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「セル・イン・メイ(5月に売れ)」「サマーラリー」「年末高」――株式市場には季節アノマリーと呼ばれる経験則が数多く存在します。しかし、これらの傾向は銘柄の規模によって大きく異なることをご存知でしょうか?

同じ「6月」でも、超大型株と超小型株では平均リターンに2倍以上の差が生まれるケースがあります。また、「投資すべきでない月」とされる4月は、すべての規模区分で平均リターンがマイナスという共通の弱点も浮かび上がります。感覚論ではなく、データが示す「規模×月の最適解」を確認することは、年間スケジュールを組み立てる上で極めて重要です。

そこで今回は、東証上場の約3,700社を時価総額の大きさで5区分に分け、過去5年(2021〜2025年)の月次リターンを月別に集計。5×12の「規模×月別ヒートマップ」を作成して、どの規模の銘柄を何月に保有すべきかをデータで明らかにします。

結論を先に述べると、4月は全規模で要注意(特に超小型は-2.15%)6月は中小型に妙味(小型+3.36%、中型+3.12%)10月は規模で明暗(超大型+1.81% vs 超小型-1.76%)といった、教科書には載っていない実戦的な傾向が見えてきました。

執筆者

西村剛
西村剛

フェアトレード株式会社 代表取締役。機関投資家出身で統計データを重視したシステムトレードに注力。2011年株-1グランドチャンピオン大会で+200.4%、2012年+160.1%、2013年157.0%を叩き出し三連覇達成。証券アナリスト検定会員。システムトレードを使った定量分析と、これまでファンドマネジャーとして培ったファンダメンタルズ分析を融合した新しい視点で株式市場を分析し、初心者でもわかりやすい言葉を使った解説に定評がある。

システムトレード

1.検証ルール

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検証対象:東証プライム・スタンダード・グロースの全銘柄(TOKYO PRO Marketは除外)
検証期間:2021年1月〜2025年12月(5年×12ヶ月=60ヶ月分)

【時価総額区分(百万円単位)】

  • 超大型:1兆円超(1,000,000百万円以上)
  • 大型:3,000億〜1兆円
  • 中型:1,000億〜3,000億円
  • 小型:500億〜1,000億円
  • 超小型:500億円未満

【月次リターン計算式】各月の最初の営業日の始値で買い、最終営業日の終値で売る場合のリターン(%)。一ヶ月以内の往復売買を想定したシミュレーション。
【集計】銘柄×月のサンプルを区分別・月別に集計し、平均・中央値・勝率(プラスで終わった月の割合)を算出

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時価総額区分は2026年5月時点の最新時価総額を基準としています。なお、本検証は「特定銘柄を1ヶ月だけ保有した場合」のリターンを集計したものであり、月ごとに毎回入れ替える売買コストは考慮していません。実戦では税金・手数料を加味してください。

2.検証結果

規模×月別 平均月次リターン ヒートマップ

※画像はクリックすると拡大してご覧いただけます

規模×月の平均リターン(5×12マトリックス)

区分\月1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
超大型+2.10%+2.27%+1.83%-0.83%+2.80%+2.03%+1.01%+2.18%-0.09%+1.81%+1.24%+0.37%
大型+1.33%+1.56%+1.76%-0.66%+1.41%+2.55%+1.80%+1.74%-0.29%+0.45%+1.34%+0.66%
中型+0.22%+1.46%+1.71%-0.74%+0.82%+3.12%+2.36%+1.95%+0.05%+0.28%+1.35%+1.41%
小型+0.44%+1.31%+1.63%-1.14%+1.57%+3.36%+2.01%+2.12%+0.07%-0.40%+1.36%+1.16%
超小型+0.65%+2.07%+1.98%-2.15%+0.71%+2.97%+0.54%+1.38%-0.91%-1.76%+0.57%-0.66%

ヒートマップで一目瞭然なのは、「4月は全規模でマイナス」「6月は全規模でプラス(特に中小型が強い)」「10月は規模で明暗が分かれる」という3つの大きなパターンです。それぞれの規模・月の特徴を順番に見ていきましょう。

