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「インドの投資信託は伸びているらしいけれど、実際におすすめできるのか」と気になっている個人投資家は増えています。人口の多さや経済成長への期待から、証券会社のランキングやニュースでインド関連ファンドを目にする機会も増えました。

結論から言うと、インドは中長期的な成長ポテンシャルが大きい一方で、為替や株価水準、値動きの荒さといったリスクも大きい新興国です。「おすすめかどうか」は、リターンへの期待だけでなく、リスクをどこまで許容できるか、ポートフォリオ全体の中でどう位置づけるかによって変わってきます。

この記事では、インド市場が注目される背景から、インド投資信託のメリットとリスク、投資方法の種類、選び方のチェックポイント、ポートフォリオでの位置づけまでを整理して解説します。

1.インド市場が注目される背景

インドが世界の投資家から注目を集めている背景には、主に3つの構造的な要因があります。

1-1.世界最大級の人口と若年層の厚み

インドは中国を上回る人口を抱える国となり、その中でも若年層の比率が高いという特徴があります。生産年齢人口が今後も増え続けると見込まれており、労働力の供給源としてだけでなく、旺盛な消費市場の担い手としても経済成長を支える土台になると期待されています。人口が増え続ける新興国は、消費市場の拡大という点で成熟した先進国にはない伸びしろを持っています。

1-2.高い成長率を維持してきた経済

インド経済は、主要な新興国の中でも相対的に高い成長率を維持してきたとされています。中間層の拡大に伴って自動車や住宅、金融サービスなどの内需が伸び、都市化の進展がインフラ投資を後押しする、という好循環が意識されてきました。もっとも、成長率は年によって変動し、世界的な景気減速やインフレ、金利動向の影響を受けやすい点には注意が必要です。

1-3.デジタル化と製造業シフトが後押しする成長シナリオ

インドではデジタル決済インフラの普及や行政手続きのオンライン化が急速に進み、IT・デジタルサービス産業の存在感が高まっています。加えて、米中対立などを背景に製造業のサプライチェーンを中国一極集中から分散させる、いわゆる「チャイナプラスワン」の動きの中で、インドを新たな生産拠点として位置づける企業も増えています。デジタル化と製造業シフトという2つの流れが、インド株式市場の成長シナリオを支えていると説明されることが多くなっています。

2.インド投資信託のメリット

インドに投資する投資信託を検討する際に、しばしば挙げられるメリットは次の2点です。

2-1.新興国の中でも高い成長期待

インドは人口動態や内需の拡大を背景に、他の新興国と比較しても中長期的な成長期待が高いとされる市場のひとつです。株式市場の時価総額も拡大が続いており、グローバルな株価指数におけるインドの組入比率が引き上げられる動きも見られます。成長期待の高さは、将来の企業収益拡大を通じて株価の上昇につながる可能性がある要因です。

2-2.新興国の中では相対的に安定した政治体制

インドは世界最大級の民主主義国家であり、選挙を通じた政権交代の仕組みが定着しています。一部の新興国で見られるような急激な政策転換や、特定の指導者への権力集中に伴う不透明感は、他の新興国と比べると相対的に抑えられているという見方があります。もちろん、政治的な安定性が常に保証されているわけではなく、選挙結果や政策変更が市場に影響を与える可能性は常に注視する必要があります。

3.インド投資信託のリスク

成長期待の高さばかりが強調されがちですが、インド投資信託には見過ごせないリスクもあります。投資判断の前に必ず押さえておきたいポイントです。

3-1.為替リスク――ルピー安が円換算リターンを削る

インドルピーは、これまでも対円・対ドルで下落基調をたどる局面が繰り返されてきた通貨です。仮にインド株式そのものが現地通貨ベースで上昇しても、ルピー安が進めば円換算のリターンはその分目減りします。為替ヘッジなしの投資信託を選ぶ場合、株価の値動きに加えて為替の値動きも同時に引き受けることになる点を理解しておく必要があります。

3-2.バリュエーションの高さ――「良い国」と「割安な株価」は別問題

インド株式市場は、高い成長期待からPER(株価収益率)などの指標が他の新興国と比べて高めの水準で推移する場面が目立ちます。「成長期待の高い国」と「株価が割安な国」は必ずしも一致しません。株価にすでに将来の成長が織り込まれている場合、期待通りに成長が実現しても株価が思ったほど上昇しなかったり、期待が剥落した際に大きく調整したりするリスクがあります。

