目次
機関空売りとは?
「機関空売り」とは、大口の機関投資家が、空売りを仕掛けることです。
機関投資家と一口に言っても、ヘッジファンドや銀行、証券会社、保険会社などがありますが、特にヘッジファンドは空売りを活用しやすい傾向があると言えます。
機関投資家は大口の取引を仕掛けるため、機関空売りで売られた銘柄は、一時的に大きく下がる傾向があると推測可能です。
ただ、空売りをしたら、買い戻さないと利益が確定されないため、機関空売りはいつか買い戻しをする必要がある点に注目です。
つまり、機関空売りが入った銘柄は、大口の空売りが入ることで一時的に大きく下がるものの、いつかどこかのタイミングで大口の買い戻しが入って大きく反発する傾向があるということです。
機関空売りされる銘柄の特徴
機関空売りされる銘柄の特徴としては、次のような点が挙げられます。
- 流動性が大きい銘柄
- 出来高が急増して下落した銘柄
- 大きく上昇している銘柄
それぞれについて見ていきましょう。
流動性が大きい銘柄
機関空売りされる銘柄はさまざまですが、機関空売りされる銘柄の第一条件としては、取引の流動性が十分に大きい銘柄であることが挙げられます。
流動性とは、取引のしやすさを示すもので、具体的には売買代金や出来高、板の状況などで示されるものです。
特に、売買代金は流動性の目安となり、1日に最低でも1~5億円以上の売買代金がないと、機関投資家のターゲットにはなりづらいと言えます。
機関投資家の空売りを吸収できるほどの流動性がないと、機関空売りを仕掛けても極端なストップ安になってしまい、機関投資家が利益を出せるほどの売りが出せません。
また、機関空売りした銘柄を買い戻す際にも、機関投資家の買いを吸収できるほどの流動性がないと、大口の買い戻しで極端なストップ高になってしまい、機関空売りの利益が減ってしまいます。
出来高が急増して下落した銘柄
機関投資家が機関空売りを仕掛けると、その銘柄は大きな出来高を伴って下落する傾向があります。
実際の例で見ていきましょう。
次のチャートは、VTuberプロダクション「ホロライブ」を運営する【5253】カバーの日足チャートです。
カバーの株価は横ばいから下落トレンドとなっていますが、2024年2月中旬には大きな出来高を伴って売られたことが分かります。
カバーは、「空売りネット」で調べても、機関空売りが出やすい銘柄となっており、2024年5月14日には決算発表を受けて大きな反発となりました。
この反発では、機関空売りの買い戻しも相当数含まれていたものと推測できます。
大きく上昇している銘柄
大きな流動性を伴って大きく上昇している銘柄は、機関投資家にとっても利益を出すチャンスであるため、機関空売りが入ることも多くなります。
次のチャートは、「政府クラウド」参画でも期待されるデータセンター大手【3778】さくらインターネットの日足チャートです。
さくらインターネットは、「政府クラウド」を材料に2023年から大きく上げていましたが、2024年3月初めに暴落となりました。
さくらインターネットの売買代金は毎日100億円を超えており、機関投資家も積極的に機関空売りを仕掛けています。
暴落前のさくらインターネットの機関空売りの状況を「空売りネット」で見てみると、モルガン・スタンレーMUFGが大きく売っていたことが分かります。
※出典:空売りネット
機関空売りの買い戻しタイミング
機関空売りされている銘柄を機関投資家が買い戻すタイミングとしては次の点が挙げられます。
- 短期的に暴落した後
- 機関空売りの返済期限が近付いている場合
それぞれについて見ていきましょう。
短期的に暴落した後
株価が短期的に暴落してから、しばらく下落した後に、機関空売りの買い戻し決済が入ることは少なくありません。
次のチャートは、【8304】あおぞら銀行の日足チャートです。
あおぞら銀行は、2024年1月末に、配当金の半期無配を発表したことから、高配当株への失望感が広がって大きく売られました。
非常に急激な出来高の増加を伴って売られており、個人・機関投資家の現物・信用問わず、さまざまな売りが出たものと思われます。
ただ、暴落後にしばらく売られてから、2024年2月中旬以降からは反発しました。
機関空売りが買い戻しの目安としては、-10%程度を目安としておくようにしましょう。
機関空売りの返済期限が近付いている場合
制度信用取引では、空売り(信用売り)の返済期限は6ヶ月となっています。
つまり、機関空売りから6ヶ月以内に、機関空売りのポジションを解消する買いがどこかで出るということです。
このパターンから機関空売りの買い戻しタイミングを探る場合には、日足チャートを横長に見る、週足チャート以上を使うなど、6ヶ月以上の範囲を見られるチャートを見るようにしましょう。
次のチャートは、ソフトウェア開発を手掛けるIT企業の【3697】SHIFTの週足チャートです。
2024年1月に大きな売りが出て以降は下げていますが、2024年5月以降は徐々に買いが入っていることが分かります。
大きな出来高を伴う暴落があってから、空売りの返済期限となる6ヶ月後は一つの目安となるため、機関空売りのタイミングとして確認しておくようにしましょう。
機関空売りされている銘柄は「空売りネット」で調べよう
機関空売りされている銘柄を調べる方法としては、「空売りネット」という空売り情報サイトを活用する方法が挙げられます。
「空売りネット」を活用すれば、次のような情報を確認できます。
- 機関空売りされている銘柄
- 機関空売りしている機関投資家
「空売りネット」の使い方について見ていきましょう。
空売りランキングから「空売り機関数」を調べる
空売りネットの上部タブ「空売りランキング」をクリックすると、各銘柄の空売り銘柄ランキングを見ることが可能です。
「空売り比率ランキング」や「空売り残高ランキング」、「空売り増加率ランキング」などがありますが、機関空売りにおいては、「空売り機関数」を見ておくことは悪くありません。
個別銘柄の空売り情報を調べる
「空売りネット」では、個別銘柄のコードを入力すると、「信用売り残高」「信用買い残高」、「逆日歩」といった信用取引の基本情報に加えて、「空売り機関」の情報を見ることもできます。
空売り機関数が最も多くなっている【4385】メルカリでは、次のようになっています。
上記の信用取引の基本情報の次に、「機関の空売り残高情報」が掲載されています。
空売り機関ランキングを調べる
「空売りネット」の上部タブ「空売り機関」をクリックすると、「空売り機関ランキング」を見ることが可能です。
「空売り時価総額ランキング」に入っている機関投資家をクリックすると、その機関投資家の空売り情報を調べられます。
空売り時価総額ランキング1位となっている「Barclays Bank PLC」をクリックすると、どの銘柄を空売りしたのかを示す「空売り履歴」などを見ることが可能です。
まとめ
この記事では、機関空売りされる銘柄の特徴や機関空売りの買い戻しタイミング、「空売りネット」を使った機関空売りの情報取集について解説してきました。
機関投資家が空売りするには、大口の取引を消化する必要があるため、1日の売買代金が一定以上ある流動性が大きい銘柄であることが最低条件となります。
その上で、出来高が急増して下落した銘柄には、機関空売りが入った可能性があります。
機関空売りの買い戻しが入るタイミングとしては、短期的に暴落した後や、大きな出来高を伴う暴落があってから6ヶ月後以内などが目安となります。
空売り情報サイト「空売りネット」では、機関空売りをしている機関投資家や銘柄の情報が詳細に見られるため、活用するようにしましょう。
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