日本株

株式市場で長年トレードを継続していると、ヤバイと感じる相場に遭遇することが稀にあります。

この日経平均株価がヤバイ状態は、事前に予測されてくるものではなく、突然、何の前触れもなくいきなり現れます。

まさに急転直下と言えるでしょう。

「日経平均株価がヤバイ」とは、日本株市場全体が暴落していることを表していますが、ヤバイ状態に遭遇したときに、どのように対処すべきかを知っているか、そうではないかでは、その後のパフォーマンスに大きな差が出ます。

そこで、今回は、日経平均がヤバイときの対処法を紹介します。

執筆者

西村剛
西村剛

フェアトレード株式会社 代表取締役。機関投資家出身で統計データを重視したシステムトレードに注力。2011年株-1グランドチャンピオン大会で+200.4%、2012年+160.1%、2013年157.0%を叩き出し三連覇達成。証券アナリスト検定会員。システムトレードを使った定量分析と、これまでファンドマネジャーとして培ったファンダメンタルズ分析を融合した新しい視点で株式市場を分析し、初心者でもわかりやすい言葉を使った解説に定評がある。



システムトレード

日経平均がやばい時の対処法とは?動画で解説!



※動画が見られない方は 日経平均がやばい時の対処法とは?【過去21年の検証結果を公開】 をご覧ください。

1.日経平均が暴落するのは年間どれくらいか?

「日経平均がヤバイ状態=暴落ですが、そもそも日経平均はどれくらいの頻度で暴落するのでしょうか。

そこで、今回は過去の株価のデータ21年間分を分析して、日経平均の暴落の頻度について調べてみました。

日経平均株価が前日終値と比較して「2%安」「4%安」「6%安」「10%安」した過去の回数について、分析しました。

それぞれの回数は、以下の通りです。

2%安」の回数:169回

4%安」の回数:35回

6%安」の回数:10回

10%安」の回数:2回

 

2%を記録した回数は、【169回】でした。
単純に「169回÷21年」で計算すると、1年で約8回発生しており、おおよそ1ヶ月半で1回発生するようなイメージですね。

この程度であれば、頻繁に発生する下落幅ですので、ヤバイとは言えない下落幅でしょう。

次に、4%を記録した回数は、【35回】でした。
単純に「35回÷21年」で計算すると、1年で約1.66回発生していることになります。
おおよそ半年に1回発生するようなイメージですね。

半年に1回規模の下落幅は、少しヤバイと言えそうです。

そして、6%を記録した回数は過去21年の相場で、わずか【10回】です。
2年に1度発生する程度であることから、日経平均株価が6%も下落するということが、どれほどヤバイ状況であるか分かるでしょう。

そして、最後に10%を記録した回数は、わずか【2回】のみです。

この2回とは、「リーマンショック(2008年10月)」「東日本大震災(2011年3月)」です。

株式投資を行っていない方でも知っている暴落であり、まさに「ヤバイ」状況と言えるでしょう。

過去のデータから、日経平均の下落回数を調べましたが、「ヤバイ」と言える状況は、日経平均が4%以上、指数が下落した場合と言えそうです。

2.日経平均がやばいときに取るべき対処法

では、日経平均がヤバイ時にどのように対処すればよいでしょうか。

日経平均がヤバイ時の対処法は大きく分けると2通りあります。

「守りの対処方法」「攻めの対処方法」です。

ⅰ.守りの対処方法

「守りの対処方法」とは、保有している株式をすべて手仕舞いして、日経平均がヤバイ状態からいち早く回避する方法です。

株式市場で一度暴落が発生すると、上場しているほとんどの銘柄の株価も当然急落します。

どれくらい下落が続くかは誰にも分からず、リーマンショック級の暴落が発生すれば、市場全体が30%を超えて下落することもあります。

レバレッジをかけている投資家の中には、追証が発生し、強制退場となるリスクもあります。

そのようなヤバイ相場だからこそ、一旦保有している株式を手仕舞いして、これ以上損失が膨らまないようにリスク回避すべきでしょう。

暴落初期の早い段階で手仕舞いすることで、損失は最小限に抑えることが出来、ヤバイ相場から逃げることが出来ます。

暴落している相場では、どんなに優良な銘柄であっても、株価は下がり続け、大きな損失を被るリスクが高いです。

そこで、保有している銘柄をすべて一律手仕舞いすることで、不用意に損失を被る危険を回避できるでしょう。
一度保有している銘柄を手仕舞いしてしまえば、どんなにヤバイ相場となっても、自分だけは安心してみておくことが出来ます。