3-3.新興国特有のボラティリティと流動性リスク

インド株式市場は、先進国株式と比較して値動きの振れ幅(ボラティリティ)が大きくなりやすい市場です。海外投資家の資金流出入によって短期間に株価が大きく上下することもあり、世界的なリスクオフ局面では新興国全体から資金が一斉に引き揚げられる対象になりやすい点にも注意が必要です。銘柄によっては流動性が限られる場合もあり、ファンド全体としての値動きの荒さにつながることがあります。

4.インドに投資する方法の種類

個人投資家がインドに投資する方法は、大きく分けて次のようなカテゴリーに分かれます。それぞれ値動きの特徴が異なるため、自分がどの程度インドへの投資比率を持ちたいかによって選び方が変わります。

4-1.インド単独型ファンド

インド株式のみを投資対象とする投資信託です。インドの成長を集中的に取り込める反面、値動きはインド市場の動向にそのまま連動するため、他のカテゴリーと比べて振れ幅は大きくなりやすい傾向があります。

4-2.新興国株式全体に組み込む方法

複数の新興国に分散投資する投資信託の中に、インドが構成国の一つとして組み込まれているケースです。インドだけに集中するよりも値動きは緩和されやすくなりますが、インドの組入比率はファンドの運用方針や連動する指数の構成によって異なります。

4-3.全世界株式型に組み込まれた形で持つ方法

いわゆる「オール・カントリー型」など、世界中の株式に分散投資する投資信託の中にも、インドは構成国の一つとして含まれています。先進国株式の比率が高いため、インド単独で保有するよりも値動きへの影響は小さくなりますが、その分インドの成長を積極的に取り込む効果も限定的になります。

この3つのカテゴリーは、どれが優れているというものではなく、インドへの投資比率をどの程度にしたいかで選び分けるものです。次の表で特徴を比較します。

投資方法特徴値動きの傾向
インド単独型ファンドインド株式のみに投資し、成長を集中的に取り込める相対的に大きくなりやすい
新興国株式全体型ファンドインドを含む複数の新興国に分散。インド比率はファンドにより異なる単独型よりは緩和されやすい
全世界株式組み込み型先進国中心に世界中の株式に分散。インドの組入比率は小さくなりやすい相対的に小さい

5.インド投資信託を選ぶ際のチェックポイント

個別のファンドを選ぶ段階では、以下のポイントを必ず確認しておきたいところです。

5-1.信託報酬(運用コスト)

投資信託は保有している間、信託報酬が毎日差し引かれ続けます。同じインド関連ファンドでも、指数連動型かアクティブ型かによってコスト水準は大きく異なり、長期で保有するほどコストの差がリターンの差として積み上がっていきます。目論見書や交付運用報告書で必ず確認しましょう。

5-2.為替ヘッジの有無

為替ヘッジをつけると円換算でのルピー安の影響を抑えられますが、ヘッジコストがかかるほか、ルピー高局面でのメリットも打ち消されます。長期でインドの成長そのものを取りに行きたいのか、為替変動をできるだけ抑えたいのかによって、選ぶべきタイプが変わります。

5-3.指数連動型かアクティブ型か

指数(インデックス)に連動するタイプは、インド株式市場全体の値動きに近い運用成果を目指すもので、比較的コストが低めな傾向があります。一方、アクティブ型は運用者が銘柄を選定し指数を上回る成果を目指しますが、必ず上回れるとは限らず、コストも高めになりやすい傾向があります。過去の運用実績は将来の成果を保証するものではない点を踏まえたうえで比較検討してください。

チェック項目確認するポイント
信託報酬指数連動型かアクティブ型かで水準が異なる。長期保有ほど差が効いてくる
為替ヘッジの有無ヘッジありはルピー安の影響を抑えられるがコストがかかる。ヘッジなしは為替変動をそのまま受ける
指数連動型かアクティブ型か指数連動型は市場平均に近い値動き、アクティブ型は市場平均を上回ることを目指すが再現性は運用者次第
純資産総額・資金の流出入資金流出が続いていないか、繰上償還のリスクがないかを確認する

