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「出来高を伴った上昇は本物」「出来高急増は買いシグナル」――入門書でもチャート分析の解説でも必ず登場する考え方です。ところが肝心の「何倍から出来高急増と呼ぶのか」はほとんど語られません。2倍でしょうか、5倍でしょうか、10倍でしょうか。感覚で使われているこの基準を、データで詰めていきます。

本記事では、東証全銘柄を対象に2022年10月3日〜2026年7月31日の延べ3,989,026営業日分(4,797銘柄/937営業日)を、当日出来高÷過去20営業日平均出来高の「出来高倍率」で9段階に細分し、翌日と5営業日後のリターンを集計しました。

結論を先にお伝えします。翌日CCの平均リターンは出来高倍率2倍を境に崩れます。1.2〜2倍の+0.061%が2〜3倍では+0.011%へと約6分の1に縮小し、10倍以上は-0.040%とマイナスに沈みます。出来高が増えるほど翌日が有利になる関係は確認できませんでした。

さらに、当日が陽線か陰線かで層別すると通説は完全に反転します。陽線(終値>始値)×出来高5〜10倍の翌日CCは-0.102%、10倍以上の5営業日後は-0.296%(勝率39.8%)と最悪クラス。一方陰線(終値<始値)×出来高3〜5倍の5営業日後は+0.610%、5〜10倍は+0.615%と最高水準。優位性は「出来高を伴った上昇」ではなく「出来高を伴った下落」にありました。

執筆者

西村剛
西村剛

フェアトレード株式会社 代表取締役。機関投資家出身で統計データを重視したシステムトレードに注力。2011年株-1グランドチャンピオン大会で+200.4%、2012年+160.1%、2013年157.0%を叩き出し三連覇達成。証券アナリスト検定会員。システムトレードを使った定量分析と、これまでファンドマネジャーとして培ったファンダメンタルズ分析を融合した新しい視点で株式市場を分析し、初心者でもわかりやすい言葉を使った解説に定評がある。

システムトレード

1.検証ルール

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検証対象:東証全銘柄 4,797銘柄
検証期間:2022年10月3日〜2026年7月31日(937営業日)
サンプル数:延べ3,989,026営業日分(5営業日後リターンの集計対象は3,986,972件)

【出来高倍率の定義】

  • 出来高倍率 = 当日出来高 ÷ 過去20営業日の平均出来高(当日は含まない直前20営業日)
  • 20営業日分のデータが揃わない日、売買が成立しなかった日は集計対象外
  • 株価はすべて分割・併合調整後の価格を使用

【出来高倍率の9段階】

  • 0.3倍未満/0.3〜0.5/0.5〜0.8/0.8〜1.2/1.2〜2/2〜3/3〜5/5〜10/10倍以上
  • 分布は中央値0.799倍、上位10%が1.876倍、上位5%が2.696倍、上位1%が6.887倍
  • 3倍以上は全体の4.1%、10倍以上は0.57%しか起きない希少現象

【計測するリターン】翌日ON=翌日始値÷当日終値−1/翌日CC=翌日終値÷当日終値−1(当日大引け買い→翌日大引け売り)/5営業日後=5営業日後の終値÷当日終値−1

【追加の層別軸】当日陽線(終値>始値)1,766,962件/当日陰線(終値<始値)1,925,167件。始値と終値が同値の日は層別集計から除外(全体集計には含む)。

【全体平均=比較基準】翌日ON +0.100%/翌日CC +0.065%(勝率47.9%)/5営業日後 +0.320%(勝率51.0%)

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2.検証結果

(1) 分岐点は「2倍」――そこから翌日リターンが痩せていく

出来高倍率8段階別の翌日・5営業日後リターン

※画像はクリックすると拡大してご覧いただけます

翌日CCの平均を低い帯から追うと、0.3〜0.5倍+0.079%、0.5〜0.8倍+0.078%、0.8〜1.2倍+0.069%、1.2〜2倍+0.061%と平常出来高ではほぼ横ばいです。ところが2倍を超えた瞬間に段差ができます。2〜3倍+0.011%、3〜5倍+0.014%、5〜10倍+0.013%といずれも全体平均+0.065%の5分の1程度に縮み、10倍以上は-0.040%とマイナス転落。1.2〜2倍からの落差は0.050ポイントです。勝率も0.8〜1.2倍48.8%をピークに10倍以上42.8%まで右肩下がりで、10倍以上のCC中央値は-0.180%。「出来高が膨らむほど翌日が強い」という関係は成立していません

