日本株

執筆者

西村剛
西村剛

フェアトレード株式会社 代表取締役。機関投資家出身で統計データを重視したシステムトレードに注力。2011年株-1グランドチャンピオン大会で+200.4%、2012年+160.1%、2013年157.0%を叩き出し三連覇達成。証券アナリスト検定会員。システムトレードを使った定量分析と、これまでファンドマネジャーとして培ったファンダメンタルズ分析を融合した新しい視点で株式市場を分析し、初心者でもわかりやすい言葉を使った解説に定評がある。


システムトレード

ダウ理論とは

ダウ理論とは、19世紀後半に米国の証券アナリストであるチャールズ・ダウ氏が考案した、相場の値動きの特徴を示した理論です。

ダウ理論は、次の6つの基本法則から成り立っています。

(1)平均はすべての事象を織り込む。
(2)トレンドには3種類ある。
(3)主要トレンドは3段階からなる。
(4)平均は相互に確認されなければならない。
(5)トレンドは出来高でも確認されなければならない。
(6)トレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続する。

特に、(6)の「トレンドは継続する」という考え方は、「トレンドライン」に代表されるテクニカル分析の基盤となる考え方となっています。

ここからは満遍なく理解してくために、ダウ理論の6つの基本法則について簡単に見ていきましょう。

平均はすべての事象を織り込む

ダウ理論において、現在株価の需要と供給に影響を及ぼすすべての要因は、市場平均に反映されていると考えます。

どれだけ不確実性の高いイベントであっても、発生すればただちに株価に織り込まれて反映されることから、地震やパンデミック、戦争なども含まれており、相場の普遍的な要素といっても良いでしょう。

トレンドには3種類ある

ダウ理論では、上昇トレンドと下降トレンドを次のように定義しています。

  • 上昇トレンド:連続する高値・安値が前回値より高いこと。下図のように上昇し続ける山と谷のパターンで形成されている。

ダウ理論だけで勝てる参照:OANDAJAPAN

  • 下降トレンド:連続する高値・安値が前回値より下であること。上図とは逆に下降を続ける山と谷のパターンで形成されている。

以上の上昇・下降トレンドの定義は、テクニカル分析における基本となり、ダウ氏はここからさらに以下3種類に細分化しました。

  • 主要トレンド:1年から数年以上に渡って継続するトレンド
  • 二次トレンド:3週間から最長3ヶ月程度継続する主要トレンドの調整局面
  • 小トレンド:継続期間3週間未満の二次トレンドの短期的な調整

実際にトレードしてみた方が感覚的に理解できるため、少し意識しながら取り組んでみてください。

主要トレンドは3段階からなる

ダウ理論では、主要トレンドがさらに3段階に細分化されています。

ダウ理論だけで勝てる参照:OANDAJAPAN

第1段階は、買い集めのフェーズとなり、先行型の投資家による買い注文が集まります。

次いで第2段階では、景気改善を背景に株価が急激に上昇し、順張り(トレンドフォロワー)の投資家・トレーダーが参入してきました。

そして最後の第3段階は、株価上昇がニュースで報じられることで一般投資家が参入し、出来高が急増する流れです。

ただし、第1段階で買っていた投資家は第3段階ではすでに売り抜け始めるため、初心者たちが意を決して入ってくる第3段階は主要トレンドの最終局面となります。

平均は相互に確認されなければならない

ダウ平均株価は米国市場を代表する株価指数となっていますが、ダウ理論を提唱した当時は「工業平均」と「鉄道平均」の2つでした。

「工業平均」と「鉄道平均」のいずれもトレンドに入っていなければ、本格的なトレンド到来にはならないということなので、こちらも頭に入れておきましょう。

トレンドは出来高でも確認されなければならない

ダウ理論において、取引数量を示す「出来高」はトレンドの確認においても重要な要素となっています。

ダウ理論だけで勝てる上図の通り、主要トレンドが上昇基調なら、株価が上昇するにつれて出来高は増加し、株価が下落するときには減少するということです。

トレンドを把握する際は、忘れずにチェックしておきましょう。

トレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続する

株式相場において、トレンドは明確に転換するまでは同じ方向に動き続けるというものです。

こちらもテクニカル分析の基本となる考え方であり、トレンドラインや抵抗線/支持線、移動平均線、オシレーターなど、あらゆるテクニカルツールがこの考え方に基づいて構築されています。

ダウ理論だけで勝つことは可能か

結論からいって、ダウ理論だけで勝つことは「可能」といえるでしょう。

なぜなら、「ダウ理論だけで勝つ」ということは「トレンドと出来高だけを見て勝つ」のとほぼ同じ意味であり、世界中の投資家の行動原理に沿ってトレードすることになるからです。

実際のところ、純粋に「チャート画面」だけを見ている投資家はかなり招集はですが、ダウ理論が提唱するトレンドに基づいてテクニカルツールを使い、出来高を根拠にしているトレーダーは山ほど存在します。

そういった状況を考慮すれば、ダウ理論だけで勝てることは明らかでしょう。

ダウ理論で勝率を上げるために知っておきたい応用術

ここからは、ダウ理論で勝率を上げる応用術を見ていきましょう。

  • トレンドの押し目・戻りを狙う
  • ブレイクアウト手法

いずれもロジック自体は簡単なので、ぜひ参考にしてください。

トレンドの押し目・戻りを狙う

トレンドの継続はダウ理論でも肝になるポイントであり、当然トレードに活用することが可能です。具体的には以下の2通りであり、トレンドの方向性によって変わります。

  • 押し目買い:上昇トレンド際の一時的な下落で買う
  • 戻り売り:下降トレンドの一時的な上昇時に空売り

上記をダウ理論における「トレンドには3種類ある」の説に当てはめると、二次トレンド・小トレンドの調整局面でエントリーし、最終的に主要トレンドに乗る流れです。

ダウ理論だけで勝てる

参照:sbifxt.co

一方、「トレンドの終了を示す大きな下落」で押し目買い、あるいは「下降トレンドの終局となる大きな反発」 で戻り売りしてしまうと、大きな損失を抱えてしまうでしょう。

主要トレンドが終了となってしまった場合には、ダウ理論が機能しなくなるため、早めに損切りする必要がある点に注意してください。

ブレイクアウト手法

「ブレイクアウト手法」は、最も代表的なトレンドフォロー(順張り)戦略となります。 

また、ダウ理論の「トレンドの定義」によれば、上昇トレンドは「安値を切り上げながら、前回高値を超えていくもの」下降トレンドは「高値を切り下げながら、前回安値を割っていくもの」とされており、非常に合理的な手法といえるでしょう。

具体的には、レンジ相場をブレイクアウトした瞬間にエントリーするのがおすすめです。

ダウ理論だけで勝てる参照:gemforex

上図の抵抗線をブレイクしたポイントで買えば、トレンド起点に乗ることが可能であり、支持線の場合も同様となります。

ただし、この手法は「騙し」が多い点に注意が必要であり、一旦ブレイクアウトしても、再びレンジ内に戻ってくるケースが少なくありません。

そのため、ブレイクアウトしたからといって安易に飛び乗らず、必ずファンダメンタルなどから相場を総合的に分析するようにしましょう。

まとめ

本記事では、ダウ理論の6法則に加えて、実戦的な応用術についても解説してきました。

ダウ理論は「トレンドは継続する」という考え方に基づいており、世界中の投資家が念頭に置きながらトレードしています。

そして、「トレンドの押し目買い・戻り売り」「ブレイクアウト手法」などに応用すれば、より戦略の幅が広がるため、本記事を参考にさっそく導入してみてください。

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