6.ポートフォリオにおけるインドの位置づけ

6-1.コア資産ではなくサテライト的に組み込む考え方

インド投資信託は、成長期待が大きい分、値動きの振れ幅も大きい資産です。資産形成の土台となるコア資産には、先進国を中心とした全世界株式など値動きが比較的安定した資産を据え、インドのような新興国個別の投資信託は、その一部に上乗せするサテライト資産として位置づける考え方が一般的です。

6-2.投資比率の目安

具体的な比率に絶対的な正解はありませんが、サテライト資産全体を資産全体の一部にとどめ、その中でインドを含む新興国関連にどの程度配分するかを検討する、という考え方が一つの目安になります。値動きの大きい資産に資産の大部分を投じてしまうと、下落局面で日常生活や他の資金計画にまで影響が及びかねません。

6-3.新興国ファンドとの重複に注意

すでに新興国株式全体型や全世界株式型のファンドを保有している場合、その中にインドがどの程度組み込まれているかを確認しないまま、インド単独型ファンドを追加すると、意図した以上にインドへの投資比率が偏ることがあります。保有ファンドの運用報告書などで組入国・組入比率を確認したうえで、追加の要否を判断することをおすすめします。

7.よくある質問(FAQ)

Q. インド投資信託は初心者にもおすすめですか?

A. 成長期待の高さだけでなく、為替や株価水準、値動きの荒さといったリスクも伴う新興国資産です。ポートフォリオの中心ではなく一部に組み入れるサテライト資産として、少額から検討するのが無難です。

Q. インド株はなぜ割高だと言われることが多いのですか?

A. 高い成長期待がすでに株価に織り込まれやすく、PERなどの指標が他の新興国より高めに出る場面が目立つためです。期待通りに成長しても株価が伸び悩んだり、期待が剥落すると大きく調整したりするリスクがあります。

Q. 為替ヘッジはつけたほうがいいですか?

A. 為替ヘッジにはコストがかかり、ルピー高局面のメリットも打ち消されます。長期でインドの成長そのものを取りに行きたいのか、為替変動をできるだけ抑えたいのかによって選ぶタイプが変わるため、一概にどちらが正解とは言えません。

Q. インド単独型ファンドと新興国全体型ファンド、どちらを選ぶべきですか?

A. インド単独型は成長を集中的に取り込める反面値動きが大きくなりやすく、新興国全体型は分散される分値動きが緩和されやすくなります。すでに新興国ファンドを保有している場合は、その中のインド比率を確認してから判断することをおすすめします。

8.まとめ――インドは「一部に取り入れる」視点で

  • インドは人口動態・経済成長・デジタル化や製造業シフトを背景に、中長期的な成長が期待される新興国です
  • 一方で為替リスク、バリュエーションの高さ、新興国特有のボラティリティといったリスクも併せ持っています
  • 投資方法にはインド単独型・新興国全体型・全世界株式組み込み型があり、投資比率をどうしたいかで選び分けます
  • ファンド選びでは信託報酬、為替ヘッジの有無、指数連動型かアクティブ型かを必ず確認します
  • ポートフォリオではコア資産ではなくサテライト的に、無理のない比率で組み入れるのが基本です

インド投資信託は、成長性への期待だけを見れば魅力的に映りますが、その裏側には為替や株価水準、値動きの荒さといったリスクが常に存在します。「おすすめかどうか」は一律に決まるものではなく、自分の投資目的やリスク許容度、ポートフォリオ全体のバランスの中でどう位置づけるかによって変わってきます。

興味を持った場合は、まず信託報酬や為替ヘッジの有無といった基本情報を比較したうえで、コア資産とのバランスを考えながら、無理のない金額から検討してみてください。

執筆者

西村剛
西村剛

フェアトレード株式会社 代表取締役。機関投資家出身で統計データを重視したシステムトレードに注力。2011年株-1グランドチャンピオン大会で+200.4%、2012年+160.1%、2013年157.0%を叩き出し三連覇達成。証券アナリスト検定会員。システムトレードを使った定量分析と、これまでファンドマネジャーとして培ったファンダメンタルズ分析を融合した新しい視点で株式市場を分析し、初心者でもわかりやすい言葉を使った解説に定評がある。

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「株システムトレードの教科書」の記事は、機関投資家出身・証券アナリスト検定会員の西村剛が、統計データ・システムトレード・ファンダメンタルズを融合して解説しています。
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