一方、5営業日後の平均だけは別の動きをします。2〜3倍+0.355%、3〜5倍+0.390%がピークで全体平均+0.320%を上回ります。ただし同じ3〜5倍の勝率は49.1%と50%割れ、中央値は0.000%。平均を押し上げているのは一部の大幅上昇銘柄で、真ん中の銘柄は上がっていないのです。10倍以上に至っては平均-0.169%、勝率43.0%、中央値-0.497%と全指標が崩れます。

見逃せないのが翌日ONです。10倍以上のONは+0.497%と全9帯で最大なのに翌日CCはマイナス。高く寄り付いたあと大引けに向けて売られているということで、寄り付き後の値動き(CC−ON)は-0.537ポイント。典型的な「寄り天」形状でした。

(2) 陽線か陰線かで通説が反転する

出来高倍率×陽線陰線別の平均リターン

※画像はクリックすると拡大してご覧いただけます

ここからが本題です。同じ出来高倍率でも、当日が陽線(終値>始値)か陰線(終値<始値)かで結果はまるで別物になります。陽線側は出来高が増えるほど悪化し、翌日CCは0.8〜1.2倍の+0.029%をピークに3〜5倍-0.054%、5〜10倍-0.102%とマイナス幅を広げ、5営業日後も5〜10倍+0.047%、10倍以上は-0.296%/勝率39.8%と全区分で最低水準。「出来高を伴った大陽線は買い」とは正反対です。

対照的に、陰線側は出来高が増えるほど5営業日後リターンが伸びます。1.2〜2倍+0.435%、2〜3倍+0.523%、3〜5倍+0.610%、5〜10倍+0.615%と倍率とともに右肩上がりで、勝率も5〜10倍で51.3%と50%を維持。同じ出来高3〜5倍でも陽線と陰線の差は0.482ポイント、5〜10倍では0.568ポイントもあります。

ただし陰線側も10倍以上は例外で、5営業日後-0.080%/勝率46.7%と優位性が消滅します。陽線でも陰線でも10倍以上だけは別世界でした。全体でも陰線日+0.392%に対し陽線日+0.235%です。

(3) 完全データ表(出来高倍率9段階)

出来高倍率件数翌日ON翌日CCCC勝率5営業日後5日後中央値5日後勝率
0.3倍未満416,231+0.106%+0.061%45.5%+0.311%0.000%50.0%
0.3〜0.5倍531,512+0.101%+0.079%47.0%+0.317%+0.101%50.8%
0.5〜0.8倍1,049,312+0.097%+0.078%48.5%+0.312%+0.152%51.6%
0.8〜1.2倍1,003,730+0.096%+0.069%48.8%+0.318%+0.160%51.7%
1.2〜2倍636,685+0.095%+0.061%48.5%+0.342%+0.129%51.2%
2〜3倍187,452+0.063%+0.011%47.6%+0.355%0.000%49.7%
3〜5倍96,639+0.111%+0.014%47.0%+0.390%0.000%49.1%
5〜10倍44,750+0.231%+0.013%45.8%+0.328%-0.080%47.3%
10倍以上22,715+0.497%-0.040%42.8%-0.169%-0.497%43.0%
全体平均3,989,026+0.100%+0.065%47.9%+0.320%+0.117%51.0%

(4) 完全データ表(陽線・陰線別)

