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日経平均が一日で3%も上がると、ニュースは「歴史的な上げ」と伝えます。翌日も勢いが続くのか、それとも利益確定で下がるのか。上昇を見て買いたくなる反面、「上がりすぎた後は危ない」という不安も出てくる場面です。

そこで、2014年1月6日から2026年9月16日までの3,102営業日について、日経平均の上げ幅別に、その日の終値で買った場合の翌日・5営業日後・20営業日後を集計しました。日経平均そのものに加えて、東証全銘柄を等金額で買った場合(全銘柄の平均)も見ています。日経平均が+3%以上上げた日は48日、全体の1.5%でした。

結論を先に述べます。+3%以上の急騰の翌日は、日経平均に限れば下がりました。翌日終値は-0.153%・勝率43.8%で、全営業日の+0.054%を下回ります。一方、全銘柄の平均では翌日も+0.290%と下げませんでした。

伸びが出たのは、翌日より先です。+3%以上の日の5営業日後は+0.859%、20営業日後は+2.497%で、全営業日(+0.268%、+1.093%)を上回りました。上げ幅が+1〜+3%の日には、全営業日と目立った差がありません。

執筆者

西村剛
西村剛

フェアトレード株式会社 代表取締役。機関投資家出身で統計データを重視したシステムトレードに注力。2011年株-1グランドチャンピオン大会で+200.4%、2012年+160.1%、2013年157.0%を叩き出し三連覇達成。証券アナリスト検定会員。システムトレードを使った定量分析と、これまでファンドマネジャーとして培ったファンダメンタルズ分析を融合した新しい視点で株式市場を分析し、初心者でもわかりやすい言葉を使った解説に定評がある。

システムトレード

1.検証ルール

  • データ:株価データベースの日経平均(日足)と、東証全銘柄の日足(株式分割の影響を除いた調整後株価)。出来高がゼロの日は除外
  • 期間:2014/01/06〜2026/09/16(3,102営業日・全銘柄の延べ12,406,774件)。20営業日後の株価が確定できる日までを対象にしています
  • 上げ幅の区分:日経平均の前日比(終値)。+1〜+2%(401日)、+2〜+3%(124日)、+3%以上(48日)。参考として-3%以下(61日)も集計
  • リターン:その日の終値で買ったとして、翌日寄付き・翌日終値・5営業日後・20営業日後。日経平均は指数の値で、全銘柄の平均は、その日の全銘柄のリターンの単純平均です
  • 比較対象:同じ期間の全営業日の平均
  • 勝率:日経平均・全銘柄平均の表では、リターンがプラスだった日の割合。「翌日に上げた銘柄の割合」は、個別銘柄でプラスだった割合の日別平均

日経平均が+2%以上上げた日は172日(全体の5.5%)、+3%以上は48日(1.5%)しかありません。希少な日の結果なので、件数の小ささを前提に読んでいただく必要があります。

2.上げ幅別に見た日経平均の翌日以降

日経平均が上げた日の終値で買った場合の翌日以降のリターン

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日経平均の前日比日数翌日寄付き翌日終値勝率5営業日後勝率20営業日後勝率
+1〜+2%(401日)401日+0.094%+0.147%55.9%+0.267%58.4%+1.237%61.8%
+2〜+3%(124日)124日+0.067%+0.103%54.8%+0.337%56.5%+1.309%62.9%
+3%以上(48日)48日-0.095%-0.153%43.8%+0.859%62.5%+2.497%58.3%
+2%以上すべて(172日)172日+0.022%+0.032%51.7%+0.483%58.1%+1.641%61.6%
参考:-3%以下(61日)61日+0.286%+0.676%57.4%+0.967%63.9%+3.197%65.6%
全営業日(3,102日)3,102日+0.048%+0.054%53.3%+0.268%56.4%+1.093%60.2%

