目次
空売り機関とは?
空売り機関とは、空売りを仕掛けてくる大口の機関投資家のことです。
空売り情報サイト「空売りネット」では、「モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社」や「GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL」、「MERRILL LYNCH INTERNATIONAL」などが代表的な機関投資家とされます。
なお、これらの機関投資家が空売りを仕掛けているとはいっても、実際は機関投資家の顧客である大口投資家やヘッジファンドが空売りをしているということであり、あくまで委託取引に過ぎません。
これらの機関投資家は大口の取引を仕掛けるため、機関空売りで売られた銘柄は、一時的に大きく下がる傾向があると言えます。
空売り機関が空売りした銘柄を確認する方法
空売り機関が空売りした銘柄を確認する方法としては、次の方法が挙げられます。
- 出来高の増加を伴って下落している銘柄を探す
- 「空売りネット」で機関投資家の空売りを確認する
それぞれについて見ていきましょう。
出来高の増加を伴って下落している銘柄を探す
空売り機関の売りは大口の取引となるため、株価チャート上には、大きな出来高の増加を伴った下落となって現れます。
逆に言えば、空売り機関が空売りする銘柄の条件としては、取引の流動性が十分に大きい銘柄であることが挙げられます。
1日に最低でも1~5億円以上の売買代金があるなど、空売り機関の空売りを吸収できるほどの流動性がないと、大口の空売りで極端なストップ安になってしまい、機関投資家が利益を出せるほどの売りが出せないためです。
また、空売り機関が銘柄を買い戻す際にも、大口の買いを吸収できるほどの流動性がないと極端なストップ高になってしまい、空売り機関の利益が減ってしまいます。
それでは、実際のチャートで、空売り機関が空売りしたと思われる銘柄を見てみましょう。
次のチャートは、VTuberプロダクション「ホロライブ」を運営する【5253】カバーの日足チャートです。
カバーの株価は横ばいから下落トレンドとなっていますが、2024年2月中旬には大きな出来高を伴って売られたことが分かります。
カバーは、「空売りネット」で調べても、空売り機関による売りが出やすい銘柄となっています。
そして、2024年5月14日には、決算発表を受けて大きく反発しました。
非常に大きな出来高となっていますが、空売り機関による買い戻しも相当数入ったのではないかと推測されます。
「空売りネット」で機関投資家の空売りを確認する
空売り情報サイト「空売りネット」を活用すると、空売り機関が、いつ、どのような銘柄を、どの程度、空売りしたのかを確認できます。
「空売りネット」のトップページには、空売り機関トップ10の機関投資家ランキングが記載されています。
空売り機関の名前をクリックすると、その空売り機関が、いつ、どの銘柄を、どの程度、空売りしたのかを確認できます。
例えば、「モルガン・スタンレーMUFG」をクリックすると、モルガン・スタンレーMUFGによる日毎の空売り履歴を確認可能です。
空売り機関のしつこい売りへの対処法
空売り機関のしつこい売りには、個人投資家はどう対処すべきかを考えていきましょう。
空売り機関のしつこい売りには下手に歯向かうべきではない
一般論としては、空売り機関のしつこい売りには、下手に歯向かうべきではありません。
大口の空売りが入っている中で、個人投資家の小さな資金で買い向かっても、太刀打ちすることはできないためです。
空売り機関に対して、個人投資家が取れる戦略としては、次のようなものがあります。
- 空売り機関が空売りしている銘柄を空売りする。
- 空売り機関の動向を注視して様子見する。
空売り機関が空売りしている銘柄は、下落に向かう可能性が高いと考えて、一緒に空売りするという戦略は有効ですが、リスクも相応にあります。
最も現実的な方法としては、空売り機関の動向を注視して様子見しながら、下落チャンスがあれば空売りするということになるでしょうか。