規模×月の勝率

区分\月1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
超大型62.1%55.2%59.3%45.3%59.2%57.6%54.5%60.1%47.9%55.3%53.1%51.8%
大型58.6%55.0%58.6%44.8%51.4%62.0%60.2%56.6%48.1%49.0%54.4%52.6%
中型51.7%53.0%55.7%43.8%47.8%65.8%63.5%56.9%47.8%46.5%54.5%58.9%
小型51.9%53.2%55.1%39.9%49.6%64.3%60.9%54.4%47.3%45.1%53.0%55.7%
超小型53.6%54.4%53.4%32.4%46.7%60.9%49.2%47.2%39.9%34.2%49.1%44.9%

勝率(プラスで終わった月の割合)で見ても、4月は全規模で50%を割り込み、超小型に至っては32.4%まで低下しています。逆に6月は中型65.8%、小型64.3%と高勝率で、平均リターンと勝率の両面で「6月は中小型」が浮かび上がります。

全規模合算 月別パフォーマンス

全銘柄 月別平均リターン

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サンプル数平均中央値勝率
1月17,295+0.71%+0.64%54.1%
2月17,302+1.89%+0.64%54.2%
3月17,352+1.88%+0.70%54.6%
4月17,406-1.67%-1.72%36.4%
5月17,415+0.99%-0.14%48.2%
6月17,441+2.94%+1.56%61.8%
7月17,517+1.04%+0.46%53.4%
8月17,551+1.60%+0.14%50.7%
9月17,554-0.59%-0.83%42.8%
10月17,629-0.98%-1.34%39.2%
11月17,676+0.85%+0.17%50.8%
12月17,744-0.05%-0.06%48.8%

規模を問わない「市場全体」の月別パフォーマンスを見ると、勝ち月(プラス月)が9ヶ月、負け月(マイナス月)が3ヶ月。最強月は6月(平均+2.94%、勝率61.8%)、最弱月は4月(平均-1.67%、勝率36.4%)という結果です。

規模別ライン推移

規模別 月次リターン推移ライン

※画像はクリックすると拡大してご覧いただけます

規模別の月次推移を線グラフで見ると、1月・3月・5月は超大型優位、6月は小型優位、10月は超大型と超小型が逆方向に動くといった、規模間の「ねじれ」が明確に確認できます。

3.月別の詳細分析

規模×月のマトリックスを「月の視点」で深掘りしていきます。実戦では「今月は何を買うべきか」という形でこのデータを活用できます。

1月:超大型優位の新年スタート

1月は超大型+2.10%(勝率62.1%)が最も強く、規模が小さくなるほどリターンが低下します。新年スタートは機関投資家のリバランス買いで指数寄与度の高い超大型に資金が集中しやすい時期です。

2月:中小型に資金循環

2月は超小型+2.07%が最強。1月の超大型上昇を受けて、相対的に出遅れた中小型に資金が回ってくる「資金循環」の効果が表れます。

3月:決算期待で全規模プラス

3月は全規模で+1.6〜2.0%程度のプラスと安定。3月決算企業の業績期待、株主優待・配当狙い、年度末の機関リバランス買いなど、複数要因がプラスに働く好月です。

4月:全規模マイナスの「鬼門月」

4月は全規模で平均マイナス。特に超小型-2.15%(勝率32.4%)と急落します。3月末で配当・優待権利落ちが発生し、新年度入りで業績ガイダンス警戒、新NISA枠を使い切った個人の手仕舞いなど、複数の売り材料が重なる月です。

5月:超大型と超小型が回復

5月は超大型+2.80%、小型+1.57%と回復基調。「セル・イン・メイ」と言われる米国市場とは逆に、日本では5月決算発表後の見直し買いが入りやすい月です。

6月:中小型が最強の「アノマリー月」

6月は中型+3.12%(勝率65.8%)、小型+3.36%(勝率64.3%)と中小型が圧勝。配当再投資、機関投資家の四半期末ドレッシング、夏のサマーラリー助走など、中小型に好材料が重なります。

7月:中小型続伸

7月は中型+2.36%、大型+1.80%と続伸。第1四半期決算発表前のポジション構築が活発化する時期です。

8月:超大型と中型が安定

8月は超大型+2.18%、中型+1.95%と安定。お盆休みで出来高は細るものの、好決算企業への買いが入ります。

9月:全規模で停滞、特に超小型に注意

9月は超小型-0.91%、超大型-0.09%と全規模で停滞。中間配当・優待権利落ち、9月決算企業のガイダンス警戒など、ネガティブ材料が重なります。

10月:超大型と超小型で明暗

10月は超大型+1.81% vs 超小型-1.76%と規模間の「ねじれ」が最も顕著。海外マネーが大型株に流入する一方、決算前の見送りで小型は売られやすい時期です。

