日本株

1.システムトレードにおけるブレイクアウト戦略とは?

本日は、前回の続きで「順張り戦略」の分析をより深く検証していきましょう。

前回は、「120日ブレイクアウト」について検証しました。

そこで、今回は「60日ブレイクアウト」について検証していきます。

前回は「120日間(=約半年)の高値を更新」でしたが、
今回は「60日間(=2か月半)の高値を更新」です。

高値更新の期間を変えることで、検証結果にどのような変化が出るでしょうか。

では、さっそく検証を実践していきましょう!
まずはじめに検証条件を確認していきましょう。

執筆者

田村 祐一
田村 祐一

フェアトレード株式会社所属。調査本部アナリスト。統計データを重視したシステムトレードとファンダメンタルを組み合わせて銘柄分析を行う。株主優待先回り買い等の「イベント投資」にも注力。


2.ブレイクアウト戦略の有効性

検証条件は、以下の通りです。

ⅰ.ルール詳細(60日ブレイクアウト戦略)

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検証対象:全銘柄
検証期間:2000/01/01~2020/09/30 
1銘柄当たりの投資金額:20万円

【買い条件】 ・60日間の高値を更新した銘柄を買い付け

【売り条件】 ・30日間の安値を更新した時に手仕舞い ==========================================================

上記が、今回の検証条件です。

「順張り戦略」の中でも「60日ブレイクアウト」と呼ばれる戦略です。
60日間の高値を更新した銘柄を買い付け、 30日間の安値を更新するまでは手仕舞いしません。

以下に、このトレードのイメージをご紹介します。 ブレイクアウト 上記が、「順張りトレード」のイメージです。

青線のタイミングで60日間の高値を更新しました。
その後株価は上昇を続け、赤線のタイミングで 30日間の安値を更新し、手仕舞いしています。

株価が上昇している限りは手仕舞いしませんので、 大きな利益となる期待が持てるでしょう。

では、上記条件で検証した場合に、どのような検証結果になるでしょうか。

ⅱ.検証結果(60日ブレイクアウト戦略)

検証結果は、以下の通りです。

【検証結果】60日ブレイクアウト

勝率: 38.38 %
勝ち数: 36,908 回
負け数: 59,250 回
引き分け数: 776 回

平均損益(円):  7,191  円   平均損益(率): 3.60%
平均利益(円):  52,657円   平均利益(率):  26.33%
平均損失(円): -21,036円   平均損失(率):  -10.52%

合計損益(円):  697,061,097円   合計損益(率):  348,525.22%
合計利益(円):  1,943,446,614円  合計利益(率):  971,732.08%
合計損失(円):  -1,246,385,517円   合計損失(率):  -623,206.86%

プロフィット・ファクター(総利益÷総損失): 1.559
平均保持日数: 103.20日


ⅲ.検証結果(120日ブレイクアウト戦略)

上記が、「60日ブレイクアウト」の検証結果です。
「120日ブレイクアウトの検証結果」と比較することで 何か見えてくるかもしれません。

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【120日ブレイクアウト】

勝率: 38.14 %
勝ち数: 19,699 回
負け数: 31,950 回
引き分け数: 300 回

平均損益(円): 14,291 円  平均損益(率):7.15 %
平均利益(円): 83,319 円  平均利益(率): 41.66 %
平均損失(円): -28,134 円   平均損失(率): -14.07 %

合計損益(円): 742,412,922 円   合計損益(率): 371,203.60 %
合計利益(円): 1,641,302,340 円  合計利益(率): 820,655.90 %
合計損失(円): -898,889,418 円 合計損失(率): -449,452.31 %

プロフィット・ファクター(総利益÷総損失): 1.826
平均保持日数: 190.05 日


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「120日ブレイクアウト」の成績と比較すると、勝率は改善していますが、平均損益」・「合計損益は悪化しています。
平均保持日数(買ってから手仕舞いまでの期間)は、「190日」から「103日」まで短縮しています。

結果的に、実際のトレードを行う場合には、「60日」よりも「120日」のほうがトレードしやすそうですね。

■追伸

「60日ブレイクアウト」は「120日ブレイクアウト」と比較すると、以下のようなことがわかります。

【改善項目】 勝率・トレード回数

【悪化項目】 平均損益・合計損益

株式投資においては、上記4つはとても密接な関係があります。

「勝率」
を求めると、
「トレード回数」「平均損益」「合計損益」は減少しやすいです。

「平均損益」
を追及すると、
「勝率」「トレード回数」は悪化する傾向があります。

一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという状態・関係のことを「トレードオフ」といいます。

よく株式投資で失敗する人の多くは、
「トレード回数」を重視する人が多いです。
毎日何らかの銘柄を売買したいという気持ちがそうさせるのです。

その結果、不用意なタイミングで売買を行い、「勝率」と「平均損益」を犠牲にしてしまうのです。
トレードって、実は毎日する必要はないですよね。
だって、株式投資で儲けたいならば、 利益がでるタイミングだけトレードすればいいのですから。
それが出来ない多くの投資家が、 株式投資の世界から去っていくのでしょう。

株式投資では、上記3つが常に三すくみの状態です。勝率も高く、平均損益も高く、トレード回数(チャンス)も 多い投資法というものは、存在しません。(と私は思っています。)

あなたが株式投資を行う場合には、自分がどれを重視するかを考える必要があるでしょう。

<追伸>
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