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「債券に興味はあるけれど、株式のようにどこで買えばいいのかわからない」という声をよく耳にします。

結論から言うと、債券の買い方には株式とは異なる独特の作法があります。証券会社の取引画面で株式と同じように売買できる銘柄もあれば、募集期間中にしか申し込めない商品、銀行の窓口が中心になる商品もあり、種類によって購入できる場所も手順もまったく違います

この記事では、投資未経験・初心者の方に向けて、債券をどこで買えるのか、新発債と既発債の違い、証券会社での具体的な購入手順、購入時にチェックすべき項目、そして購入後に押さえておきたい注意点までを順を追って解説します。

1.債券を購入できる場所――証券会社・銀行・ゆうちょ銀行の違い

債券は株式と違い、複数の窓口で購入できます。ただし、窓口によって取り扱う債券の種類や品揃えが異なるため、まずは主な購入窓口の特徴を押さえておきましょう。

1-1.証券会社――取扱銘柄数が最も豊富

証券会社は、国債・地方債・社債・外国債券まで、最も幅広い種類の債券を取り扱う窓口です。ネット証券であれば取引画面から残存期間や利率を比較しながら選べる場合が多く、債券投資の選択肢を広く見たいなら証券会社が基本の窓口になります。ただし、証券会社によって取扱銘柄や在庫状況は異なり、常にすべての銘柄が購入できるわけではありません。

1-2.銀行・ゆうちょ銀行――個人向け国債の取り扱いが中心

銀行やゆうちょ銀行の窓口でも債券は購入できますが、その多くは個人向け国債や、その金融機関が取り扱う一部の商品に限られます。ふだん利用している金融機関の窓口で相談できる安心感がある一方、証券会社に比べると選べる銘柄の種類は少なくなる傾向があります。

1-3.証券会社と銀行、どちらを選ぶべきか

個人向け国債だけを検討しているなら、普段使っている銀行やゆうちょ銀行の窓口でも十分に購入できます。一方、社債や外国債券、既発債にも選択肢を広げたい場合は、証券会社に口座を開設したほうが商品の幅が広がります。まず何を買いたいかを決めてから、窓口を選ぶという順序で考えると迷いにくくなります。

2.新発債と既発債の違いと買い方の違い

債券には大きく分けて「新発債」と「既発債」という2つの区分があります。どちらに分類されるかによって、購入できるタイミングや価格の決まり方が変わるため、まず違いを理解しておきましょう。

2-1.新発債とは――発行時に募集される債券

新発債とは、これから新しく発行される債券のことです。証券会社や銀行があらかじめ募集期間を設け、その期間内に申し込むことで、発行時に決められた利率・発行価格で購入できます。個人向け国債や新規発行の社債などがこれにあたります。募集期間を過ぎると、その回号を新発債として購入することはできなくなります。

2-2.既発債とは――流通市場で売買される債券

既発債とは、すでに発行され、投資家の間で売買されている債券のことです。証券会社を通じて、株式と同じようにその時々の市場価格(時価)で売買します。既発債の価格は、金利水準や発行体の信用力の変化に応じて日々変動するため、額面より高い価格(オーバーパー)で購入することも、低い価格(アンダーパー)で購入することもあります。

2-3.初心者はどちらから検討するとよいか

新発債は発行時の条件がそのまま適用されるため価格の仕組みがわかりやすく、初心者にも比較的とっつきやすいのが特徴です。既発債は銘柄数が多く選択肢が広い一方、経過利子の精算や価格変動の理解が必要になるため、まずは新発債、特に個人向け国債から検討を始めるのも無理のない進め方の一つです。

比較項目新発債既発債
購入できるタイミング発行体が定める募集期間中のみ市場が開いている間はいつでも(在庫がある場合)
購入価格原則として額面(発行価格)その時点の市場価格(時価)
利率発行時に表面利率が確定表面利率は発行時のまま変わらないが、購入価格により実質利回りは変動
経過利子の精算原則不要必要(前回利払い日からの利子相当分を上乗せして支払う)
主な購入先証券会社・銀行等の募集窓口証券会社の流通市場(店頭取引)

3.証券会社で債券を買う具体的な手順――口座開設から約定まで

証券会社で債券を購入する場合、大まかな流れは次の4ステップです。

  1. 証券総合口座を開設する
  2. 購入したい銘柄を選ぶ
  3. 注文を出す
  4. 約定・受け渡しを確認する

それぞれの手順を詳しく見ていきましょう。

3-1.証券総合口座を開設する

債券を購入するには、まず証券会社に総合口座を開設する必要があります。口座開設はオンラインで申し込め、本人確認書類の提出後、数営業日程度で取引が可能になるのが一般的です。株式投資と同じ口座で債券も取引できる証券会社がほとんどのため、すでに株式用の口座を持っている場合は、新たに口座を作る必要はありません

