無料レポート 直近25年分の統計データで分かる「株の買い時・売り時」
無料で受け取る →

株価が5日移動平均線から大きく離れたとき、「行き過ぎだから、そのうち戻る」と考える方は多いはずです。下に離れすぎたら反発し、上に離れすぎたら調整する。短期売買の基本として、よく語られる考え方です。

この「行き過ぎは戻る」を数字で確かめました。2014年1月1日から2026年9月10日までの全営業日・全銘柄、12,242,378件(5,393銘柄・3,089営業日)を、5日線からの乖離率で11区分に分けて集計しています。

結論を先に述べます。戻りの力は、下に離れた側にだけはっきり出ました。乖離-10%以下の5日後は+3.338%・勝率56.3%で、全体平均の+0.245%を+3.093ポイント上回っています。

一方、上に離れた側は期待ほどではありませんでした。乖離+7%以上の5日後は-0.139%と全体平均を下回りましたが、発生が多かった上位3日を除くと-0.002%まで縮みます。「上に離れすぎたら売り」と言えるほどの差は、確認できませんでした。

執筆者

西村剛
西村剛

フェアトレード株式会社 代表取締役。機関投資家出身で統計データを重視したシステムトレードに注力。2011年株-1グランドチャンピオン大会で+200.4%、2012年+160.1%、2013年157.0%を叩き出し三連覇達成。証券アナリスト検定会員。システムトレードを使った定量分析と、これまでファンドマネジャーとして培ったファンダメンタルズ分析を融合した新しい視点で株式市場を分析し、初心者でもわかりやすい言葉を使った解説に定評がある。

システムトレード

1.検証ルール

集計条件をすべて開示します。

  • データ:東証全銘柄の日足(株式分割の影響を除いた調整後株価)。出来高がゼロの日は除外
  • 期間:2014年1月1日〜2026年9月10日(3,089営業日・5,393銘柄・12,242,378件)。20営業日後のリターンまで計算できる範囲を対象にしています
  • 5日線乖離率:(当日の終値÷5日移動平均−1)×100。当日の終値を含む5日間の単純平均
  • 区分:-10%以下から+10%以上まで11区分(表の左端を参照)
  • リターン:当日の終値で買ったとして、翌日の寄付き・翌日の終値・5営業日後の終値・20営業日後の終値
  • 比較対象:同じ期間の全銘柄・全営業日の平均(以下「全体平均」)。翌日終値+0.049%、5日後+0.245%、20日後+0.969%
  • 頑健性の確認:発生日の集中度、発生が多かった上位3日を除いた再集計、75日線との位置関係、年別

乖離率はふだん小さく、-1〜+1%に収まる日が全体の49.2%を占めます。-10%以下や+10%以上は、わずか0.4%と0.6%しか起きないまれな状態です。

2.5日線の下に離れた銘柄は戻るのか

まず下側です。5日線を下回って終えた銘柄が、その後どう動いたかを並べます。

5日線を下回って終えた銘柄の翌日以降

※画像はクリックすると拡大してご覧いただけます

5日線乖離率(構成比)件数翌日寄付き翌日終値勝率5日後勝率20日後勝率
-10%以下(0.4%)51,785+1.051%+1.378%54.6%+3.338%56.3%+6.849%56.9%
-10〜-7%(0.8%)92,354-0.027%+0.083%50.9%+1.220%54.0%+3.106%54.9%
-7〜-5%(1.5%)183,978+0.018%+0.039%50.0%+0.740%52.6%+2.027%53.1%
-5〜-3%(4.6%)568,798+0.061%+0.055%49.3%+0.431%51.9%+1.374%51.9%
-3〜-1%(17.8%)2,176,923+0.087%+0.050%48.6%+0.248%51.4%+0.958%52.0%
-1〜+1%(49.2%)6,026,649+0.066%+0.048%46.8%+0.211%50.3%+0.846%52.1%
全体平均(比較用)12,242,378+0.080%+0.049%47.0%+0.245%49.9%+0.969%51.4%

