無料レポート 直近25年分の統計データで分かる「株の買い時・売り時」
無料で受け取る →

「はらみ足が出たら流れが変わる」。ローソク足の教科書には、前日の大きな実体の内側に収まる足はトレンド転換の予兆だと書かれています。大陰線のあとに陽線のはらみなら底、大陽線のあとに陰線のはらみなら天井、という具合です。

この通説を数字で確かめました。2014年1月1日から2026年9月14日までの東証全銘柄(5,409銘柄・3,103営業日・12,328,614件)から、前日が大きな実体だったのに当日の実体がその内側に収まった日を365,501件抽出し、前日の色・当日の色・位置別に翌日以降のリターンを集計しています。

結論を先に述べます。はらみ足の形そのものは、買いサインでも売りサインでもありませんでした。全体の20日後は+1.402%で、市場平均の+0.939%との差は+0.463ポイントです。翌日終値の勝率は45.6%と、市場平均(47.0%)をむしろ下回りました。

効いていたのは、形ではなく位置です。60営業日レンジの下位20%にあたる安値圏で出たはらみ足は、20日後が+2.473%(安値圏の全日平均は+1.170%)。ところが、同じ安値圏で前日が大陰線でも内側に収まらなかった日の翌日は+3.901%と、はらみ足を上回りました。

執筆者

西村剛
西村剛

フェアトレード株式会社 代表取締役。機関投資家出身で統計データを重視したシステムトレードに注力。2011年株-1グランドチャンピオン大会で+200.4%、2012年+160.1%、2013年157.0%を叩き出し三連覇達成。証券アナリスト検定会員。システムトレードを使った定量分析と、これまでファンドマネジャーとして培ったファンダメンタルズ分析を融合した新しい視点で株式市場を分析し、初心者でもわかりやすい言葉を使った解説に定評がある。

システムトレード

1.検証ルール

集計条件をすべて開示します。

  • データ:東証全銘柄の日足(株式分割の影響を除いた調整後の4本値)
  • 期間:2014年1月1日〜2026年9月14日(5,409銘柄・3,103営業日・12,328,614件)。20営業日後が確認できる日までです
  • 前日の大きな実体:始値と終値の差が始値の3%以上。陰線は「大陰線」、陽線は「大陽線」
  • はらみ足:当日の始値と終値が、ともに前日の実体の範囲内に収まった日(ヒゲは問わない)
  • 当日の色:実体が0.2%未満なら十字、以上なら陽線か陰線。前日の色と合わせて6タイプに分類
  • 位置:当日終値が直近60営業日の高値〜安値レンジのどこにあるか。上位20%を高値圏、下位20%を安値圏、その間を中間
  • リターン:当日終値で買った場合の、翌日寄付き・翌日終値・5日後・20日後
  • 比較対象:全日の平均(市場平均)、位置別の全日平均、前日が大きな実体でも内側に収まらなかった日

最後の比較対象が重要です。成績が良く見えても、それが「大きな実体の翌日」だからか「内側に収まる形」だからかは、これがないと分かれません。

2.前日の色で結果が分かれる

まず6タイプの結果です。はらみ足は全営業日の2.96%にあたる365,501件ありました。

はらみ足のタイプ別 翌日以降の平均リターン

※画像はクリックすると拡大してご覧いただけます

区分件数翌日寄付き勝率翌日終値勝率5日後勝率20日後勝率
大陰線→陽線105,149+0.094%45.5%+0.163%47.4%+0.645%50.1%+1.706%50.6%
大陰線→陰線44,253+0.197%48.8%+0.207%48.6%+0.730%50.7%+1.958%52.0%
大陰線→十字33,537+0.213%41.3%+0.160%43.1%+0.625%47.2%+1.620%48.6%
大陽線→陰線114,956+0.100%44.0%-0.015%45.6%+0.194%46.9%+1.081%47.9%
大陽線→陽線38,115-0.006%41.2%-0.078%44.0%+0.072%46.1%+0.866%47.7%
大陽線→十字29,491-0.052%35.5%-0.094%39.5%+0.124%43.4%+1.174%46.0%
はらみ足(全タイプ)365,501+0.097%43.8%+0.067%45.6%+0.410%48.0%+1.402%49.1%
市場平均(比較用)12,328,614+0.081%44.7%+0.050%47.0%+0.245%49.9%+0.939%51.2%
大陰線の翌日(内側に収まらず)388,742+0.204%46.8%+0.190%48.2%+0.816%50.8%+2.098%50.4%