11月:中小型に資金回帰

11月は小型+1.36%、中型+1.35%と中小型に資金が戻ります。決算ピークを通過し、好決算銘柄の見直し買いが入る時期です。

12月:中型が年末高、超小型は売られやすい

12月は中型+1.41%が最強。年末のドレッシング買いとサンタクロースラリーで、中型が引き上げられます。一方で超小型-0.66%は税金売り(損出しクロス)の影響で売られやすい月です。

4.なぜ規模×月でリターンに差が生まれるのか

同じ月でも規模によってリターンに大差が生じる背景には、需給構造とマネーの性質の違いがあります。

(1) 海外機関マネーは大型一極集中

海外機関投資家の日本株買いは時価総額上位100銘柄に集中します。1月のリバランス買い、5月の四半期末リバランス、10月の決算期見越し買いなど、機関マネーの動きが入る月は超大型優位になります。

(2) 個人マネーは中小型・新興株に流れやすい

個人投資家の取引は中小型・新興株が中心。配当・優待権利取りや、決算後の値動きを狙う短期売買が多く、6月・11月など決算端境期に中小型のリターンが上昇する傾向があります。

(3) 決算月・優待月の影響

3月決算企業(東証の約60%)は3月権利落ち→4月警戒→5月決算発表→6月通過後リバウンドというサイクルを描きます。9月決算・12月決算企業もそれぞれの月で同様のリズムを刻むため、月別パターンが生まれます。

(4) 税金売り・損出しクロス

12月後半は個人投資家の損出しクロス(含み損銘柄を年末売却→年明け買戻し)が集中します。特に超小型・新興株は売られやすく、12月の超小型パフォーマンスを押し下げる要因になっています。

(5) NISA枠とリスクオンの心理

新NISAの年間投資枠(成長投資枠240万円)は1月リセットされるため、1月は新規買いが集中、4月は枠の半分消化で買い余力減という心理サイクルがあります。大型ETF・大型個別株がNISAで選好されるため、1月は超大型優位の傾向がより強くなる構造です。

5.実践のポイント:規模×月の組み合わせ戦略

本検証で明らかになった傾向を、実際の投資スケジュールに落とし込んでいきます。

(1) 「鬼門の4月」は買い増しを控える

4月は全規模でマイナスが平均値で、特に超小型は-2.15%と急落します。4月は新規買いを控え、3月末までに買い場を作っておくのが基本戦略です。どうしても4月に投資するなら、相対的にマイナス幅が小さい超大型・大型に絞るべきでしょう。

(2) 「6月の中小型」を狙う

6月は中型+3.12%、小型+3.36%と中小型が圧勝。5月後半から6月にかけて中小型のポジションを増やし、7月後半に利益確定するスイングトレード戦略が有効です。

(3) 「秋の超大型」を仕込む

10月は超大型+1.81% vs 超小型-1.76%と規模差が最大です。9月末〜10月前半に超大型ETFまたは超大型個別株を仕込み、11〜12月の上昇を狙う戦略が有効です。新NISAのコア部分の積み増しに最適な時期と言えるでしょう。

(4) 「1月の超大型」を年初にセット

新年スタートは超大型+2.10%、勝率62.1%。12月後半に超大型を仕込み、1月の機関リバランス買いに乗るのは再現性の高い戦略です。

(5) 「12月の超小型」は損出しタイミング

12月は超小型-0.66%と売られやすい月。逆に言えば、含み損の超小型を12月に損切りクロスで税金圧縮し、1〜2月のリバウンドで買い戻すという節税×タイミング戦略が効果的です。

(6) 月別×規模で年間ポートフォリオ配分を変える

静的な等配分ではなく、各月の規模優位性に応じて月単位でリバランスするアプローチも有効です。例:1月=超大型70/中小型30、6月=超大型30/中小型70、10月=超大型70/中小型30、12月=超大型60/中型40――といった季節調整型ポートフォリオです。

6.注意すべきリスクと落とし穴

季節アノマリーは「過去5年の傾向」であり、将来も同じパターンが続く保証はありません。実戦で活用する際の注意点を整理します。

(1) 個別銘柄リスクは規模×月では消えない

「6月の小型は強い」という統計があっても、個別銘柄が業績悪化や不祥事で急落するリスクは別問題です。アノマリーは「インデックスやバスケット買い」で初めて再現性を持つもので、1〜2銘柄に集中するとアノマリーの効果が出ない可能性が高まります。