まず、+1〜+2%と+2〜+3%の日です。翌日終値は+0.147%、+0.103%で、全営業日の+0.054%より少し高い程度。5営業日後も+0.267%、+0.337%と、全営業日の+0.268%に近い水準です。1〜3%程度の上昇は、その後の値動きに特別な意味を持たなかったと言えます。

景色が変わるのは+3%以上です。翌日寄付きが-0.095%、翌日終値が-0.153%・勝率43.8%と、勝率が全営業日(53.3%)を大きく下回りました。48日のうち翌日終値がマイナスだったのは27日です。上げた翌日に、前日の上昇の一部が戻されています。

ところが5営業日後には、+0.859%(勝率62.5%)と上向きに転じます。全営業日との差は0.591ポイントで、20営業日後は+2.497%、差は1.404ポイントでした。翌日に押し戻されても、数週間では上昇が続いたのが、急騰日の特徴です。

参考の−3%以下の日は、翌日終値が+0.676%・勝率57.4%と、急騰の翌日とは反対に上昇側へ傾いています。大きく動いた日の翌日は、方向を問わず逆に振れやすいという形です。

3.日経平均は翌日に下げ、全銘柄の平均は下げなかった

日経平均は値がさ株の影響を強く受ける指数です。同じ日の全銘柄は、どう動いたのでしょうか。

同じ日に東証全銘柄を等金額で買った場合の翌日以降のリターン

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日経平均の前日比翌日終値
日経平均
翌日終値
全銘柄平均
翌日に上げた
銘柄の割合
5営業日後
日経平均
5営業日後
全銘柄平均
20営業日後
日経平均
20営業日後
全銘柄平均
+1〜+2%(401日)+0.147%+0.175%49.8%+0.267%+0.344%+1.237%+1.109%
+2〜+3%(124日)+0.103%+0.153%47.7%+0.337%+0.291%+1.309%+1.328%
+3%以上(48日)-0.153%+0.290%49.0%+0.859%+1.282%+2.497%+2.999%
-3%以下(61日)+0.676%+0.405%53.3%+0.967%+1.050%+3.197%+3.078%
全営業日(3,102日)+0.054%+0.050%46.9%+0.268%+0.245%+1.093%+0.940%

+3%以上の日の翌日終値は、日経平均が-0.153%だったのに対し、全銘柄の平均は+0.290%でした。0.443ポイントの差です。翌日寄付きでは日経平均が-0.095%、全銘柄の平均が+0.127%と、すでに0.222ポイント開いていました。急騰の翌日に押し戻されたのは、主に日経平均の側です。

その後は、全銘柄の平均のほうが勢いよく伸びています。5営業日後は+1.282%・勝率83.3%で、全営業日(+0.245%・勝率61.9%)を1.037ポイント上回りました。20営業日後は+2.999%・勝率75.0%で、全営業日の+0.940%との差は2.059ポイントです。

個別銘柄で見ても同じです。翌日に上げた銘柄の割合は、+3%以上の日が49.0%で、全営業日(46.9%)より2.1ポイント高く、5営業日後は59.2%と全営業日(49.9%)を9.3ポイント上回りました。

日経平均の翌日の下げは、「市場全体が下がった」のではなく、指数に影響の大きい銘柄の動きが目立った結果という読み方ができます。ただし、原因まではデータから断定できません。

4.直前に下げていたかで変わるか

「急落の後の急騰」と「上昇が続いた中での急騰」は、同じ意味でしょうか。日経平均が+2%以上上げた172日を、その日の前の5営業日で3%以上下げていたかで分けました。

上げた日の直前5営業日日数その日の平均上げ幅翌日終値5営業日後20営業日後勝率20営業日後
(最も上げた3日を除く)
直前5営業日で下げていた53日+3.52%+0.260%+0.567%+2.650%67.9%+2.417%
それ以外119日+2.75%-0.070%+0.445%+1.191%58.8%+1.219%