20日後の列を見てください。前日が大陰線の3タイプは+1.620%〜+1.958%と市場平均(+0.939%)を上回り、最も高いのは大陰線→陰線の+1.958%です。

一方、前日が大陽線の3タイプは+0.866%〜+1.174%で、市場平均の前後に収まります。最も低いのは大陽線→陽線の+0.866%でした。翌日終値も、大陽線のあとの3タイプはいずれも-0.015%以下で、市場平均(+0.050%)に届いていません。

つまり当日の足の色や十字かどうかより、前日が陰線だったか陽線だったかで差がつく形です。ただし、これは「大陰線の翌日」自体が強いだけかもしれません。表の最下行が、内側に収まらなかった日の成績です。大陰線の翌日は、はらみ足にならなかった場合でも20日後が+2.098%あり、はらみ足の全タイプより高くなっています。

3.効いているのは「位置」だった

次に位置別です。はらみ足の構成比は、高値圏16.6%、中間59.9%、安値圏23.5%でした。

位置別に見たはらみ足の20営業日後リターン

※画像はクリックすると拡大してご覧いただけます

区分件数翌日終値勝率5日後勝率20日後勝率
高値圏|はらみ足(全タイプ)60,727-0.123%43.8%+0.053%45.8%+0.764%46.8%
高値圏|大陰線の翌日(内側に収まらず)26,770+0.174%44.7%+0.431%46.1%+0.832%45.0%
高値圏|全日平均(比較用)2,492,458+0.037%46.7%+0.193%49.2%+0.808%50.8%
中間|はらみ足(全タイプ)219,020+0.015%44.8%+0.289%47.0%+1.159%47.7%
中間|大陰線の翌日(内側に収まらず)220,513+0.034%46.7%+0.437%48.7%+1.097%47.1%
中間|全日平均(比較用)7,179,805+0.037%46.8%+0.214%49.6%+0.900%50.8%
安値圏|はらみ足(全タイプ)85,754+0.332%48.6%+0.971%52.1%+2.473%54.2%
安値圏|大陰線の翌日(内側に収まらず)141,459+0.437%51.2%+1.479%55.0%+3.901%56.6%
安値圏|全日平均(比較用)2,656,351+0.096%47.6%+0.379%51.2%+1.170%52.9%

はらみ足の20日後は、高値圏+0.764%、中間+1.159%、安値圏+2.473%。高値圏と安値圏の差は1.709ポイントに達します。

位置別の全日平均と比べると、安値圏は2.11倍です。翌日終値も+0.332%(全日平均+0.096%)と、はっきり上回りました。逆に高値圏では全日平均との差が-0.044ポイントで、20日後はほぼ平均どおりです。

ここで注意したいのが、表の2行目です。安値圏では、内側に収まらなかった大陰線の翌日が+3.901%。はらみ足より1.428ポイント高い結果でした。

安値圏で大陰線が出たとき、翌日の実体が前日の範囲からはみ出した銘柄(下げた日も切り返した日も含む)のほうが、その後の戻りは大きかったことになります。理由は断定できませんが、投げ売り直後の安値圏は、はらみ足かどうかに関係なく戻りやすいのかもしれません。「下げ止まりの確認」として語られるはらみ足は、少なくとも平均では、確認になっていませんでした。