(2) サンプル数は5年×12ヶ月=60ヶ月

本検証のサンプルは2021〜2025年の60ヶ月分です。コロナショック・ウクライナ戦争・利上げサイクル・新NISA開始など特殊要因が含まれた期間で、より長期のデータ(10年・20年)では異なる傾向が出る可能性があります。

(3) 月跨ぎの売買コスト

毎月リバランスする戦略は売買手数料・スプレッド・税金(特定口座源泉徴収あり)のコストが累積します。本検証はコスト控除前の数値であり、実戦では年率2〜3%のコストドラッグを織り込む必要があります。

(4) 規模区分の流動性

超小型(500億円未満)の銘柄は1日の出来高が小さく、まとまった金額の売買では成行が滑るリスクがあります。アノマリーが正しくても、流動性の問題で計画通りの売買ができないケースがあるため注意が必要です。

(5) マクロ環境変化への耐性

本検証は「金融緩和→ガバナンス改革→新NISA→海外マネー流入」という追い風局面のデータです。金融引き締め・円高・景気後退局面では、月別パターンが大きく変わる可能性があります。マクロ環境の節目では、アノマリーへの依存度を下げる柔軟性が必要です。

7.他のアノマリーとの組み合わせ

規模×月別アノマリーは単独でも有用ですが、他の検証結果と組み合わせることでより精度が高まります。

(1) セクター月別アノマリーとの組み合わせ

本サイト別記事「セクター月別アノマリー(東証33業種ヒートマップ)」と組み合わせれば、「6月の中型×内需セクター」「10月の超大型×銀行・商社」といった二段構えの銘柄選定が可能になります。

(2) 月内営業日順位アノマリー

月初・月末アノマリー(月内営業日順位別)」と組み合わせれば、「6月の中型を、月初3営業日で仕込む」といった月内のタイミング最適化ができます。

(3) 月×曜日クロス分析

月×曜日クロス分析」と組み合わせれば、「6月の月曜日は中型小型を仕込む、10月の金曜日は超大型を保有」など、さらに細かい売買タイミング設計も可能です。

(4) 業種×規模ヒートマップ

業種×規模ヒートマップ」と本記事を組み合わせれば、「強い月×強い業種×強い規模」の三重フィルターで高勝率銘柄を絞り込めます。

8.まとめ:「規模×月」のマトリックスで年間スケジュールを最適化

過去5年・約3,700社・60ヶ月分のデータ検証から、時価総額の規模によって月別パフォーマンスに明確な差が観測されました。主な傾向をまとめると以下の通りです。

  • 1月:超大型優位(+2.10%、勝率62.1%)
  • 3月:全規模プラス(決算期待で安定)
  • 4月:全規模マイナス(特に超小型-2.15%)
  • 6月:中小型最強(中型+3.12%、小型+3.36%)
  • 10月:規模間ねじれ(超大型+1.81% vs 超小型-1.76%)
  • 12月:中型優位/超小型は損出し売り

これらの傾向を活用した実戦的なポイントは以下の通りです。

  1. 4月は新規買いを控える(特に超小型は要注意)
  2. 6月の中小型を5月後半に仕込むスイングトレード
  3. 10月の超大型を9月末に仕込む大型コア戦略
  4. 12月後半の超小型を1月リバウンド狙いで逆張り(節税併用)
  5. セクター・業種・曜日アノマリーと組み合わせて精度を高める
  6. マクロ環境の変化に応じて柔軟に調整する

株式投資は「銘柄選び」だけでなく「いつ・どの規模を持つか」も重要な意思決定です。本検証の「規模×月マトリックス」は、年間スケジュールを組み立てる上での強力な指針となります。4月の警戒、6月の中小型、10月の超大型――この3つを意識するだけでも、年間リターンに大きな差が生まれるはずです。

本サイトでは他にも、時価総額別パフォーマンスセクター月別アノマリー月初・月末アノマリー月×曜日クロス分析など、関連するバックテスト記事を多数公開しています。組み合わせて読むことで、より立体的な投資戦略を構築できるでしょう。

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<追伸>
「株システムトレードの教科書」の記事は、機関投資家出身・証券アナリスト検定会員の西村剛が、統計データ・システムトレード・ファンダメンタルズを融合して解説しています。
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