いずれにしても、空売り機関がしつこく空売りしている場合には、下手に買い向かうのではなく、基本は様子見しておくことが安全です。
個人投資家は資金が小さくて不利であることは確かですが、小回りが利くため様子見できるという点は機関投資家にはない強みです。
短期的に-10%程度下落したら買い戻しに注意
空売り機関が空売りしている銘柄を、一緒になって空売りする戦略もアリですが、空売り機関による買い戻しには注意が必要です。
次のチャートは、【8304】あおぞら銀行の日足チャートです。
あおぞら銀行は、2024年1月末に、配当金の半期無配を発表したことから、高配当株への失望感が広がって大きく売られましたが、その後は反発しています。
暴落してから「機関空売りと一緒に空売りしよう!」と空売りしても、機関空売りの空売りからは一歩遅い反応になってしまう点に注意が必要です。
個人投資家が空売りした直後に、機関空売りが買い戻しの大口買いを入れてくると、踏み上げられてしまうことになります。
機関空売りが買い戻しの買いを入れてくる目安としては、-10%程度とも言われています。
機関空売りを確認したとしても、既に-10%程度下落していた場合には、空売りは様子見に留めておいた方が安全です。
むしろ、機関空売りの銘柄が十分に下げていた場合には、機関空売りの買い戻しを狙った買いを入れるタイミングを見計らう方がよいかもしれません。
空売り機関に対して個人投資家が気を付けるべき点
空売り機関に対して、個人投資家が気を付けるべき点について見ていきましょう。
空売り機関は個人投資家をカモにしようとしている
空売り機関に限らず、機関投資家は個人投資家とは逆の動きをする傾向があります。
個人投資家は安くなった銘柄を買うという逆張り戦略をする傾向にありますが、機関投資家はこのような行動をする個人投資家から利益を得る行動をとる傾向にあります。
空売り機関は個人投資家が逆張り買いを仕掛けそうな所で大口の空売りを仕掛けて、個人投資家が含み損に耐えられなくなって安値圏で売る場面で買い戻しを仕掛けるということです。
個人投資家は、このような機関投資家の動きに翻弄されていては、カモにされてしまうだけです。
また、急騰銘柄についても同様であり、空売り機関は大きく上昇している銘柄でも逆張りの空売りを仕掛けて、急騰を潰してくるケースもあります。
2024年には、「政府クラウド」に採択されたデータセンター大手【3778】さくらインターネットが急騰後、大暴落しました。
3月初旬に付けていた高値圏から大暴落となり、SNSなどでは大損した個人投資家の反応も話題になりました。
下記は、暴落前の【3778】さくらインターネットの機関空売りの状況ですが、モルガン・スタンレーMUFGが大きく売っていたことが分かります。
※出典:空売りネット
非貸借銘柄は制度信用取引では空売りできない
空売り機関が空売りする銘柄は、東証プライム市場の主要銘柄から、東証グロース市場の新興銘柄までさまざまです。
空売り機関は、新興銘柄を空売りする場合もありますが、この場合、個人投資家は一緒に空売りできないケースが多いため注意が必要です。
制度信用取引で空売りできる銘柄の条件は貸借銘柄であることであり、新興銘柄の多くは非貸借銘柄であるため、制度信用取引では空売りできません。
SBI証券の「HYPER空売り」や松井証券の「プレミアム空売り」などの制度では、一般信用取引で非貸借銘柄も空売りできますが、人気銘柄は在庫がないケースが多く、手数料が高い点には注意が必要です。
まとめ
この記事では、空売り機関のしつこい売りに対処して、個人投資家が利益につなげるためのポイントについて解説してきました。
個人投資家は、空売り機関が空売りした銘柄には、下手に立ち向かうべきではありません。
空売り機関の動向を注視して様子見しながら、下落チャンスがあれば空売りすることも考えつつ、既に大きく下落していた場合には買い戻しの可能性を考慮するようにしましょう。
個人投資家は、資金が小さい点では不利であるものの、空売り機関の動向を確認してから動ける小回りが利く強みを生かしていくことが重要です。
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