出来高倍率陽線 件数陽線 翌日CC陽線 5日後陰線 件数陰線 翌日CC陰線 5日後5日後の差
0.3倍未満154,163-0.031%+0.201%178,701+0.132%+0.372%+0.171pt
0.3〜0.5倍225,228+0.005%+0.243%255,026+0.141%+0.375%+0.132pt
0.5〜0.8倍464,732+0.023%+0.262%517,943+0.123%+0.355%+0.093pt
0.8〜1.2倍459,460+0.029%+0.256%493,837+0.103%+0.374%+0.118pt
1.2〜2倍296,829+0.024%+0.241%309,928+0.090%+0.435%+0.194pt
2〜3倍87,567-0.008%+0.179%91,475+0.019%+0.523%+0.344pt
3〜5倍45,701-0.054%+0.128%46,803+0.043%+0.610%+0.482pt
5〜10倍21,575-0.102%+0.047%21,419+0.091%+0.615%+0.568pt
10倍以上11,707-0.076%-0.296%10,035-0.042%-0.080%+0.216pt
全帯合計1,766,962+0.012%+0.235%1,925,167+0.108%+0.392%+0.157pt

3.なぜ出来高が増えるほど翌日以降が痩せるのか

2倍と10倍という2つの分岐点が生まれる理由を、需給の構造から整理します。

  1. 出来高は「注目度」であって「買い需要」ではありません:売買の成立には買い手と売り手が同数必要です。出来高10倍とは、買いが10倍集まると同時に売りも10倍出てきたということ。10倍以上の翌日CCが-0.040%にとどまるのは、「注目された=上がる」が成り立たない証拠です。
  2. 材料の織り込みが一日で完了します:出来高が平常の10倍に膨らむのは決算や適時開示が出た日がほとんどで、材料は当日中に消化されます。10倍以上の翌日ONが+0.497%と全帯最大なのは寄り付きの買いが殺到するためですが、日中で-0.537ポイント失う「おいしい部分は寄り付きで終わり」です。
  3. 陽線×大商いは翌日の売り圧力を自ら作ります:大商いで上昇した日は、その日のうちに大量の含み益ポジションが生まれます。翌日以降はこの利益確定売りが供給源になり、陽線×5〜10倍の翌日CCは-0.102%、10倍以上の5営業日後は-0.296%まで沈みます。上昇時の大商いは将来の売り圧力の予約でもあるわけです。
  4. 陰線×大商いは投げ売りの吸収を意味します:下落しながら平常の3〜5倍の出来高が出るのは、投げ売りを同じ量だけ引き受けた買い手がいたということ。売り手が一巡すれば需給は軽くなり、陰線×3〜5倍+0.610%、5〜10倍+0.615%と全帯最高水準になりました。
  5. 10倍以上は統計の性質が変わります:全体の0.57%(22,715件)しか起きない極端なイベントで、普段の出来高が細い銘柄ほど到達しやすい偏りがあります。5営業日後は平均-0.169%に対し中央値-0.497%と中央値のほうが悪く、大多数が値を下げています。
  6. 閑散日は悪材料ではありません:出来高0.3倍未満の5営業日後は+0.311%(勝率50.0%)と平常帯並みで、倍率の情報価値は上下どちらの極端でも限定的です。

4.データが示す正解戦略

全データから読み取れる出来高倍率の正しい使い方は次の通りです。

  • 「出来高◯倍で買い」という単独ルールは成立しません:翌日CCの最高帯(0.3〜0.5倍+0.079%)と最低帯(10倍以上-0.040%)の差は0.119ポイントで、手数料を引けば残りません。倍率は単独条件ではなく絞り込みフィルターとして使うのが妥当です。
  • 買い方向で使うなら「陰線×出来高3〜10倍」:5営業日後は3〜5倍+0.610%(勝率52.3%)、5〜10倍+0.615%(勝率51.3%)で全体平均+0.320%の約2倍。合計68,222件と機会も十分です。
  • 「陽線×出来高2倍以上」は翌日の買いに向きません:翌日CCは2〜3倍-0.008%、3〜5倍-0.054%、5〜10倍-0.102%とマイナス圏。飛びついた翌日に含み損を抱えやすい領域です。
  • 出来高10倍以上は倍率の意味が消えます:翌日CC-0.040%、5営業日後-0.169%(勝率43.0%)。陽線・陰線どちらでも優位性がなく、倍率の大きさを根拠にした判断は避けるべき領域です。
  • 翌日オーバーナイトだけは倍率と正の関係があります:10倍以上のON+0.497%、5〜10倍+0.231%。ただし寄り付き後に失われるため持ち越すなら寄り付きで手仕舞う前提が必要です。
  • 平均だけでなく中央値と勝率をセットで見ます:3〜5倍は平均+0.390%と好成績に見えますが勝率49.1%・中央値0.000%。平均だけを根拠にすると体感の勝ちにくさに耐えられません。