3-2.購入したい銘柄を選ぶ

口座開設後は、証券会社の取引サイトやアプリで取り扱っている債券の一覧から銘柄を選びます。新発債であれば「募集中」の商品一覧、既発債であれば「債券取扱一覧」といったメニューから、利率・残存期間・価格などを比較して検討します。証券会社によって取扱銘柄や在庫は異なるため、複数の証券会社の取扱状況を見比べてみるのも一つの方法です。

3-3.注文を出す

購入する銘柄が決まったら、購入金額(または口数)を指定して注文します。新発債の場合は募集期間中に申込みを行い、人気の高い銘柄では先着順や抽選で配分されることもあります。既発債の場合は、株式の注文と同様に、購入したい価格や金額を入力して注文を出します。注文確定前の画面は必ず見直し、利率や価格の見間違いがないかを確認してから発注しましょう。

3-4.約定・受け渡しを確認する

注文が成立すると「約定」となり、数営業日後に代金の受け渡しが行われ、証券口座の保有商品として債券が反映されます。新発債の場合は発行日が受け渡し日となるのが一般的です。約定後は、取引報告書や取引履歴で購入価格・数量・利率・受渡日を必ず確認しておきましょう。

4.購入時に確認すべき項目――利率・残存期間・格付け・購入単位・手数料

債券を購入する前には、最低限確認しておきたい項目がいくつかあります。ここでは代表的な5つの項目を解説します。

4-1.利率――表面利率と利回りは別物

債券には、額面に対して毎年支払われる利息の割合を示す「表面利率(クーポンレート)」があります。ただし、既発債を額面と異なる価格で購入した場合、実質的なリターンを示す「利回り」は表面利率とは異なる数値になります。表面利率だけでなく、購入価格を踏まえた利回りを確認することが重要です。

4-2.残存期間――満期までの長さ

残存期間とは、購入時点から満期償還までの残り年数のことです。一般的に残存期間が長いほど、金利変動に対する価格の振れ幅は大きくなりやすいとされています。自分がその資金をいつまで使わないかを踏まえて、無理のない残存期間の銘柄を選ぶことが大切です。

4-3.格付け――発行体の信用力の目安

格付けとは、格付け会社(S&P、Moody’s、格付投資情報センター〈R&I〉、日本格付研究所〈JCR〉など)が発行体の財務状況等をもとに評価する、債券の信用力を示す指標です。格付けが低いほど一般的に利率は高く設定されやすい一方、発行体が利払いや償還を行えなくなるリスク(デフォルトリスク)も相対的に高くなるとされています。格付けが高いからといって絶対に安全というわけではない点にも注意が必要です。

4-4.購入単位――最低いくらから買えるか

債券は銘柄によって最低購入単位が異なります。個人向け国債は1万円単位で購入できますが、社債や外国債券は10万円単位、100万円単位など、まとまった資金が必要になる銘柄も少なくありません。自分の予算で購入できる単位かどうかを事前に確認しましょう。

4-5.手数料――売買コストの有無

債券の売買では、株式のような明示的な売買手数料がかからない銘柄が多い一方、証券会社が提示する購入価格にコストがあらかじめ含まれている場合があります。複数の証券会社で同じ銘柄の提示価格を比較すると、実質的なコストの違いに気づきやすくなります。

確認項目確認するポイント
利率表面利率だけでなく、購入価格を踏まえた実質利回りを確認する
残存期間満期までの年数。長いほど価格変動が大きくなりやすい
格付け発行体の信用力の目安。低いほど利率は高くなりやすい
購入単位最低いくらから買えるか。銘柄により1万円〜100万円単位まで幅がある
手数料明示的な手数料の有無、提示価格に含まれるコストの水準

5.個人向け国債の買い方の特徴――発行月ごとの募集と1万円からの購入

数ある債券の中でも、個人向け国債は初心者が最初に検討する商品として紹介されることが多い商品です。ここでは、個人向け国債特有の買い方を確認しておきましょう。

5-1.個人向け国債とは

個人向け国債は、国が個人投資家向けに発行する国債です。額面に対する元利金の支払いを国が行う債券で、通常の中途換金ルールに沿えば元本割れしない仕組みになっている点が大きな特徴です。この仕組みは発行体である国の信用力を前提としたものであり、他の社債や外国債券とは性格が異なる点は理解しておきましょう。

5-2.毎月発行される3つのタイプ

個人向け国債には「変動10年」「固定5年」「固定3年」の3タイプがあり、原則として毎月、募集が行われます。株式のように「いつでも新規に買える」わけではなく、証券会社や銀行が定める募集期間内に申し込む必要がある点が特徴です。

5-3.最低1万円から1万円単位で購入できる仕組み

個人向け国債は最低1万円から、1万円単位で購入できるように設計されています。社債や外国債券のようにまとまった資金を用意する必要がなく、少額から債券投資を始めたい初心者にとって取り組みやすい仕組みといえます。

