ
今回は、空売り比率が高い(=信用倍率が低い)銘柄について見てきました。
一般論としては、空売り比率が高い銘柄には、半年以内に買い戻しによる買い(ショートカバー)が入るため、将来的な買い圧力が強いと考えられます。
ただ、空売りできる銘柄の大半は、東証プライム市場の貸借銘柄であるため、空売り比率が異常に高いとしても急騰が起こることは稀です。
信用倍率が異常に高くなっている非貸借銘柄には大暴落が起こるケースが多々ありますが、今回見てきた空売り比率が異常に高い銘柄では、逆にならない点には注意しておきましょう。
株価と空売り比率の関係は一様ではなく、空売り比率は、あくまで判断材料の一つに過ぎないと認識しておくことが重要です。
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