5.実践活用――出来高倍率の使い方フロー

(1) まずチャートに出来高倍率を表示する

  • 出来高の20日単純移動平均を出来高欄に重ねます(多くの取引ツールの標準機能)
  • 当日の出来高棒が移動平均線の何倍かを目測します。線の2本分なら2倍です
  • 中央値0.799倍、上位5%でも2.696倍。「2倍」は上位10%に入る珍しさです

(2) 倍率を見たら、必ずローソク足の色を確認する

  • 陽線×2倍以上:翌日CCがマイナス圏の領域。当日終値での追随買いは見送りが基本
  • 陰線×3〜10倍:5営業日後+0.610%〜+0.615%と最も条件が良い領域
  • 倍率10倍以上:陽線でも陰線でも優位性が消えるため、本検証を根拠にした売買は行いません

(3) エントリーとイグジットの目安

  • エントリー:条件に合致した日の大引け、または翌日の寄り付き
  • イグジット:5営業日後の大引け。+0.610%前後の小さな優位性を積み上げる想定です
  • ロスカット:逆に動いた場合の撤退ラインを事前に決めておきます
  • ポジションサイズ:1回の期待値が小さいため、1銘柄集中を避け件数を分散します

(4) やってはいけない使い方

  • 「出来高が急増したから買い」という単独判断。倍率と翌日リターンはむしろ逆の関係でした
  • 急騰銘柄の大引け成行での追随。陽線×大商いは翌日の売り圧力を抱えています
  • 倍率が大きいほど期待値が高いという思い込み。ピークは3〜5倍で、その先は下がります

6.注意点とリスク

  • 1回あたりの優位性は非常に小さい:最も条件の良い陰線×5〜10倍でも5営業日後+0.615%です。売買手数料やスリッページを差し引くと手取りはさらに目減りし、条件によっては優位性が消えます。ご自身のコスト構造を必ず確認してください。
  • 勝率は50%前後にすぎない:陰線×5〜10倍の5営業日後勝率は51.3%で、連敗は普通に起こります。1回の結果で判断しないでください。
  • 平均と中央値の乖離に注意:3〜5倍の5営業日後は平均+0.390%に対し中央値0.000%。平均は少数の大幅上昇に引っ張られています。
  • 流動性の低い銘柄ほど倍率が跳ねやすい:普段の出来高が細い銘柄はわずかな売買で10倍に到達します。約定しにくくスリッページも大きいため、最低限の売買代金基準を併用してください。
  • 境界と判定方法の注意:2倍・3倍・5倍という区切りは分析上の設定で、1.9倍と2.1倍に本質的な差はありません。また大きな窓を空けて寄り付いた日は、前日終値比で上昇していても陰線になります。
  • 地合いの影響を受ける:市場全体が大きく崩れる局面では、どの帯でも成績は悪化します。
  • 過去の傾向であり将来を保証するものではありません:本記事の数値は2022年10月〜2026年7月という特定期間の集計結果です。市場構造の変化で傾向は変わり得ます。投資判断はご自身の責任でお願いします。

7.よくある質問(FAQ)

Q. 出来高倍率は何倍から「急増」と考えればよいですか?

A. 希少さで言えば中央値0.799倍、上位5%が2.696倍ですので、2倍を超えれば十分に珍しいと言えます。ただし本検証では、2倍を超えたところで翌日CCが1.2〜2倍の+0.061%から2〜3倍の+0.011%へ縮小しました。急増=買いシグナルではなく、翌日の優位性が薄れる領域と理解してください。

