目次
打診買いとは
打診買いとは、下落が続いている銘柄について、そろそろ底値ではないかという買いを入れることです。
打診買いは、本命の買いエントリーではなく、小口でエントリーすることがポイントとなります。
下落トレンドの銘柄は、さらに一段安となるリスクがあり、いきなり本来のまとまった玉で入ってしまうと損失リスクが大きいため、小口の買い注文を入れます。
打診買いでエントリー後に、反発の動きが見られ始めたら、追撃の買い注文を入れて、本来の玉に育てていくということが基本戦略です。
打診買いをするメリット
打診買いをするメリットとしては、次の点が挙げられます。
- 低リスクで反発の急騰に乗れる可能性がある
- 平均取得単価を小さくしてエントリーできる
それぞれについて見ていきましょう。
低リスクで反発の急騰に乗れる可能性がある
打診買いで試し買いをした小口のエントリーが、その後の急騰に乗って大きな利益になる場合もあります。
2023年には、新興エネルギー株の【7692】アースインフィニティが、急騰後に大暴落となりましたが、打診買いをしていれば大きな利益になった可能性がありました。
アースインフィニティのようなハイリスク・ハイリターンの新興株は、いきなり大きな玉を入れることにはリスクがありますが、打診買いで小口の買いを入れれば、それだけで急騰して利益になる場合もあります。
打診買いを入れてから、即急騰してしまい本命のエントリーができなかったとしても、打診買いで買った小口の玉だけでも十分な利益になるケースもあります。
平均取得単価を小さくしてエントリーできる
打診買いでエントリーした小口の玉が、その後の急騰に乗るケースもあるものの、比較的レアケースというのが実際の所です。
打診買いの基本は、小さな玉で試し買いをして、その後に反発の兆しが見られたら徐々に買い増していくというものです。
言わば、打診買いはトレード全体の建玉操作の初動の行為となります。
実際の打診買いの例を見ていきましょう。
次のチャートは、半導体企業【6526】ソシオネクストの日足チャートです。
ソシオネクストは、2023年6月中旬から暴落が始まりました。
7月中旬にそろそろ底値じゃないかと思って打診買いを入れます(上図・左から1つ目の赤丸)。
一時的に反発したものの、さらに安値を下回り、横ばいの陽線が出た所で再び打診買いを入れます(上図・左から2つ目の赤丸)。
その後、反発したため、ここで本命のエントリーをします(上図・左から3つ目の赤丸)。
一発エントリーするとしたら、反発を確認するまで待つことになりますが、打診買いを入れることによって、下落トレンド終盤に早めにエントリーして平均取得単価を有利にできる点がメリットです。
打診買いの後のトレード戦略
打診買いをしてエントリーした後のトレード戦略について、次の2ケースについて見ていきましょう。
- 下落が続いた場合
- 上昇に転じた場合
下落が続いた場合
打診買いをした後に、下落が続く場合は多々あります。
打診買いは、下落トレンド終盤の銘柄に「そろそろ底値ではないか?」という思惑からの逆張りエントリーとなり、打診買いをしてからすぐに反発するケースはほとんどありません。
打診買いの後に即反発するケースがほとんどないからこそ、打診買いでは小さな玉でエントリーすることになります。
打診買い後に下落となった場合には、打診買いをした玉を損切りするか、さらに下落してから追撃の買いを入れて平均取得単価を有利にするかの2パターンがあります。
打診買いをする前に、どのようにするのかを決めておくことが重要です。
このときに重要となってくるのは、「打診買いでは、どの位の資金でエントリーするか?」ということです。
これは、許容できるリスクから決めることが基本となります。
例えば、エントリー全体で300万円の建玉を建てて、トータル-10万円の損失が出たら損切りすると決めたとしましょう。
最初の打診買いで30万円分の資金を入れたら、トータル-10万円の損失になるには-33%まで見れるため、相当に余裕があります。
2回目の打診買いで60万円分の資金を入れても、まだ下落を十分に見れる状態です。
つまり、打診買いで入れる玉が小さければ、下落した場合でも基本は買い増しになるかと思います。