5-4.購入の流れ

個人向け国債は、証券会社・銀行・ゆうちょ銀行など、取り扱いのある金融機関の窓口やオンライン取引で申し込みます。募集期間中に金額を指定して申し込み、発行日に購入代金が引き落とされ、発行日をもって保有が始まる、という流れが一般的です。申込締切日は発行日の少し前に設定されているため、余裕を持って手続きすることをおすすめします。

6.購入後の注意点――利払い・満期償還・中途換金のルール

債券は購入して終わりではありません。保有中から満期を迎えるまでの流れも理解しておきましょう。

6-1.利払いのタイミング

多くの債券は、年1〜2回など、あらかじめ定められた時期に利子が支払われます。証券口座に自動的に入金されるのが一般的ですが、銘柄によって利払い月や回数が異なるため、保有前に確認しておくと資金計画が立てやすくなります。

6-2.満期償還

債券には満期日が設定されており、満期を迎えると額面金額が償還されます。満期償還を迎えれば、原則として発行体が破綻していない限り額面通りの金額が戻ってきますが、これは発行体の信用力に依存するものであり、絶対に元本が戻る保証があるわけではありません。特に社債や外国債券では、発行体の財務状況を保有中も定期的に確認しておくことが望ましいでしょう。

6-3.中途換金のルール

満期を待たずに現金化したい場合、個人向け国債は発行から原則1年経過後であれば、額面金額から直近2回分の利子相当額が差し引かれる形で中途換金ができます。既発債として売却する場合は、その時点の市場価格での売却となるため、購入時より価格が下がっていれば元本割れとなる可能性があります。中途換金のルールは商品によって異なるため、購入前に確認しておくことが大切です。

6-4.保有中に確認しておきたいこと

保有中は、発行体の格付けの変化や決算情報など、信用力に関わる情報にも目を配っておくとよいでしょう。「債券は買ったら放置でよい」というものではなく、満期までの間、最低限の情報確認を続ける姿勢が望まれます。

7.よくある質問(FAQ)

Q. 債券はどこで買うのが初心者におすすめですか?

A. 個人向け国債であれば、普段利用している銀行やゆうちょ銀行の窓口でも購入できます。証券会社であれば個人向け国債に加えて社債や既発債まで幅広く比較できるため、選択肢を広げたい場合は証券総合口座の開設を検討するとよいでしょう。

Q. 債券は少額からでも購入できますか?

A. 個人向け国債であれば最低1万円から1万円単位で購入できます。社債や外国債券は銘柄によって10万円単位・100万円単位など、まとまった資金が必要になる場合があります。

Q. 新発債と既発債はどちらを買うべきですか?

A. どちらが優れているというものではなく、目的によって選び方が変わります。価格の仕組みが比較的わかりやすい新発債から始め、慣れてきたら選択肢の広い既発債も検討するという進め方が、無理のない一例です。

Q. 債券に元本割れのリスクはありますか?

A. 個人向け国債は通常の中途換金ルールに沿えば元本割れしない仕組みになっていますが、社債・外国債券・既発債は市場価格や発行体の信用力の変化によって元本割れする可能性があります。購入前に商品ごとのリスクを必ず確認してください。

8.まとめ――債券の買い方は商品ごとの違いを理解することから

  • 債券は証券会社・銀行・ゆうちょ銀行など、購入窓口によって取扱商品や品揃えが異なる
  • 新発債は募集期間中に決まった条件で購入でき、既発債は市場価格で随時売買される
  • 証券会社での購入は「口座開設→銘柄選定→注文→約定」という流れで進む
  • 購入前には利率・残存期間・格付け・購入単位・手数料を必ず確認しておく
  • 個人向け国債以外の債券には元本割れのリスクがあり、利払い・満期償還・中途換金のルールも商品ごとに異なる

債券は株式と違い、「どの窓口で」「どの区分の銘柄を」「どの手順で」買うかによって注意点が変わる金融商品です。まずは個人向け国債のような仕組みがわかりやすい商品から始め、購入時に確認すべき項目を一つずつ押さえていくことで、無理のない範囲で債券投資への理解を深めていくことができます。

この記事で紹介した内容はあくまで一般的な仕組みの解説であり、特定の銘柄や証券会社での購入を推奨するものではありません。実際に購入する際は、証券会社や金融機関が提供する目論見書・商品説明資料を必ず確認し、自身の資金計画やリスク許容度に照らして判断するようにしてください。

執筆者

西村剛
西村剛

フェアトレード株式会社 代表取締役。機関投資家出身で統計データを重視したシステムトレードに注力。2011年株-1グランドチャンピオン大会で+200.4%、2012年+160.1%、2013年157.0%を叩き出し三連覇達成。証券アナリスト検定会員。システムトレードを使った定量分析と、これまでファンドマネジャーとして培ったファンダメンタルズ分析を融合した新しい視点で株式市場を分析し、初心者でもわかりやすい言葉を使った解説に定評がある。

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「株システムトレードの教科書」の記事は、機関投資家出身・証券アナリスト検定会員の西村剛が、統計データ・システムトレード・ファンダメンタルズを融合して解説しています。
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