Q. 「出来高を伴った上昇は本物」という説明は間違いなのでしょうか?

A. 翌日から5営業日という短期で見る限り、データは支持していません。陽線×出来高3〜5倍の翌日CCは-0.054%、10倍以上の5営業日後は-0.296%(勝率39.8%)でした。より長い保有期間では評価が変わる可能性はありますが、短期売買の根拠にはなりにくい数値です。

Q. なぜ陰線のほうが成績が良いのですか?

A. 下落しながら大商いになる日は、投げ売りを同じ量だけ引き受けた買い手がいたことを意味します。売り手が一巡すれば需給は軽くなり、5営業日後は陰線×3〜5倍+0.610%、5〜10倍+0.615%。全体でも陰線日+0.392%に対し陽線日+0.235%で、短期の逆張り傾向が残っています。

Q. 出来高10倍以上の銘柄はどう扱えばよいですか?

A. 本検証の範囲では、倍率を根拠にした売買判断には適しません。翌日CC-0.040%、5営業日後-0.169%(勝率43.0%、中央値-0.497%)と全指標が悪化します。翌日ONだけは+0.497%と全帯最大ですが、寄り付き後に-0.537ポイント失う「寄り天」型です。

Q. 出来高が細る(0.3倍未満)のは危険なサインですか?

A. データ上はそうとは言えません。0.3倍未満の5営業日後は+0.311%(勝率50.0%)で、全体平均+0.320%とほぼ同水準でした。閑散はそれ自体が売買サインではなく、単に材料が出ていない状態と考えるのが自然です。

Q. 20日平均ではなく5日平均や25日平均でも同じ結果になりますか?

A. 平均期間を短くすると直近の急増を拾いやすく、長くすると決算期などの水準変化を反映しにくくなります。傾向の方向性(倍率が上がるほど翌日CCが痩せる、陽線より陰線が良い)は変わりにくい一方、境界となる倍率の位置は動きます。ご自身の売買期間に合わせて検証し直してください。

Q. この結果をそのまま売買ルールにしてよいですか?

A. そのままでは不十分です。最良の条件でも1回の平均リターンは+0.615%程度で、手数料やスリッページを差し引くと残りは小さくなります。売買代金や株価水準と組み合わせ、ご自身のコスト水準で成立するかを確認してから使ってください。過去の傾向であり、将来の成績を保証するものではありません。

8.まとめ

延べ3,989,026営業日分を出来高倍率9段階×陽線陰線で細分して検証しました。要点は5つです。

  1. 翌日リターンの分岐点は「2倍」:1.2〜2倍の翌日CC+0.061%が2〜3倍では+0.011%へ縮小。出来高が増えるほど翌日が有利になる関係は確認できませんでした。
  2. 5営業日後のピークは「3〜5倍」、その先は下降:3〜5倍+0.390%をピークに5〜10倍+0.328%、10倍以上-0.169%。ただし3〜5倍でも勝率49.1%と50%割れで、平均は一部の大幅上昇に支えられています。
  3. 10倍以上は全指標が崩壊する:翌日CC-0.040%、5営業日後-0.169%、勝率43.0%、中央値-0.497%。翌日ONだけが+0.497%と大きい寄り天型でした。
  4. 同じ倍率でも陽線と陰線で意味が逆転する:出来高3〜5倍の5営業日後は陽線+0.128%に対し陰線+0.610%、差は0.482ポイント。優位性は「出来高を伴った上昇」ではなく「出来高を伴った下落」にありました。
  5. 出来高倍率は単独シグナルではなくフィルター:最良条件でも1回あたり1%未満の優位性です。ローソク足の色や売買代金など他の条件と組み合わせて初めて機能します。

「出来高急増」は便利な言葉ですが、何倍を指すのか決めないまま使うと、優位性が最も薄い領域に飛び込むことになりかねません。次に出来高が膨らんだ銘柄を見つけたら、倍率が何倍か、その日は陽線だったか陰線だったか――この2点を確認する習慣をつけてください。

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「株システムトレードの教科書」の記事は、機関投資家出身・証券アナリスト検定会員の西村剛が、統計データ・システムトレード・ファンダメンタルズを融合して解説しています。
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