特に、打診買いで入れた価格よりも下落した場合には、打診買いよりも大きな玉(例えば、2倍や3倍)で買い増しして平均取得単価を有利にすることが基本です。
それでも下落が止まらず、トータル損失額が最初に決めたリスクに到達するようなら損切りとなります。
上昇に転じた場合
打診買いでエントリーした銘柄が、上昇に転じた場合には、追撃で買い増しして玉を大きくしていくことが基本となります。
打診買いは小さくエントリーするため、よほど大きな急騰でない限りは、打診買いだけでは利益が小さくて不十分です。
ただ、買い増しすると、玉が大きくなってしまうため、それだけリスクも大きくなる点には注意が必要です。
買い増しした後に、下落に転じた場合には、損切りの必要も出てきます。
買い増し後の損切りについても、その考え方は前述したように、最初に決めたリスク額に到達したら損切りとすることが基本になるかと思います。
打診買いの注意点
打診買いの注意点について見ていきましょう。
小さな玉でエントリーする
打診買いのポイントは、小さな玉でエントリーすることです。
一つの目安としては、打診買いでは、本玉の5分の1~20分の1程度あたりになるかと思います。
例えば、全体で300万円分エントリーする予定なら、打診買いでは30万円分だけ入るというようにします。
その後の買い増しでは、打診買いよりも玉を大きくしていくことが基本です。
打診買いでエントリー後に下落した場合には、平均取得単価を有利にするための2回目の打診買いを入れるとなったら、60万円程度でエントリーするということになります。
打診買いのポイントは、小さく入って平均取得単価を有利にしながら、徐々に玉を大きくしていくということです。
打診買いとナンピンは大きく異なる
投資初心者の方が打診買いについての説明を聞くと、「どうして、打診買いの段階で大きくエントリーしないのですか?」と思ってしまうケースは少なくありません。
ただ、これは打診買いの後に急騰したレアケースが起こりやすいものと勘違いされているために起こってしまうことです。
打診買いをしてから徐々に玉を大きくして平均取得単価を有利にする行為と、初心者がよくやってしまうナンピンとは大きく異なります。
打診買いから玉を大きくしていく行為は、最初から計画通りに行うものであり、株価が下落した際に行う買い増しも想定内の行動です。
また、最初から許容損失額を決めて行うため、仮に上手くいかなくて損切りになったとしても計画の内です。
一方、投資初心者がするナンピンは、最初から巨大な玉でエントリーして、逆行したら信用買いを入れて平均取得単価を無理矢理有利にするという、無計画のパニック状態で行う行為と言わざるを得ません。
実際の数値例で考えていきましょう(トータル300万円でエントリーするものとします)。
打診買いの場合は、最初から「トータルの損失額が-10万円になったら損切りする」と決めた上で、まずは打診買いとして30~50万円程度の買いを入れ、その後は状況に応じて買い増ししていきます。
一方、ナンピンの場合は、損失になることなど考えず、いきなり300万円の玉でエントリーしてしまい、株価が下がると含み損から楽になるため、信用取引を使って再び大きな玉を入れてしまいます。
打診買いの場合には、さらに大きく下落した場合には当初から想定していた損失を受け入れるだけで済みますが、ナンピンの場合は資産を失ってしまうでしょう。
まとめ
この記事では、打診買いについて解説してきました。
打診買いは、下落が続いている銘柄について、そろそろ底値ではないかと小口資金でエントリーする行為です。
打診買いは、全体のエントリーの中の初動の部分に相当し、その後の値動きに応じて買い増ししていきます。
打診買い後に下落した場合には、打診買いの2倍から3倍の玉で買い増しすることで、平均取得単価を有利にできます。
打診買いから徐々に玉を大きくして平均取得単価を有利にする行為と、初心者がよくやってしまうナンピンとは大きく異なり、損失の許容額を事前に決めて計画通りに行うことがポイントです。
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