5日後の列を、-1〜+1%から上へたどってください。+0.211%、+0.248%、+0.431%、+0.740%、+1.220%、+3.338%。下に離れた幅が大きいほど、戻りも大きくなるという、きれいな並びです。

5日後の勝率も、-3〜-1%の51.4%から-10%以下の56.3%まで上がります(全体平均49.9%)。

20日後でも差は開いたままで、-10%以下は+6.849%、全体平均は+0.969%でした。

見逃せないのは、小さな下げでは差が出ていない点です。-3〜-1%の5日後は+0.248%で、全体平均の+0.245%とほとんど変わりません。5日線を少し割った程度では、戻りの根拠にならないということです。差がはっきりしてくるのは、-7〜-5%(5日後+0.740%)より下の区分からでした。

3.5日線の上に離れた銘柄は下がるのか

次に上側です。ここでは翌日の寄付きも並べて見ます。

5日線を上回って終えた銘柄の翌日以降

※画像はクリックすると拡大してご覧いただけます

5日線乖離率(構成比)件数翌日寄付き翌日終値勝率5日後勝率20日後勝率
+1〜+3%(18.4%)2,257,667+0.051%+0.022%45.9%+0.202%48.3%+0.904%50.1%
+3〜+5%(4.4%)542,231+0.090%+0.009%44.8%+0.152%46.5%+0.959%48.0%
+5〜+7%(1.4%)174,202+0.106%-0.040%43.4%+0.009%44.5%+1.105%46.8%
+7〜+10%(0.7%)90,912+0.099%-0.123%41.6%-0.247%42.1%+1.104%45.1%
+10%以上(0.6%)76,879+1.530%+0.539%42.6%-0.012%39.7%+0.432%40.9%
全体平均(比較用)12,242,378+0.080%+0.049%47.0%+0.245%49.9%+0.969%51.4%

5日後の列は、+1〜+3%の+0.202%、+3〜+5%の+0.152%、+5〜+7%の+0.009%、+7〜+10%の-0.247%と、離れるほど低くなります。+7〜+10%では全体平均より0.492ポイント低く、勝率は42.1%でした。

ここまでは「行き過ぎは戻る」の形です。ところが+10%以上の5日後は-0.012%と、+7〜+10%よりむしろ高くなり、下側のような並びになっていません。

その理由は、翌日の値動きの中身にあります。+10%以上の翌日寄付きは+1.530%と、全区分で最も高い数字でした。急騰した銘柄は、翌朝もそのまま買われやすいということです。

ところが翌日の終値では+0.539%まで縮み、寄付きから終値までの日中の動きは-0.991%でした。寄付きで上げても、日中に失速しているわけです。5日後は-0.012%・勝率39.7%、20日後は+0.432%・勝率40.9%と、全体平均を下回って終わります。

まとめると、下に離れた銘柄の戻りは広く強く、上に離れた銘柄の失速は弱くて限定的です。同じ「行き過ぎ」でも、上下は対称ではありませんでした。

4.75日線の上か下かで、戻りの大きさが変わる

同じ乖離でも、銘柄が置かれている地合いは違います。そこで、終値が75日線の上にあるか下にあるかで、乖離-5%以下と乖離+5%以上を分けて集計しました。

乖離率 × 75日線との位置件数翌日終値5日後勝率20日後
-5%以下・75日線の上81,208+0.152%+0.445%48.2%+0.564%
-5%以下・75日線の下246,909+0.299%+1.560%55.4%+3.918%
+5%以上・75日線の上265,517+0.065%-0.040%42.3%+0.506%
+5%以上・75日線の下76,476+0.077%-0.147%44.5%+2.510%
全銘柄・75日線の上(比較用)6,331,132+0.023%+0.174%49.0%+0.866%
全銘柄・75日線の下(比較用)5,911,246+0.076%+0.320%50.8%+1.080%