直前に下げていた53日は、急騰の翌日終値が+0.260%と下がらず、20営業日後は+2.650%・勝率67.9%でした。それ以外の119日は翌日終値が-0.070%、20営業日後が+1.191%で、20営業日後の差は1.459ポイントあります。

下げた後の急騰は、反発の勢いが数週間続きやすい。逆に、上昇の途中での急騰は、翌日に押し戻されやすい――そう読める結果です。最も上げた3日を除いても、直前に下げていた日の20営業日後は+2.417%と、傾向は変わりませんでした。

ただし、5営業日後の差は0.122ポイントと小さく、はっきり違いが出るのは20営業日後です。

5.特定の日や年に偏っていないか

日経平均が+3%以上上げた日は48日しかなく、数日の結果に引っ張られていないかが最大の疑問です。発生日の集中、上位日を除いた結果、年別の順に確認します。

発生日の集中は、年による偏りがあります。48日は10年に分布していますが、最も多いのは2026年の12日(全体の25.0%)です。コロナ禍の2020年も7日あります。この偏りは、結果を読むうえで押さえておく必要があります。

次に、最も上げた3日を除いて集計し直しました。その3日は2024年8月6日(+10.23%)、2025年4月10日(+9.13%)、2020年3月25日(+8.04%)です。

日経平均+3%以上の日の5営業日後・20営業日後の頑健性チェック

※画像はクリックすると拡大してご覧いただけます

3日を除いた45日の5営業日後は+0.986%、20営業日後は+2.329%でした。そのままの+0.859%、+2.497%と大きくは変わらず、この3日が結果を押し上げていたわけではありません。翌日終値も-0.024%と、翌日の下げは残ります。

年を除く確認もしました。2020年を除くと、5営業日後は+1.341%、20営業日後は+2.478%(41日)。2026年を除くと、5営業日後は+0.707%、20営業日後は+2.346%(36日)です。全営業日の+0.268%、+1.093%と比べて、除いても上回る水準が保たれました。

最後に年別です。+3%以上は年によって日数が1〜2日のこともあるため、+2%以上の172日を年ごとに集計しました。

年+2%以上の日数うち+3%以上翌日終値5営業日後20営業日後
2014年17日4日+0.195%+0.734%+2.214%
2015年7日3日+0.136%-0.579%-0.992%
2016年19日7日+0.492%+0.550%+0.543%
2017年3日0日-0.074%-1.074%-0.307%
2018年7日2日-0.439%-0.061%+0.837%
2019年6日0日+0.383%+1.079%+2.054%
2020年23日7日+0.502%+1.072%+3.901%
2021年14日1日-0.280%-0.283%-1.540%
2022年13日3日-0.033%+0.487%+0.496%
2023年8日0日-0.262%+0.683%+1.537%
2024年16日4日-0.096%+0.405%+1.001%
2025年11日5日-0.860%+0.148%+2.302%
2026年28日12日-0.044%+0.741%+3.416%

5営業日後がプラスだった年は13年のうち9年、20営業日後がプラスだった年は10年です。翌日終値がマイナスだった年は8年あり、2017、2018、2021、2022、2023、2024、2025、2026の各年がそうでした。20営業日後は2020年の+3.901%から2021年の-1.540%まで開きがあります。

2020年を除いた+2%以上の149日では、5営業日後は+0.392%、20営業日後は+1.292%と、全期間(+0.483%、+1.641%)より水準が下がります。コロナ禍の局面が、全体の数字を押し上げている面はあるようです。

6.この検証の限界

結果を使う前に、次の点をご承知おきください。

  • 日数が少ない。+3%以上は48日で、しかも似た局面に固まって出ます。期間が重なる日もあるため、実質的な観測数はさらに少なくなります
  • 日経平均は指数です。実際の売買には先物やETFなどを使うことになり、価格差や費用で数字は変わります。売買コストは含んでいません
  • 終値で買えるとは限りません。急騰した日の終値は、その日のうちに確定しない数字です。実際には、大引け前に買うか、翌日以降に買うことになります
  • 全銘柄の平均は単純平均です。小型株の動きが大きく出るため、個別の銘柄で同じ結果が得られるとは限りません