4.「陽のはらみ」「陰のはらみ」は教科書どおりか

通説で最もよく語られる2タイプを、位置別に見ます。右端は、20日後の位置別平均との差(ポイント)です。

区分件数翌日終値勝率5日後20日後勝率20日後(位置別平均との差)
陽のはらみ(大陰線→陽線)|高値圏11,660+0.051%45.8%+0.343%+0.972%47.5%+0.164
陽のはらみ(大陰線→陽線)|中間63,529+0.056%45.9%+0.440%+1.335%48.9%+0.435
陽のはらみ(大陰線→陽線)|安値圏29,960+0.434%51.0%+1.199%+2.780%55.5%+1.610
陰のはらみ(大陽線→陰線)|高値圏26,442-0.071%45.3%+0.132%+0.790%47.3%-0.018
陰のはらみ(大陽線→陰線)|中間69,047+0.001%45.5%+0.156%+0.948%46.8%+0.048
陰のはらみ(大陽線→陰線)|安値圏19,467+0.008%46.2%+0.410%+1.944%52.4%+0.774

陽のはらみは、安値圏でだけ結果が出ていました。安値圏の20日後は+2.780%、位置別平均との差は+1.610ポイント。翌日終値の勝率も51.0%と半数を超えます。一方、高値圏では20日後の差が+0.164ポイント、中間でも+0.435ポイントにとどまりました。底打ちサインとして働くのは、底の位置にあるときだけでした。

陰のはらみは、教科書が言う「天井のサイン」とは読めませんでした。高値圏の翌日終値は-0.071%(全日平均との差-0.108ポイント)とわずかに弱いものの、20日後は+0.790%で、差は-0.018ポイントしかありません。

5.頑健性チェック:発生日の集中と年別

相場急変日に一斉に出た足が結果を左右していないか、確認しました。発生日の集中は小さいと言えます。はらみ足全体の上位3日が占める割合は1.4%、タイプ別でも1.2%〜3.3%でした。上位3日は2016年6月27日(2,161件)、2024年8月6日(1,697件)、2016年11月10日(1,296件)です。

区分上位3日の割合翌日終値除いた後5日後除いた後20日後除いた後
大陰線→陽線3.3%+0.163%+0.109%+0.645%+0.459%+1.706%+1.502%
全タイプ1.4%+0.067%+0.050%+0.410%+0.336%+1.402%+1.292%
全タイプ|安値圏3.5%+0.332%+0.363%+0.971%+0.969%+2.473%+2.354%

上位3日を除くと、大陰線→陽線は5日後が+0.645%から+0.459%に下がりました。市場全体が大きく動いた数日が、平均を押し上げていた面はあります。

ただし、肝心の安値圏のはらみ足は影響が小さく、20日後は+2.473%から+2.354%、翌日終値は+0.332%から+0.363%でした。発生が多かった日(2016年6月27日(1,117件)、2022年1月28日(972件)、2020年3月11日(951件))を外しても、結論は変わりません。

安値圏のはらみ足 上位3日を除いた再集計

※画像はクリックすると拡大してご覧いただけます

続いて年別です。安値圏のはらみ足は、20日後が13年中12年で安値圏の全日平均を上回り、翌日終値はすべての年で上回りました。

安値圏のはらみ足と全日平均の年別比較

※画像はクリックすると拡大してご覧いただけます

差が最も大きかったのは2020年(はらみ足+5.213%、全日平均+0.552%)。唯一下回った2023年も、差は-0.025ポイントと誤差の範囲です。ただ、はらみ足の20日後は2018年が-0.021%、2020年が+5.213%と、年によって水準は大きく変わります。

6.この検証の限界

  • 閾値は検証者が決めたものです。実体3%以上、十字0.2%未満、60営業日レンジという定義を変えると、数字も変わります
  • 観測は重なっています。同じ銘柄で数日続けて出ることがあり、独立した観測は件数よりずっと少なくなります
  • 売買コストを含みません。約定できるかも考慮していません。安値圏の大陰線にはストップ安に近い銘柄も含まれ、翌日に思った価格で買えないことがあります
  • 上場廃止の扱い。上場廃止に至った銘柄が抜けている分、安値圏の結果は良く出ている可能性があります

7.よくある質問(FAQ)