下側から見ます。乖離-5%以下の5日後は、75日線の下で終えたもの(246,909件)が+1.560%・20日後+3.918%、75日線の上で終えたもの(81,208件)が+0.445%・20日後+0.564%でした。

下落トレンドの中で急落した銘柄のほうが、戻りは大きくなっています。上昇トレンド中の押しも、75日線の上にある全銘柄の平均(5日後+0.174%)は上回りますが、戻りの大きさでは下の組み合わせに及びません。

発生が多かった上位3日を除いても順序は変わりません。75日線の下の組み合わせは上位3日が全体の4.2%で、除いた5日後は+1.172%、上の組み合わせは2.7%で+0.329%です。

上側の乖離+5%以上は、5日後が75日線の上で-0.040%、下で-0.147%と、どちらも全体平均を下回りました。

5.発生日の集中と、上位3日を除いた結果

極端な乖離は、市場全体が急変した数日に一斉に発生します。件数が多くても、その数日だけで平均値が決まっている可能性があります。そこで発生が多かった上位3日を除いて、集計し直しました。

発生が多かった上位3日を除いた5日後リターン

※画像はクリックすると拡大してご覧いただけます

乖離-10%以下(51,785件)は、2,988営業日に分散して発生していますが、発生の上位3日だけで全体の12.1%を占めます。最多は2024年8月5日の2,999件、次が2025年4月7日の1,774件です。

この上位3日を除くと、5日後は+3.338%から+2.064%へ、20日後は+6.849%から+4.633%へ下がりました。急落日の分を除いても、全体平均(5日後+0.245%・20日後+0.969%)を大きく上回るという結論は変わりません。

乖離-7%以下(144,139件)も同様です。上位3日の占有率は6.3%で、除いた5日後は+1.370%(そのままだと+1.980%)でした。一方、翌日終値だけを見ると+0.549%が+0.195%に縮みます。短い期間の結果は急落日の影響を強く受け、5日後以降のほうが安定していました。

上側の乖離+7%以上(167,791件)は事情が違います。発生が集中したのは2020年3月25日(2,132件)を中心とした急反発の局面で、上位3日の占有率は2.3%でした。これを除くと5日後は-0.139%から-0.002%へ、ほぼゼロになります。上に離れすぎた銘柄の5日後がマイナスという結果は、頑健とは言えません。

年別にも確認します。

年乖離-7%以下の件数-7%以下の5日後+7%以上の5日後全銘柄平均の5日後
2014年9,407+2.316%+0.376%+0.342%
2015年10,435+4.608%-0.759%+0.234%
2016年13,821+2.920%-0.676%+0.320%
2017年4,772+0.520%+0.914%+0.658%
2018年17,443+2.261%-0.297%-0.399%
2019年6,168+0.150%-0.033%+0.392%
2020年26,642+0.163%-0.512%+0.127%
2021年6,809+0.593%-0.620%+0.139%
2022年8,994+0.578%-1.083%+0.023%
2023年6,959+0.891%-0.134%+0.407%
2024年12,780+4.931%+1.018%+0.172%
2025年10,896+3.264%+0.332%+0.523%
2026年(9月まで)9,013+1.550%+0.011%+0.252%

乖離-7%以下の5日後が全銘柄平均を上回った年は13年中11年、乖離+7%以上が下回った年は13年中9年でした。下側の戻りは多くの年で見られ、上側の弱さは年ごとのばらつきが大きくなっています。

6.この検証の限界

  • 売買コストを含みません。手数料やスプレッド、値幅制限や板の薄さで実際に約定できるかは考慮していません
  • 翌日寄付きのリターンは、約定できる保証がありません。前日終値から翌日始値までを機械的に計算しています。ストップ高・ストップ安で値が付かない銘柄は、現実には買えない場合があります
  • 極端な乖離は、小型株や出来高の細い銘柄に多く含まれます。流動性による絞り込みはしていません
  • 同じ銘柄の連続した日が重なります。12,242,378件は独立した観測ではなく、実質的な標本の数はもっと少なくなります
  • 上場廃止になった銘柄のその後は追えていません。抜けている分、下側の成績は実際より良く見えている可能性があります