7.よくある質問(FAQ)

Q. 日経平均のデータは、どのように使っていますか?

A. 株価データベースに収録されている日経平均の日足(始値・終値)を使いました。指数の値どうしを比べた結果なので、先物や連動型のETFなどの損益とは一致しません。

Q. 日経平均が3%以上上げた翌日は、買ってよいのですか?

A. 翌日については、買いを支持する結果は出ませんでした。日経平均が前日比+3%以上になった48日の翌日終値は-0.153%・勝率43.8%で、全営業日の+0.054%・勝率53.3%を下回っています。翌日寄付きの時点で既に-0.095%でした。

Q. 上げ幅が1〜3%程度の日はどうでしたか?

A. 全営業日の平均と大きな差はありませんでした。+1〜+2%の日の翌日終値は+0.147%、+2〜+3%の日は+0.103%で、全営業日の+0.054%との差はわずかです。5営業日後も+0.267%、+0.337%で、全営業日(+0.268%)と同水準でした。

Q. 日経平均が下げても、全銘柄の平均は下げないのはなぜですか?

A. データからは理由を断定できません。ただ、日経平均は値がさ株の影響を受ける指数で、全銘柄の単純平均とは構成が違います。+3%以上の日の翌日終値は、日経平均が-0.153%、全銘柄の平均が+0.290%と、0.443ポイントの差が出ました。

Q. 急騰の何日後に買えばよいですか?

A. この検証から、最適な日数を決めることはできません。見えたのは、+3%以上の日の後の日経平均が、5営業日後に+0.859%、20営業日後に+2.497%と、全営業日の+0.268%、+1.093%を上回ったことです。ただし48日分の平均であり、1回ごとの結果は大きくばらつきます。

Q. 急落した日の翌日と比べて、どうなりますか?

A. 参考として、日経平均が−3%以下になった61日も同じ方法で集計しました。翌日終値は+0.676%・勝率57.4%と、急騰の翌日(-0.153%)とは逆に、上昇側へ傾きました。5営業日後は+0.967%、20営業日後は+3.197%です。

Q. この結果は毎年同じですか?

A. 違います。日経平均が+2%以上上げた日の5営業日後がプラスだった年は、13年のうち9年でした。翌日終値がマイナスだった年は8年あります。20営業日後は、2020年が+3.901%、2021年が-1.540%と、年によって大きく異なります。

8.まとめ

2014年1月6日から2026年9月16日までの3,102営業日で、日経平均の上げ幅別に、その後を検証した結果を整理します。

  • +1〜+3%の上昇は、その後に特別な意味がありません。翌日終値は+0.147%、+0.103%で、全営業日の+0.054%に近い水準
  • +3%以上(48日)の翌日は、日経平均が下がりました。翌日終値は-0.153%・勝率43.8%
  • 全銘柄の平均は翌日も下がりませんでした(+0.290%)。押し戻されたのは主に日経平均の側です
  • 5営業日後以降は伸びました。日経平均は+0.859%、+2.497%、全銘柄の平均は+1.282%(勝率83.3%)、+2.999%
  • 最も上げた3日を除いても、傾向は残りました。ただし2026年と2020年に日数が集中しています
  • 直前に下げていた日の急騰のほうが、20営業日後(+2.650%)は大きくなりました

急騰した日は、飛びつきたくなる場面です。ただ今回の数字は、翌日は日経平均が押し戻されやすく、伸びが出るのは数日から数週間先という形を示しています。上げ幅だけで判断せず、直前の流れや日経平均と全銘柄の差も確かめてください。

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<追伸>
「株システムトレードの教科書」の記事は、機関投資家出身・証券アナリスト検定会員の西村剛が、統計データ・システムトレード・ファンダメンタルズを融合して解説しています。
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