「守りの対処方法」は、「保有している銘柄をすべて一律手仕舞い」です。

保有している銘柄を手仕舞いすることは、「逃げる」といった悪い印象を抱く方もいます。

しかし、株式市場で長年勝ち続けている投資家ほど、逃げ足は速く、ヤバイと感じたらすぐに逃げます。
ヤバイと感じたらすぐ逃げるという手法は、ぜひ株式投資初心者の方には身につけていただきたい手法です。

ⅱ.攻めの対処方法

株式市場が暴落しているヤバイタイミングは、大きな損失を被るリスクの高い相場ですが、その一方で、大きな利益を掴むことができる絶好のトレードチャンスとしても知られています。

株式市場が暴落して、ピークを迎えた後は、多くの銘柄の株価が反発します。

仮に、暴落のピーク付近で銘柄を買い付けし、その後の反発を掴むことが出来れば大きな利益を得られるでしょう。

このように、株式市場の暴落を狙ってトレードする手法を、「逆張り投資」と言います。

今回は、株式市場の暴落時に使える逆張り戦略をご紹介しいます。

ⅲ.ルール詳細(市場全体の株価の暴落を狙う逆張り戦略)

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検証対象:全銘柄
検証期間:2000/01/01~2020/12/31
1銘柄当たりの投資金額:20万円

【買い条件】
「終値と移動平均(25日)の乖離率が-25%以下」となった銘柄が全上場銘柄の中で300銘柄以上ある日に、「終値と移動平均(25日)の乖離率が-25%以下」となった銘柄を、翌日に成行買い

【売り条件】
含み益が10%以上 または、
仕掛けた日から25日以上が経過

上記2つのどちらの条件を満たした翌日に成行売り
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上記が、市場全体の株価の暴落を狙う逆張り戦略の詳細です。

「終値と移動平均(25日)の乖離率が-25%以下」となった銘柄は、短期的に株価が暴落していることを表しています。

これを満たす銘柄が、全上場銘柄(約3700社)のうち、300銘柄を超えている状況は、異常な相場です。

まさに、市場全体の株価が暴落していると言えます。

暴落銘柄が300銘柄を超えている日に、暴落している銘柄を買い付けします。

また、手仕舞いの条件には、「含み益が10%以上」または、「仕掛けた日から25日以上が経過」と設定しました。

ある程度利益が出た場合か、ある程度日にちが経ったら強制的に手仕舞いします。

この条件でトレードした場合に、過去21年の成績がどうなったかを以下でご紹介します。

仮に、勝率が高く、1トレードあたりの平均損益がプラスならば、市場全体の株価が暴落したタイミングは買いのチャンスと言えるでしょう。

では、上記の条件で過去の株価データでトレードした場合に、どのような検証結果になるでしょうか。分析結果は以下をご覧下さい。


ⅳ.検証結果(市場全体の株価の暴落が買いのチャンスか?)

 勝率: 83.88 %
 勝ち数: 7,686 回
 負け数: 1,477 回
 引き分け数: 114 回

 平均損益(円): 20,381 円  平均損益(率): 10.19 %
 平均利益(円): 30,366 円  平均利益(率): 15.18 %
 平均損失(円): -30,009 円  平均損失(率): -15.00 %

 合計損益(円): 189,070,083 円  合計損益(率): 94,536.42 %
 合計利益(円): 233,393,852 円  合計利益(率): 116,698.65 %
 合計損失(円): -44,323,769 円  合計損失(率): -22,162.23 %

 PF: 5.266
 平均保持日数: 11.15 日

以上が、分析結果です。
分析結果を見てみると、勝率は+83.38%平均損益は+10.19%です。

勝率が8割を超え、平均損益も10%を超える大きなプラスです。
勝率と平均損益ともに非常に良好な成績であることから、優秀な逆張り戦略であると判断できるでしょう。

市場全体の株価の暴落と聞くと、怖い印象を抱きがちですが、戦略次第では、利益を掴むチャンスに変えることが出来そうです。

3.まとめ

日経平均がヤバイ状況は、多くの投資家が損失を被り、中には退場者も発生する本当にヤバイ状況です。

しかし、事前に対処法をしっかりと理解していれば仮にやばい状況が発生しても、焦らずに対処できます。

今回ご紹介した「守りの対処方法」をしっかり実践できれば、ヤバイ相場でも、不用意な損失を回避することが出来ます。

また、「攻めの対処方法」を実践すれば、多くの投資家が損失を被る相場でも、利益を上げる期待も持てます。

ぜひ、今回の分析を活用いただき、あなたのレードに役立ててみてはいかがでしょうか。

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