7.よくある質問(FAQ)

Q. 5日線乖離率とは何ですか?

A. その日の終値が5日移動平均線から何%離れているかを表します。計算式は(終値÷5日移動平均−1)×100です。乖離-1〜+1%に収まる日が全体の49.2%を占めるため、大きな乖離はまれな状態です。

Q. 5日線から下に離れた銘柄は、戻りやすいのですか?

A. 離れた幅が大きいほど戻りも大きくなりました。乖離-10%以下の5日後は+3.338%・勝率56.3%で、全体平均の+0.245%を大きく上回ります。一方、乖離-3〜-1%の5日後は+0.248%と、全体平均とほぼ同じでした。

Q. 5日線から上に離れた銘柄は、売りで取れるのですか?

A. 明確には言えません。乖離+7%以上の5日後は-0.139%と全体平均を下回りましたが、発生が多かった上位3日を除くと-0.002%とほぼゼロになります。

Q. 乖離+10%以上の翌日寄付きが高いのはなぜですか?

A. 乖離+10%以上の翌日寄付きは+1.530%と全区分で最も高くなりました。理由は断定できませんが、急騰した銘柄の勢いが翌朝まで続きやすいのかもしれません。ただし日中の値動きは-0.991%と失速しています。

Q. 75日線との位置関係で結果は変わりますか?

A. 変わりました。乖離-5%以下の5日後は、75日線の下で+1.560%、上で+0.445%でした。下落トレンドの中で急落した銘柄のほうが戻りが大きい形です。

Q. 急落日の影響を除いても、結果は残りますか?

A. 5日後以降は残ります。乖離-10%以下は上位3日を除いても5日後が+2.064%と、全体平均の+0.245%を大きく上回りました。ただし翌日終値だけを見ると、-7%以下で+0.549%から+0.195%へ縮みます。

Q. この結果は毎年同じですか?

A. 乖離-7%以下の5日後が全銘柄平均を上回った年は13年中11年、乖離+7%以上が下回った年は13年中9年でした。下側の戻りのほうが再現性は高くなっています。

8.まとめ

12,242,378件を数え直してわかったことを整理します。

  • 下に離れた側にだけ、戻りが出ました。乖離-10%以下の5日後は+3.338%・勝率56.3%で、全体平均+0.245%を大きく上回ります
  • 上に離れた側の失速は弱く、頑健とは言えません。乖離+7%以上の5日後は-0.139%ですが、上位3日を除くと-0.002%になります
  • 乖離+10%以上は、翌日寄付きが+1.530%と高く、日中は-0.991%と失速しました。5日後は-0.012%です
  • 急落日の集中を除いても、下側の結果は残りました。-10%以下は上位3日を除いても5日後+2.064%です。ただし翌日だけの結果は急落日の影響を強く受けます

「行き過ぎは戻る」という言葉は、上と下を区別せずに使われがちです。しかし今回の数字は、戻りがはっきり見えるのは、大きく下に離れたときだけだったことを示しています。

この記事を読んだ方におすすめ

西村剛が今買うべき最有望株を限定公開中

  • 3年連続で売買シグナルコンテスト優勝の実力
  • 日本証券アナリスト協会検定会員が厳選
  • メールアドレスだけで今すぐ確認できる
最有望株を無料で確認する

※ メールアドレスのみで登録できます。いつでも配信停止可能です。

<追伸>
「株システムトレードの教科書」の記事は、機関投資家出身・証券アナリスト検定会員の西村剛が、統計データ・システムトレード・ファンダメンタルズを融合して解説しています。
↓↓↓↓↓

毎朝届く投資情報メルマガ「西村剛の勝ち株の流儀」(無料)はこちらから登録できます。
すでに22,000名が登録中。今なら10大特典を無料プレゼント中!