Q. はらみ足はどう判定していますか?

A. 前日の実体が始値の3%以上ある日を「大きな実体」とし、当日の始値と終値の両方がその実体の範囲に収まった日をはらみ足としました。ヒゲ(高値・安値)は判定に使っていません。

Q. 「陽のはらみ」「陰のはらみ」とは何ですか?

A. 大きな陰線のあとに内側へ収まる陽線が出るのが陽のはらみ、大きな陽線のあとに内側へ収まる陰線が出るのが陰のはらみです。この記事では前者を「大陰線→陽線」、後者を「大陽線→陰線」として集計しています。

Q. はらみ足は買いサインですか?

A. 形だけでは、そうとは言えませんでした。はらみ足全体の20日後は+1.402%で、市場平均の+0.939%を上回りますが、翌日終値の勝率は45.6%と市場平均の47.0%を下回りました。差が大きく出たのは、位置が安値圏のときです。

Q. 陰のはらみは天井のサインですか?

A. そうは言えませんでした。高値圏の陰のはらみは20日後が+0.790%で、高値圏の全日平均(+0.808%)とほぼ同じです。下落を予告する形とは読めません。

Q. 十字のはらみ(寄引同事線)は転換のサインですか?

A. 高値圏に出た大陰線→十字は、翌日終値が-0.535%と弱い結果でした(2,161件と少なめです)。一方、安値圏では20日後が+2.052%でした。同じ形でも、位置で意味が変わります。

Q. 安値圏のはらみ足は買い場になりますか?

A. 安値圏のはらみ足は20日後が+2.473%と、安値圏の全日平均(+1.170%)の2.11倍でした。ただし、前日が大陰線でも内側に収まらなかった日の翌日は+3.901%で、はらみ足より高い結果です。形が結果を生んだというより、安値圏の大陰線のあとは戻りやすい、と読むのが妥当です。

Q. この結果は毎年同じですか?

A. 安値圏のはらみ足の20日後は、13年中12年で安値圏の全日平均を上回りました。ただし水準は年によって大きく違い、20日後は2018年が-0.021%、2020年が+5.213%でした。年ごとの振れは小さくありません。

8.まとめ

365,501件のはらみ足を数え直してわかったことを整理します。

  • 形そのものに優位性は乏しい。全体の20日後は+1.402%で市場平均(+0.939%)との差は+0.463ポイント、翌日終値の勝率は45.6%と平均を下回ります
  • 前日の色で差がつく。大陰線のあとの3タイプは20日後が+1.620%〜+1.958%、大陽線のあとは+0.866%〜+1.174%でした
  • 効いていたのは位置。安値圏のはらみ足は20日後+2.473%、高値圏は+0.764%でした
  • 陰のはらみは天井のサインとは読めません。高値圏の20日後は+0.790%と、全日平均(+0.808%)並みでした
  • 安値圏では、内側に収まらなかった大陰線の翌日(+3.901%)のほうが強い。はらみ足は、下げ止まりの確認になっていませんでした
  • 頑健性:上位3日への集中は1.4%と小さく、除いても安値圏の20日後は+2.354%。13年中12年で全日平均を上回りました

今回の数字が示したのは、形が結果を決めるというより、その形が出た場所と、前日の足の色が結果の大半を説明しているということでした。はらみ足を見かけたら、形に目を奪われる前に、株価が直近レンジのどこにいるのかを確認してみてください。

この記事を読んだ方におすすめ

西村剛が今買うべき最有望株を限定公開中

  • 3年連続で売買シグナルコンテスト優勝の実力
  • 日本証券アナリスト協会検定会員が厳選
  • メールアドレスだけで今すぐ確認できる
最有望株を無料で確認する

※ メールアドレスのみで登録できます。いつでも配信停止可能です。

<追伸>
「株システムトレードの教科書」の記事は、機関投資家出身・証券アナリスト検定会員の西村剛が、統計データ・システムトレード・ファンダメンタルズを融合して解説しています。
↓↓↓↓↓

毎朝届く投資情報メルマガ「西村剛の勝ち株の流儀」(無料)はこちらから登録できます。
すでに22,000名が登録中。今なら10大特典を無料プレゼント中!